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第93話 特別講義2日目その③

お読みいただきありがとうございます。

毎日投稿3日目。


Sideアルカナ


どうやら気が付けたかな。魔法の発動準備を剣を振るのと同時にやり始めたのではどう頑張っても魔法発動と剣は同時にはならないということに気が付いたらやることは一つ。

もう次にイシュワルトのところに行く時には教えることがほとんどなくなっているかもな。


まあ、とりあえずは次の学生の指導だ。次はメイリーンか。

メイリーンはその趣味のおかげ(せい?)もあって〔身体強化〕の熟練度が随分高い。それに加えて敏捷が高いのでランニングもこの結果になったんだろう。


さて、メイリーンに与えた指示は、

『別の攻撃方法の習得』

とこれだけである。我ながら短いな。それに足りない。


メイリーンの戦闘スタイルは魔法薬を用いた妨害で相手の足を止めた後に〔木魔法〕でさらに縛って完全に身動きを取れなくする。そこを喜々として棍棒でタコ殴りにする女の子にしてはエグイ程の拷問スタイルだ。

ただ、俺みたいに〔探知〕で周囲の状況が掴める相手には不十分だ。もちろん気配、魔力、生命力とすべてをごまかせるなら十分だ。でも現実に〔生命探知〕を掻い潜るような術を俺は知らないので実現は不可能か。


魔法薬の〔調薬〕や〔木魔法〕に関しては俺よりもふさわしい師匠がいるようなので特に言うことはないが、〔槌技〕や〔身体強化〕、その他の攻撃手段については俺が教えよう。

〔槌技〕に関してはスキルが一度昇華しているので、俺よりも詳しいはずだから特にいうことはない。

俺は〔木魔法〕だけしか見ていないが、メイリーンは魔法を創意工夫して使うことに長けていると感じたので、それ以外の魔法、今持っている〔水魔法〕やさらに属性を増やしてもいいかもしれない。


あとは、今のところメイリーンには遠距離攻撃がないことを確認している。これは今日訓練場に移動するまでに聞いたので間違いない。

俺としては、そんなメイリーンには是非とも遠距離攻撃を学んでほしい。遠くから攻撃できる手段があるだけでとれる手段が一気に増えるからだ。


俺には〔鎌聖術〕まで鍛えた技術と豊富な魔力で斬撃を飛ばすことが可能だから、「お前だって遠距離は対応できねぇじゃん!」というツッコミは不要だ。

他にも〔獣王の息吹〕もあるので全くの不得手というわけでもない。


出来ればメイリーンには弓を使ってもらいたい。もらいたいというか、それがベストだと思う。

〔弓術〕と〔木魔法〕が得意なことで有名なエルフと器用な人族のハーフであるメイリーンには間違いなく〔弓術〕の才があると考えているわけだ。


訓練を指示する紙を渡すときにメイリーンには大量の武器を渡してある。〔剣術〕や〔鎌術〕をはじめとした刃物の武術系のスキルは熟練することで斬撃を飛ばすことが可能になる。しかし、〔槌術〕や〔拳術〕などはそんな攻撃手段がない。


遠距離をカバーすることでメイリーンの幅を広げることだけが新しい攻撃手段を学ばせる意味なので、どの武器、魔法でも良い。なんだかんだで人族の血がどの武器に対しても一定の才能を示すと思うが、できれば一番しっくりくるものであってほしい。


とりあえずは何を選ぶかくらいは確認しておくか。



メイリーンのところに行くと、案の定、どの武器を使えばいいか最初の一本で悩んでいた。別に最初に選んだもので一生使い続けなくてはいけないわけじゃないんだから、気軽に選んでだめだったら次に行けばいいのにな。


「おいっす。調子はどうだ?訓練は順調か?」

「あら、先生。もうわたくしの番ですか?随分お早いこと。イシュワルト殿下はもう完了しましたの?」

「ああ、完璧とは言わんが、大事なことにも気が付いたようだし明日も頑張ればものにできるだろう。合宿が楽しみだよ。」

「そうですか。」


ん?なんだか元気がないみたいだな。さっきのランニングはさすがにやりすぎだったかね。


「どうした?調子悪いか?」

「あ...いえ、昨日少しありまして。」

「なんだ?解決になるかは知らんが、話すだけでも気が楽になると思うぞ。」


一人で抱え込むよりも話してしまった方が楽になるということも往々にしてあるもんだ。


「そうですわね。先生が原因と言ってもいいですし、お話ししますわ。聞いてくださいませ。」

「お、おう。俺が原因?どういうこった。」


それから聞いた話は、確かに俺が原因だと理解できる内容だった。...だったが、納得はできん。


メイリーンの話は要約してしまうと、

『模擬戦で俺に負けてそれを母親に話したら長期休暇で帰省して猛特訓が決定してしまった。』

とのことだった。


まあ、原因と言えば原因だろうけど、話さなければよかったんじゃね?とか思うよね。そもそも話さなければそんなことにはならなかっただろうし。


俺がそう言うと、メイリーンもそれはわかっていたようで、言いづらそうにしたもののちょっと口を尖らせて、

「だって、お母様に秘密は作りたくないんですもの。」

だってよ。


こんな話をするまで忘れていたけどさ、このクラスの子らは大人びているというか、まだまだみんな子供だったなぁと思ったよ。

親もと離れて学園にきて冒険者になろうとしているわけだし、大人びて育つのは分かるけど、親にはまだ甘えたい年ごろか。


それを聞いて笑ってしまったが、別に馬鹿にしたわけじゃない。ほほえましいと思っただけだ。

まあ、メイリーンは遠慮なく俺が用意した中にあった、外し忘れた金棒(棘の付いたやつ)で殴ってきたけどな。ええ、甘んじて受けましたよ。引きずるのも良くないし。


なんとか許してもらったところで訓練の話をしよう。メイリーンに与えた指示は少々雑だった自覚があるので特別に捕捉する。

メイリーンもその内容の言わんとするところを理解しようと考えた結果、あれもこれもと可能性を考えすぎて動くに動けなかったようだ。


「えっとな、『別の攻撃方法の習得』ってのは、今の〔槌技〕と〔木魔法〕以外の攻撃手段、攻撃距離を習得しようってことでな?もっと言ってしまえば、遠距離の攻撃手段と他の属性魔法を練習しようということだ。」

「なるほどですわ。わたくしてっきり武器の変更を提案されているのかと思ってしまいましたわ。もう!はっきり書いてくださいまし。」


怒り方が比較的穏やかで全く怒られてるように思えないが、本人は真剣なので余計なことは言わないでおこう。 ...あ、誰と比べたかは内緒です。


「すまんすまん。それじゃ、ま、そういうことだから、遠距離系の武器を選んでくれ。斬撃を目指して刃物系を選んでくれてもいいが、棍棒と二刀流でやるならどっちに持つかも重要だぞ?」

「うーん、斬撃だと余程の使い手でもなければ良くて中距離って感じですわよね。それだとわたくしは絶対に槌は外せないので、遠距離は難しいと思いますのよ。わたくし、それなら弓がいいかもしれませんわね。近寄られてもこれがありますし。いっそアルカナ先生の鎌の様に一体化させてしまいましょうか。」


メイリーンは腰に下げた棍棒をさすりながら俺の思惑通りの武器を選択する。しかし、武器の一体化か。

俺のイシュガルは相応の腕を持つ職人が作り神にも認められた武器だが、そう簡単にここまでのモノはできないだろう。でもやってみる価値はあるかもしれない。今は王都にいないドワーフの鍛冶屋ならいいアイデアを考え付くかもしれないので、いつか聞いて見よう。

とりあえず今は、あるものでやってもらおう。


「一体化は面白いアイディアだけど、今は無いからここにあるので頼むよ。俺もそういうのできないか鍛冶屋にでも行ったときに聞いて見るからさ。」

「そうですわね。そんなにすぐ用意できないのなら、今はここにあるもので考えますわ。」


なんだかんだでメイリーンは素直でやりやすい。もう少し反発があっても面白いが、どうせ反発されたらされたで叩き折るわけだから意味ないな。


メイリーンは俺が貸し出した武器を一つ一つ見ながら吟味していく。いろいろと使って試していく様だ。一瞬決まりかけた弓は候補まで地位が下がってしまったが、他に気に入ったモノがあればそれでいい。


「そんじゃ、思う存分考えてくれ。俺はほかのやつらのほうを見に行ってくるわ。決まったら訓練していても良いし、時間いっぱい使って決めるでもいいからな。明日も時間使っても良いが、合宿にぶっつけ本番になることは避けろよー。んじゃ。」

「はい先生。しっかり見定めますわ。わたくし、これでも貴族の端くれ。自分に合う武器を見つけてみせますわ!」


メイリーンの意気込みは素晴らしいもんだが、ここは冒険者の端くれの方が正解じゃないかね。貴族って、騎士や魔導士でもなければ武器なんぞ持たんだろうし。


まあ、やる気になっているようだから水を差すようなことは言わないほうが良いか。よしよし。次の学生のもとへ行きますか。



****

Sideメイリーン=ボルナン


わたくし、ボルナン子爵家の長女、メイリーン=ボルナンと申します。わたくし今日のアルカナ先生の戦闘技能の講義を楽しみにしておりましたの。

だって、わたくしの趣味は魔物を殴ることですもの。もっと強くなれるなら喜んで訓練しますわ!


でも、昨日の模擬戦は少し残念でしたわ。せっかくつくった魔法薬や周到に準備した魔法を駆使して先生を追い詰めたのに、一回も殴り飛ばすことができませんでしたもの。


「それに、ですわ。」


わたくし、昨日は学園の授業が終わってから、家の用事でお母様とともにパーティーに参加しましたの。でもその会場に向かう馬車の中でお母様にアルカナ先生に模擬戦で負けてしまったことをつい言ってしまったんですの。


それを聞いたお母様は当然、長期休暇の地獄の特訓を行うと宣言されましたわ。地獄の特訓、それはお母様のご実家に伝わるエルフの秘伝の修行方法。わたくしの〔槌技〕と〔木魔法〕、〔身体強化〕はこの修行のおかげで熟練度が増して行ったと言っても過言じゃない。それだけ効果がはっきりと出る修行なのですが、地獄の名の通り、その壮絶さは筆舌しがたく、わたくしも何度も血反吐を吐きましたわ。


そんな修行が決定してしまったので、訓練場の外周りを走り終えてやっと訓練に移れるとなっても気分が晴れないんですの。


「どうした?調子悪いか?」

「あ...いえ、昨日少しありまして。」

「なんだ?解決になるかは知らんが、話すだけでも気が楽になると思うぞ。」


そんなときに心配してくれたアルカナ先生。最初は濁す形になってしまいましたが、先生が言う通り、喋ってしまったほうが楽になるのかもしれないと思い直しました。

先生には悪いですが、先生が原因のようなものですし、聞いてもらいますわ。


「お、おう。俺が原因?どういうこった。」


と、このように狼狽えておられたアルカナ先生でしたが、わたくしの話を聞いても納得はしていただけませんでしたわね。

アルカナ先生は話さなければいい、とおっしゃいましたが、だって、お母様に秘密は作りたくないんですもの。

あ!笑いましたわ!先生ったら許さないんですから!

そうしてついつい、手頃な金棒で殴りつけてしまいましたわ。でも、昨日の分も含めてスッキリしたので許して差し上げます。


許してあげましたところ先生は私に対する訓練の指示についての捕捉をしてくださいました。わたくしてっきり他の武器種への変更を提案されているのかと勘違いしてしまい、どんな武器がいいか考え込んでしまいました。だっていろんな種類があって選べないんですもの。

紛らわしいですわね!


アルカナ先生の捕捉によると『別の攻撃方法の習得』というのは、今の〔槌技〕と〔木魔法〕以外の攻撃手段、攻撃距離を習得しようってことらしいですわ。さらに遠距離の攻撃手段か他の属性魔法を練習しようということのようです。

わたくしは〔木魔法〕のほかに〔水魔法〕もありますので、練習すれば遠距離の攻撃手段として使えるかもしれませんわね。


遠距離ですとやっぱり弓ですかしら、わたくしも半分とはいえエルフですし、才能は〔木魔法〕と同様に継いでいると思うのですけどね。


私がまた悩んでいると先生が再度助言をくださいましたわ。私が大好きな棍棒に加えて刃物を練習する方法があるようです。


「すまんすまん。それじゃ、ま、そういうことだから、遠距離系の武器を選んでくれ。斬撃を目指して刃物系を選んでくれてもいいが、棍棒と二刀流でやるならどっちに持つかも重要だぞ?」


斬撃という手段が棍棒では使えないのは見てくれの通りです。その代わりにと言っては何という感じなんですが、刃物系で言う斬撃のように魔力を使った範囲攻撃ができるようになりますの。

これを使えば中距離くらいはカバーできると思いますので、片手間で練習する斬撃よりはそちらを放った方が良いはずですわ。


「うーん、斬撃だと余程の使い手でもなければ良くて中距離って感じですわよね。それだとわたくしは絶対に槌は外せないので、遠距離は難しいと思いますのよ。わたくし、それなら弓がいいかもしれませんわね。近寄られてもこれがありますし。いっそアルカナ先生の鎌の様に一体化させてしまいましょうか。」


そうですわ!棍棒に弓の機能をつければ1つの武器で2つの武器を持っているのと同じになるではないですか!

でもアルカナ先生は感心半分残念半分と言った表情で今は無理だとおっしゃいました。


「一体化は面白いアイディアだけど、今は無いからここにあるので頼むよ。俺もそういうのできないか鍛冶屋にでも行ったときに聞いて見るからさ。」

「そうですわね。そんなにすぐ用意できないのなら、今はここにあるもので考えますわ。」


それはわたくしもわかっておりますのでここにあるもので考えますわ。結局一体化するにしても得意でない武器をくっつけてもしょうがないのですから。


とりあえず持ったことがない武器から始めてみましょうか。一つ一つ吟味してから次に行く。

それにここにある武器の中には見たことがないものもあるのでしっかり確認する必要があると思いましたわ。金属で十字の形をした投擲武器や菱形に取っ手が付いたもの、ただの金属棒の先がとがったものなど、いろいろですの。

シュリケン、クナイ、ボウシュリケンと言うらしいですが初めて見ました。遠距離とは言わずに牽制に使うのがベストですわね。


「そんじゃ、思う存分考えてくれ。俺はほかのやつらのほうを見に行ってくるわ。決まったら訓練していても良いし、時間いっぱい使って決めるでもいいからな。明日も時間使っても良いが、合宿にぶっつけ本番になることは避けろよー。んじゃ。」

「はい先生。しっかり見定めますわ。わたくし、これでも貴族の端くれ。自分に合う武器を見つけてみせますわ!」


わたくしがいろいろと手に取ってみていると先生は集中させてくれようとしたのか、他の方のところへと向かわれました。練習時間を遅くても明日の講義で取らなければいけないから、今日のところは最低でも候補までは決めてしまいましょう。


あ、先生に言った“貴族の端くれ”というのは違いましたわね。

だってわたくし、冒険者の端くれでしたもの!


さあ、やりますわよ!






****



アルフレッドの指導をしましょう

明日も投稿します。


拙作を読んでいただきありがとうございます.


「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」「こいつのステータスを教えて!」


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ステータスに関しては応えられる範囲で一人ずつ回答したいと思います。


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