第64話 「え?グランドマスター?」
お読みいただきありがとうございます。
ブックマークが100件になりました。ありがとうございます。
おはようございます。
よく寝た。
昨日は図書館での調べ物で一日を使い切ってしまったわけだが、実際のところ、収穫は多くなかった。
2日連続で図書館というのも何かつまらないように感じてしまう。どうせなら新しいところに行きたいと考えていたところ、朝食の準備ができたと、マイさんが呼びに来てくれた。
余談だが、この屋敷にいる間の俺を呼んだり案内したりというのは、基本的にセバスチャン殿とマイさんが担当してくれるらしい。
どうしてか聞いたところ、国からの要請だったようだ。それなら、しょうがないとは思うけど、俺の正体に関して勘付かれるかもしれないリスクを考えてるのかね。
ま、それでも大丈夫と言うくらいに信用、信頼されているのかもしれないが。
さて、食堂について、すでにいつものように感じているマイさんの朝食をいただいてから、今日の予定についてレイアに尋ねる。
するとレイアには今日予定が急に入ったとのことで、午前中に冒険者ギルドに行かねばならなくなったらしい。
「そう言えば、俺も依頼出したけど、経過でも聞きにいこうかね。エルフっていっても王都にきてからエミィさんしか見ていないわけだから、望みは薄いかもなぁ。」
俺のエルフ飯復活はいつになることやら。
レイアは俺もギルドに行くと聞いて、何かを思いついたらしく、俺の用事が終わってもギルドにいるように言ってきた。
俺としては一人で王都内をうろちょろできるほどに詳しくなったわけでもなく、そのままここに帰ってくるつもりだったので、了承する。
「じゃ、朝食も済んだことだし、ギルドに行きましょうか。この時間なら勤勉な冒険者はすでに依頼に出ているだろうから、混んでいるということもないでしょ。」
「そうだけど。勤勉なってのがネックだよな。」
「まあ、それ以外はどうとでもなるでしょ?」
フフフと笑うレイアには恐怖を禁じえないが、頼りになるとも思った。本当は俺がそうしなければいけないんだろうけど。
今の俺はなぁ。
いろいろと調べてもう一つわかったことがあった。過去の国が滅んだ理由に天災とも人災とも取れないものが多数みて取ることができたのだが、どうにもこの理由は、歴代の骨の王にあるようだとわかった。
どの文献にも、骨のような~とか骨を~とか骨が〜なんて書いてあったのだ。もちろん推測ではあるが、俺以外の骨の王のやったことは、誇張されているとしてもどう考えても俺にはできないことで、また〔骨の王〕というスキルが個性があるとは言えど、ステータス的に隔絶していると感じた。
これにはおそらくだが、〔着用者〕が関わっていると思われる。
〔着用者〕:其の者は着るもの也。それは着て真価を発揮する。装備着用時にステータス減衰無効化。
〔着用者〕の称号効果はこんな感じだ。要は、獅子王面を筆頭に本来なら減衰するはずの装備の力を100%余すことなく発揮できるわけだ。
しかし、これにもデメリットがあったようだ。
そう、俺自身の弱体化。要は面まで着けて【骨の王】ってことのようだ。
だって、過去の骨の王と思われる奴がしたのって相当だよ?巨体で暴れまわったり、王都に魔法を落としたり。あとは一番【骨の王】っぽい、スケルトンを率いて蹂躙したり。
よほどのことをその国がしたのだろうけど、それができるあたり俺よりも断然強力だったのだろう。
獅子王面を被れば似たようなことはできるけどさ。そういうんじゃないじゃん?
まあ、いいや、今俺がチャレンジしてることがうまくいけば、そんな悩みも吹っ飛ぶし。
男の身としてレイアを守るのはそれからでいいだろう。今でもそこらの冒険者には負けないけど、勝てもしない場合がある。俺ってさ、防御特化だから。察してくれ。
勝手に落ち込むのはよしといて、冒険者ギルドに向かうことになった。俺が門に魔力を流して魔道具を作動させる。昨日の時点で魔力の登録を行っておいたんだが、予想通り、結構な魔力を持っていかれる。体感でいうと〔獣王の息吹〕の4分の1くらい。
こんなの毎日じゃ大変じゃないかレイアに聞くと、笑いながら否定された。
「そりゃ、あんなに魔力持っていかれたら、使用人たちは出入りできないわよ。普段は魔力を貯めておいてそこから足りない分を捻出するの。普通は、ちょびっとよ。ただ、減ってきたからついでにアルから補充させてもらったの。ありがとね。」
やられたとは思ったが、特に問題ない量しか使われなかったため、不問にする。あれを難なくこなす使用人が複数いるような屋敷に恐怖を覚えたが、勘違いでよかった。
それから、魔道具について話しながら、歩く。
意外にお高い魔道具も冒険者であれば割と持っていることが多い。彼らは野宿がどうしても多くなるため、火をつける、水を出す、明かりをつける、くらいはあると便利だからだ。
武器を魔道具化してスキルを付与することも可能だが、お値段が指数関数的に高くなっていく。魔道具の剣を魔剣と言ったりもするが、そういった意味では、ルグラで買った大鎌斧も魔剣の類だ。
普通の剣は銀貨で買うことができ、特殊な金属や魔道具化をすることで金貨にまで上がる。つまり特殊な金属で、魔道具化されたら白金貨ということだ。
その中でも大鎌斧イシュガルは相当な業物であるとわかってくれただろうか。
話はそれたが、そんな感じで魔道具というのは高いがその分便利になる。商人はそれを商売に、盗賊は強奪して裏で儲けようとする。そんな感じで売られた魔道具を冒険者や他の商人、他の悪党が購入し、良くも悪くもこうして経済が回っている。
この世界の魔道具事情は経済にいい意味でも悪い意味でも貢献していると結論付けたところで冒険者ギルドに到着する。
*****
今日も今日とて冒険者ギルドは広いものだが、時間も時間だから、レイアの言う通りに中は混み合っていない。もう一つ言う通りに酔っ払いは今日もだべっているわけだが。
(働けよ)
口に出さなくなっただけ学んだと自分でも思うが、まだDランクやCランクの冒険者どもがこんなところでだらけているのは見ていられないものだ。
このくらいのランクは辺境のような魔物被害の多く猫の手も借りたい程な地域では重宝されるが、王都のようにそこまで魔物被害もない地域では、どうしてもあぶれてしまうようだ。
じゃあ、辺境に行けよという話だが、そんな行動力があるやつは王都から何日か離れたところの依頼でも何でも受けているはずだろう。
要はやる気の問題なわけだ。
俺とレイアはそんな冒険者たちには目もくれず、受付を目指して進む。以前来た時のようにレイアとは別の受付、もっと言うと事情を知っているだろう男性の受付へと向かった。
すでに昼にも近くなっていることから、全部の窓口が特に忙しそうではなく、以前のような行列は見れない。
受付は男性冒険者が一人とレイアを合わせて二人だけが利用しているようで、それ以外は頬杖ついて暇そうにしている。
チラリと依頼が張り付けてある依頼ボードを見ると、時間帯的にも数が少なくなっているのに反して、1枚の依頼表が目に入った。
ああ、まだあったわ。ま、そもそもはがして持っていく依頼でもないわけだから当然だけど、希望者が多くないってことだわな。
受付につくと男性職員に話しかける。
「これは、ようこそお越しくださいました、アルカナ様。本日は依頼の受注でしょうか。其れでしたら...」
「――いや、今日はこの間出した依頼を受けた冒険者がいないかを確認しに来たんだ。」
「そうでしたか。しかし、申し訳ございません。現在も募集を続けてはいるのですが、条件に一致する冒険者はまだ受注されていません。どうも期間が長すぎるかもしれません。」
そっか。1年弱っていうのはちょっと長かったかもしれないな。しかし、まだ0人か。
でも条件に一致する人はいたってことだろうか。
そこのところを聞くと、男性職員は話しにくそうに口を開く。
「えっとですね、実は条件に一致する冒険者はいるにはいたんですが、みなさんパーティーを組んでいたり、王都にはたまたま来ていただけだったり、極短期的だったらって言う方はいたんですがね。」
なるほど、条件変更の連絡をしていなかったわけだから、ちょっと言い難かったわけだ。
まあ、気にしてないけど、それなら条件変更して、1回だけとか1か月とか、割と自由に期間設定できるようにしてみるか。
って。
「期間の変更ってできる?1年じゃ無理そうだしさ。」
「もちろん可能です。日雇いから年次更新まで、いろいろな設定が可能です。」
「それじゃ、期間を1か月にして更新制にするか。それより短期間であれば、1週間単位で受けつける。報酬は1か月金貨2枚、1週間大銀貨5枚でどうだろう?」
「はい。およそ元の依頼金を月割、週割したようなものですのでお預かりしている依頼金を利用して承ります。残りは返却いたしますか?」
「いや、更新の時とかまた払うのも面倒なんで、そっちで保管を頼めるか。」
お金を出そうとしている職員を制止してそのまま保管してもらう。金はほとんどが手元にあるわけだし、まだたくさんある。
職員だって、それくらいはわかっているだろうが、一応聞いてきたというところだろう。
「んじゃ、そんな感じで依頼の変更頼むよ。連絡は前と同じで。」
「承知いたしました。それでは次は依頼を受けていただけると幸いです。」
依頼を受けなくなってそろそろ2週間以上経ったからな。次来るときも受けれるかわからないから、曖昧な笑い方しておこ。ははは。
ふう、これで俺の依頼の変更は終わったし、レイアの方はどうなったかな。さっき俺が男性職員と話している間に、馴染みの受付嬢に連れられてギルドの2階へと進んでいったみたいだ。もしかしたら3階、4階だったかもしれないけど。
実はギルドってかなり大きい建物なわけ、実際に階数としては7階建てらしい。らしいっていうのは、1階は依頼受付、2階は魔物の解体部署、3階は冒険者同士や冒険者とギルドの会議などに使う部屋がある階ってことはわかっているが、それ以外は知らないからだ。
噂ではどのギルドも一番上の階はギルドマスターやグランドマスターの部屋になっているらしい。
しかし、レイアの用事ってなんだろうな。ギルドに呼ばれていたってことらしいから、緊急依頼か指名依頼だろうか。そうだったら断れない可能性もあるな。こりゃ俺一人で法務局かな。
そんなことを思いながら、併設の酒場で少し早いが飯でも食いながら待つかな、と動きだしたところ、入り口からずかずかと数人の制服のようなものを着た12〜3歳の少年たちが入ってきた。
「ここが冒険者ギルドなんだぜぇ!!俺の親父が出資してるんだってよ!」
「へぇ~、さすがアルフレッド様。公爵家はすごいですね。」
「まあな!なんたって俺様はこの国の筆頭公爵家の3男だからな。」
やかましい子供たちだな。何しにこんなところまで来たんだか。まあいいやと席に座ってメニューを見る。
あいつらが入ってきてから酒場にいた冒険者の内、まだ危機察知ができるCランクからEランクまではそそくさとギルドを出ていった。
見るからに王立学園の生徒とわかるやつらに関わりたくはないわな。出ていかなかったGだFだって低ランクは学生におびえてしまっている。
学生といえどもちょっとはレベルを上げているあの子供たちに、討伐依頼も受けられないようなGランクやなったばかりのFランクでは太刀打ちできないだろう。
そういう低ランクの冒険者は基本的に戦闘力が低く、平民が多い。貴族出身者は訓練してから登録に来るからな。
そういった事情から、ここに残った低ランク冒険者も平民ばかりだ。
ギャーギャーやってる学園生は何を考えたか、酒場の低ランク冒険者に近づいていき、その武器を取り上げた。
また、近くの席に来やがって。
「おい!雑魚冒険者!こんな時間にこんなところにいるなんて冒険者向いてないんじゃねーの?」
「え、いや、僕はGランクだから討伐依頼受けられないし、採取依頼はそんなに時間がかからないから、昼ご飯の後にもう一度採取に行くんだ。」
「うるせえ。Gランクっていやぁ、最低ランクじゃねぇか!だっはっは。だっせぇ。よし!優秀な俺がお前を鍛えてやるよ!」
「え!?え?ど、どういうことですか?」
なんかとんでもないこと言いながら離れていく。何するつもりだあいつ。しかし、取り巻き連中はだれも止めないし、どうするつもりだ。
ん?嘘だろ!?
「俺が攻撃の仕方を教えてやるよ!おら!『ファイアーボール』!」
「え?ええ?う、うわぁあああああ」
こいつためらいもなくギルドの中で魔法放ちやがった。なんのために離れたのかと思えば、馬鹿なことをしやがって!
俺は急いで立ち上がり冒険者の前に立つ。もちろんこの冒険者に当たれば大けが間違いなしだっただろうが、学園を卒業していないようなノロノロへなちょこ火魔法なんて、俺ならいくら受けても問題ない。
ボフンッ
俺に着弾するまでに結構かかったが、これで優秀なんだろうか。あ!俺の服がちょっと燃えてる!手で払ったけど火の粉が飛んだみたいだ。......さて、どうしてくれようか。
煙が晴れると、突然俺が立っていることに驚いた学園生の3人は絶叫にも似た声で喚きだす。
「おい!なんなんだ!?貴様は、この俺を誰だと知っての狼藉か!」
「そうだ、この方は公爵家の方だぞ!」
「謝れ!」
学園生の3人、いや、もう3馬鹿でいいよな。3馬鹿は事の大きさを理解していないようで、意味がわからない家柄自慢を続ける。
俺がそれにつきあってやる意味もないので、喚く声をぶった切って説教してやる。
「おいこらッ!お前らは自分が何をしたのか理解してねぇのか!!人殺しになるところだったんだぞ。魔法をこんな街中で、それも戦闘能力の低いGランクの冒険者にやっていいと思っているのか?」
俺の説教に3馬鹿も少しはひるんだが、どうにも反省はしていないようだ。
「うるさい!俺は貴族だぞ!そんな口の利き方してもいいと思っているのか!?お前なんて父上に言って逮捕してやるからな。」
「「そうだそうだ」」
「うるせぇ、取り巻きは黙って引っ込んでろ!!そんでな、馬鹿貴族の坊ちゃん。逮捕か。」
俺が一呼吸おいて次の言葉を続けようとしたところで、馬鹿貴族は俺が怯んだと思ったのか、勝ち誇ったように、得意げにしゃべりだす。
「ふふん、分かればいいんだ、この場で土下座す「やれるもんなら、やって、みな?」れば...へ?あ...が...」
怯んだわけないだろうが。今度は全力で〔王威〕を発動させたことで、馬鹿貴族は気絶、取り巻きも涙目だ。できるだけ一人に集中させたから、それくらいで済んだわけだな。
これに懲りて馬鹿なことをしなくなってくれればいいんだけどな。
「う、うわぁあああああ」
「ば、化け物ぉおおおお」
そういって逃げようとする取り巻き達。おいおい、馬鹿貴族忘れてるって。
「おーい、忘れものだぞぉ、そーいっと。」
忘れられていった馬鹿貴族を彼らに向けて投げ渡す。おー、きれいに着弾したわ。足もって引きずられていったぞ。頭ぶつけまくってるけど、家まで無事に着けるかな、あれ。
馬鹿貴族たちが見えなくなってから、近くにいたGランクの10歳くらいの男の子がお礼を言ってくる。
「あ、あの、ありがとうございました。助けてくれて。えっと、お強いんですね。お礼はどうすればいいですかね。」
「ああ、別にいいよ。あれは冒険者全体としても無視できないからね。売られた喧嘩を買ったみたいなもんさ。ただ、明らかに貴族何かが入ってきたら、とりあえず出ていった方が余計なトラブルに巻き込まれないで済むぞ?」
「はい!次からは気をつけます。それでは、僕は午後も薬草採取がありますので、失礼します。」
そう言ってギルドを出ていく少年。好感の持てる少年だったな。それに素直だ。ああいった子がいろんなことを吸収して強くなるのかもしれないな。そうであったらいいな。
さて、余計なトラブルが解決したところで、レイアはまだかな。
再び席に着きレイアを待つかと、深く座ったところにギルドの職員がやってきた。
「失礼します、アルカナ様、グランドマスターがお呼びです。ご同行願えますか?」
え?グランドマスター?何かしたかね。もしかしてさっきの?手出しちゃいけない貴族だったりしたかな。不安になってきたが突っぱねるわけにもいかない。
しゃーない、ついて行こうか。
グランドマスターに会いに行きましょう
拙作を読んでいただきありがとうございます.
「面白い」「続きが読みたい」「人外モノっていいよねb」
と思っていただけるようなら,ブックマーク,評価をしていただけると励みになりますのでどうかよろしくお願いします.
ここより下にある星を塗りつぶして評価してくれるとありがたいです。
☆☆☆☆☆ → ★★★★★
すでに評価ブックマークしてくださった方は引き続きお楽しみください.




