第6話 『〔換装〕ホブゴブリンスピア―!』
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俺とホブゴブリンとの攻防は一向に終わる気配がなかった。
ホブゴブの槍は俺には効かないし、俺の〔拳骨〕は槍で余裕をもって防がれる。後ろにいるキングは、だんだん我慢できなくなり始めている。
「グギャギャッギャギギ」
キングからの命令とも思われる声が聞こえてくる。それを聞いたホブゴブはなんだか焦ったように槍を突きだした。
焦っているからか少しずつ槍にさっきまでの余裕はなくなり,だんだん俺の〔拳骨〕が当たり始めている。
「ギャフッ、グギギア」
俺の〔拳骨〕がホブゴブの腹部に当たると、やつは倒れた。
やったか?あっとやばい。
俺がフラグを立ててしまったと思ったが、やつは起き上がらない。
レベルアップの通知がないことから倒せてないような気がした.それに当たった感触もあまり深くなかったと思う.我慢が切れかけているキングを警戒しながら、〔戦力把握〕でホブゴブを見る。
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名前:―――
種族:ホブゴブリンスピア―
性別:オス
レベル:8/20
体力:0/101(43/101)
魔力:13
筋力:557
耐久:26
敏捷:48
精神:16
運 :24
【固有スキル】
〔繁殖〕
【通常スキル】
〔槍術〕〔騙し討ち〕≪発動中≫
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お、おう。死んだふりか。通常スキルの偽装系スキルだからわかったんだろうな。〔戦力把握〕はやっぱすげえな。さすが伝説.
ていうか、こいつ、裏切るわ騙すわで本当にどうしようもないな。あっ、ちょっとニヤけてやがる。
とにかく、こいつはまだ死んでないってことがわかったし、とどめを刺す前に、ゴブたちの武器でももらうか。
俺は、キングとホブゴブの二匹に警戒しながらゴブの武器を拾う。そしてとどめを刺そうと近づいた。
「グギャギャギャギャギャゲゲッゲ!!」
キングが俺のほうに向かって棍棒を振りながら走ってきた。やっぱり我慢が続かないのね,キングでもゴブリンはゴブリンってことなのだろうか.
向かってきたキングはホブゴブにとどめを刺すために近づいた俺に向けて棍棒を振り下ろす。
「グギギエエエエエエ」
しかし聞こえたのは、俺の声、ではなく、死んだふり中のホブゴブの声であった。
俺はそのあとすぐにキングから距離を取り見据えた。
そこで見た光景に息をのんだ。
一撃で首の骨を折られて絶命したホブゴブを見下ろしてキングは何かを言っているが、それが謝っているのか、貶しているのかはわからない。
しかし確かに言えるのはその眼には涙がたまっていることだった。
そう,ゴブリンキングは泣いていた。
そのままキングはホブゴブの体を掴むと無造作にこちらに向かって投げつけてきた。さっきのは,貶してたんだな。我慢がきかなかったのは,俺じゃなくてあいつに対してか?
飛んできたホブゴブをそのまま〔骨壺〕に入れると、ゴブリンキングに向かいあう。
キングはすでに戦闘態勢で、棍棒を構えている、かと思いきや、ホブゴブに殺されたゴブリンの1体を自分で掘ったであろう穴に埋めていた。
何か特別だったのかもしれないな。少し待ってやるか。興味がある.
俺は今のうちにすこしでもちからをつけるために、ホブゴブの骨を食べることにした。
ある意味で俺と互角の戦いをしたホブゴブリンの骨は3のステータスになった。そして、皮を再び〔骨壺〕にしまって、俺は構えて待った。
すぐにゴブリンキングは俺のほうへと向き直り埋めていたゴブリンを守るようにして立った。
その眼にあるのは、悲しみの色から明らかな憎しみの色になっていた。
「グギャギャギャギャギャア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
ゴブリンキングは俺に向かって突進しながら咆哮する。
くそ、避けられない。
俺は腕をクロスして、突進を受ける。しかし、物理的な質量差によって俺は、ふっ飛ばされて、壁に激突した。
初めてのダメージだ。さすがにまずい。
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体力622/636
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あまり減ってないが、このままじゃまずいな。こっちの決定打がない。〔拳骨〕しかない俺にとっては、武器の差はでかいな。体格差もある。
俺は、自分のステータスとゴブリンキングのステータスとを見比べ、勝利までの道筋を立てる。すると俺のステータスの〔換装〕が点滅している。
それに注目すると、選択肢が頭の中に浮かんできた。
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〔換装〕
➡(武)ボーンスピアー
(武)ゴブリン棒
(武)ゴブリン棒
(武)ゴブリン棒
(体)ホブゴブリンスピアー
×(体)ブラドバット
×(体)ブラドバット
(体)ゴブリン
:
:
:
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ボーンスピアーとゴブリン棒はわかるんだけど、なんでホブゴブリンスピア―とかブラドバットがあるんだ?それに、ブラドバットの×はなんだ?
とりあえず、ゴブリン棒を2つ選択する。すると手元に2つのゴブリン棒が出現した。
俺はそれを握ってゴブリンキングに向かう。
「グギャギャギャグギャ」
ゴブリンキングが棍棒で横薙ぎにしてくるのを避けて腹に向けて一撃を放つ。しかし、俺の攻撃はあまり通らない。
どうしようか打開策を悩んでいると、〔骨格〕と〔換装〕のスキルの使い方が浮かんできた。
...これは、まじか。
そのスキルの使い方を頭の中で反芻して、作戦を立てて,俺は〔骨壺〕からボーンスピアーを〔換装〕する。
そして俺は、作戦を実行に移すために、声のない声を出す。
『〔換装〕ホブゴブリンスピア―!』
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