7 天敵の中の天敵
という訳で俺は改めて職員室に出向き、
色んな先生に下積先生の事を尋ねて回った。
すると下積先生はこの一週間ほど病気で休んでいるとの事。
そして更に詳しく聞くと、下積先生は元々部活の顧問に熱心でなはなく、
野球部にもほとんど顔を出してないらしい。
道理で入部してから一カ月以上経つのに、顔も見た事がないはずや。
おまけにウチの部にはちゃんとした監督も居らへんし、
こんな事で甲子園を目指せるんかいな?
色々と不安はあったものの、とりあえず目的の情報を得た俺は職員室を後にした。
すると廊下を出た所で、バッタリと校長に出くわした。
この人は弱小の張高野球部を潰し、
その浮いた予算を他の強い部活に回そうとたくらんでいる。
おまけにこの前は碇を、野球の強豪校からワイロを受け取り、
その強豪校に転校させようとした。
俺ら張高野球部からすると、天敵の中の天敵なのや。
その校長は俺の顔を見て一瞬顔をひきつらせたが、
すぐに嫌みったらしい笑みを浮かべて俺にこう言った。
「おや、誰かと思えば君かね。相変わらず弱小野球部で球遊びをしているのかね?」
その言葉にカッチーンときた俺やったけど、それをこらえてこう返す。
「いやぁ、何しろ誰かさんがワイロとかを使って邪魔するんでね、
部活を続けるたけでも大変ですよ」
「フン、そんな邪魔がなくとも、君達の部は存続自体が難しいだろう。
監督も居らず、顧問も大してやる気がない状態で、
どうやってまともな部活動ができるのかね?」
「ぐっ・・・・・・」
「ま、せいぜい悪あがきする事だね。
どうせ私が何もせずとも、そんな部はすぐに潰れてしまうだろうからな。
ハッハッハ!」
校長はそこまで言うと、俺の横を通って職員室に入って行った。
おのれあのクソ校長!いつか絶対に見返したるからな!
俺は唇を噛んで両拳を握りしめ、固く心に誓ったのやった。




