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第39話「よし!旅の道連れゲット、てことでいいじゃないの。」

お読みいただきありがとうございます。


この世界には3柱の最高神、俗に世界神と呼ばれる神々がいる。


〔戦争と死の神〕オーリィン、〔創造と破壊の神〕ブラウマン、〔豊穣と生命の神〕ガリア


世界創造をしたのがこの3柱であるとされている。しかしそれは、正確には正しくない。

この世界ができたことには神は直接関係してはいない。事実、3柱の世界神は世界創造された後、この世界にやってきて、世界の構成要素を作ったのだ。


あらゆる物質や一部を除いた概念をブラウマンが作り、生命あるものをガリアが作った。そして、死という概念をオーリィンが作った。そして、細かい概念によって神が新たに発生する。


世界神に限らず神にはそれぞれ、神獣と呼ばれる御使いが存在する。それは、世界神から下級神まで、さまざまで、彼らは総じて高い能力を持ち、自らの神に仇なすものを駆逐することが大概の役目である。


神獣は数多の時を過ごす中、一度死を経験することで神格を得る。しかし、これに要する時間は途方もない。この世界には神格を得た神獣は、リオウを含め3柱のみで、そのすべてが世界神の神獣である。世界創造の直後より存在する世界神の神獣がやっと神格を得るに至ることから考えても、途方もない時間が必要であるということがわかるだろう。


さらに世界神には神獣とは別に従う魔物がいる。根源種、または、超越種という魔物の中でも最高位に存在する。各世界神の根源種は、スケルトン、ドラゴン、吸血鬼の三種で、それらの根源種をそれぞれの神が所有し、次代の神を育成する。世界神によって育成方針に大きな違いは存在するが。







話は先ほどの現場に戻る。


今俺の目の前にいる女は、なんて言ったのだろうか?


「ガリアに仕える真祖吸血鬼」だと?


ガリアってことは、吸血鬼の根源種ってことだよな?なんで?冒険者なの?てか、まさかこんなに早く会うとはな。

確かに会いたいとは思っていたけどさ、早すぎね?もっとぼちぼちぶらぶらしながら会いたいなぁ、なんて考えていたのに。


それになんか違うし。


「あなた様は、神獣様なのですよね?〔戦争と死の神〕オーリィン様の神獣様は人化する、その姿は獅子獣人であるということは、ガリア様からお聞きしています。ですので、隠されなくても大丈夫ですよ。私もあなた様より下位の存在ではありますが、同じく世界神に仕える身としては、とても遠き他人とは思えません。」


レイアはどうにもこちらを敬うように語りかけてくるが、俺としては困ったものである。


どうにも勘違いされているようだ。あながち間違いでもないわけだから、強い否定はできないが、正しいわけでもない。ここは俺も彼女に根源種であることを言っておくべきか?言っておくべきだろう。俺と彼女では超越化しているかはわからないとしても、ほとんど同じ立場であるということはわかっているわけだしね。向こうも俺にいろいろ教えてくれたのだから、それくらいはいいか。だめなはずがないよな。


どうせここには俺たちしかいないのだからと、意を決して話しかける。


「一つ訂正しておきたい。」


俺がそう切り出すと、彼女は俺のほうを見て少し口角を上げて言う。


「はい、なんでしょう?」


こてん、と首をかしげるその姿はやばい。

おい、マジで抑えがきかねえぞ。さっさとマスク脱がんと、まずい。急げよ急げ。


「俺は神獣じゃないんだよ。本物は、今も死の祠でオーリィンと一緒にのんびりしているはずだ。それに俺は、あそこまで化け物ではないよ。全力でやっても、まだ勝てないさ。それだけの差が根源種と神獣にはある。他の下級神の神獣ならわからないけど、世界神の神獣ってそういうものだろ?ガリア(そっち)にも神獣がいるんだからわかるだろ?しかもすでに神格を得ているらしいじゃないか。」


俺の言葉には驚きを隠せないらしい。何を言っているのだろうかという驚きのようだけどね。


「神獣様じゃないってどういうこと・・・ですか?それに戦ったことがあるの・・・ですか?神獣様と?あなた、死にたいの!?・・・ですか?」


神獣として敬っていた相手が違うとか言い出して、混乱しているようだ。敬語を使うべきかどうかで揺れ動いている。


混乱しているのは置いておいて、当然の疑問ではあるよな。ただの神獣でもかなり強いらしいし、世界神の神獣となればはるかにそれを凌駕する、らしい。もしかしたら、ガリアの神獣と戦ったりしたことがあるのかもしれない。ちょっとやってみたいな。


神獣じゃなくて、引きこもりのリオウと戦ったことがあるって言うのであれば、そろそろ俺の正体にも気づきそうなもんだが。まあ、言っちゃうか。


「俺は、レイアと同じってことだよ。」


正体を明かすならこの姿よりは、と人化を解くと同時に獅子王面リオウマスクを脱いで本来の姿に戻る。

もちろんあの異様な量の数を誇る骨の姿だ。そこで気づいてしまったが俺の姿は、言ってしまえば全裸だ。恥ずかしい。骨でも全裸は全裸だ、異論は認めない。いや認めよう。

急いで服とローブのみを〔換装〕する。


俺の格好が変わってレイアは相当驚いたようだ。口が開いて固まってしまっている。その姿はさぞかし残念かと思ったがしかし、美人は何をしてても美人なんだな。惚れちまうやろ。


「根源種ってことですよね。それがどうして、神獣様と同じ雰囲気を?」


再起動したレイアは、まあ、当然の疑問をぶつける。もはや疑問ではなくただの事実確認だとは思うが、質問には丁寧に答える。


「それは俺のスキルとしか言えないな。俺はスケルトンの根源種、もっと言うと超越化をした根源種、『骨の王』だ。〔骨の王〕ってスキルは、個人差があるらしくてな。俺のはこういった能力としか言えないな。リオウ、あ、神獣ね。その死体をもらったんだよ。おっと、勘違いすんなよ。このリオウマスクは、その神獣様本人からもらったものだからな。けして奪ったわけじゃない。この間ちょうど神格を得たんだよ、あいつ。」


質問に答えるといっても、もちろんぼかすとこはぼかすけどね。まあ、ほとんど全部言ったようなもんだけど。


俺がスケルトンであることを知って、神獣から力を奪ったとか、思ったのかもしれないが、その手の疑惑はとっとと解いておくに限る。疑われ続けるのも嫌だしな、それもこんな美人に。美人とは友好的に行きたいじゃないか。わかるだろ?


後半の弁解はほとんど俺の美人に嫌われるのは避けたいっていうだけのことなんだけど。

まあ、それはいい。これで話しは終わりだろうが、一応俺の仕事の話はしておくか。


「さっきも言ったが、俺の『骨の王』としての仕事があってだな。地上に出てアンデットを狩ることを一応命じられてんだ。あっと、あくまで冒険者や騎士なんかが持て余す様なやつだけだがな。死神から連絡があった時だけ動くことになってる。まあ、冒険者としての活動の一環とか俺の邪魔をしたらそんなの関係なく狩るけどな。てことで、アンデットに関して手強いやつがいたりしたら、教えてくれると助かるよ。」


疑問も解けたレイアは俺の話を真剣に聞いていた。それから何かを決めたように俺を見つめる。


あんまり見つめられると、恥ずかしいじゃないか。しかーし!俺は今スケルトンなんで、どんなに誘惑されようが、俺に欲はない!ふははは、俺の勝ちなのさ!・・・・・・・・・むなしいな。


とにかく、何かを決めたように俺の目を見ているレイアが何か言いたそうだ。覗いてもそこには何もないぞ?


「どうした?」


「決めたわ。わたし、あなたについて行くことにするわ!私はガリア様からは、何かしないといけないなんて聞いてないし。私の好きにしていいって神獣様もおっしゃってたわ。それに、あなたみたいに強い人、嫌いじゃないもの。あの時の神獣様の格好の時にわかったけど、私より強い人ってなかなかいないのよね。今のスケルトンの状態でも、そこそこ強いみたいね。あなたならすぐにSSSランクまで上がるだろうし。一緒にいれば面白そう。」


「俺についてくるってことか?俺結構いろんな場所に行くつもりだぞ?それこそ、エルフの国とか、他種族の国も、獣王国もいいな。そんなの大変じゃないか?SSSランクってそんなに自由に動けるのか?それに吸血鬼って言ったら日の下を歩けないだろ?」


俺の疑問はもっともだと自分でも思うんだが、そこんところどうなんだろうか。立場があるって言うのは、時として自由を妨げる。もちろんその立場が自由を押し通すこともあるだろうけどな。


「その点なら大丈夫よ。〔日光無効〕のスキルも持ってたから。私は、吸血鬼でもただの吸血鬼じゃないの日の光なんて一切効かないわ。そうじゃなかったら、冒険者として人間だって押し通すことはできないわ。ね?いいでしょ?私も連れていって?」


すでに根源種という立場で押し通すことをしていたようだ。それならば断わる理由はない。

それにこんな超絶美人に上目遣いで目を潤ませながら言われたら、こんなの断れるわけないじゃないか。ドキッとした。断れない理由は十分なほどできてしまったな。


これが、世に言う惚れた弱みってやつか。・・・・・・・・・違うことにしておこう。え?ならない?そんなわけないでしょう。俺ってばそんなにチョロくは無いよ、絶対、きっと、たぶん、もしかしたら。


「よし、わかったよ。一緒にいこう。なんだかんだ言ってレイアはこの世界に俺よりも詳しいだろうからいろいろ知ってるだろうし、魔物が二人でいるとはだれも思わないだろう。俺にデメリットが一切ないってのはわかってることだしな。」


俺が手を出すと、レイアは俺の手を取り握手する。その顔はとてもうれしそうにはにかんでいる。


「あら、デメリットならあるわよ?私みたいな美人を連れていたら、目立つし、変な男が寄ってくるじゃない。虫除けになってもらうって言うのが、あなたにとってのデメリットってとこかしらね。」


確かに、そういうことはあるかもしれないが、美人といられるんだとしたら、それも一つの醍醐味だとして、デメリットには思えないけどな。


俺は握手したままに獅子王面を〔換装〕して、いつもの格好に戻る。手を握った状態で〔換装〕してもそのまま行けるみたいだ。このスキルにも慣れてきた。


「とにかくこれからよろしくな。俺は、もう少しの間はルグラにいるつもりだけど、そしたら、王都観光でもして、エルフの国?里?に行こうと思うんだ。飯がうまいんだよ。是非とも本場に行きたいと思ってさ。」


「ええ、それでいいわ。・・・・・・・・・私もここにいれば、すこしは見つからないだろうしね。」


「ん?なんだって?」


「何でもないわ」


ごまかされたけど、聞こえてたんだよな。一応聞き直したんだけど。誰かから逃げてんの?まじか、もしかして、ボディーガードとして利用されてる?もしかしてデメリット?まあ、こんなきれいな子に利用されるなら、いいか。よし!旅の道連れゲット、てことでいいじゃないの。

とりあえず、放置ってことで、何かあれば教えてくれんだろ。


「じゃあ、とりあえず俺の目的としては、いろいろ国を回りながら食道楽するつもりだから、よろしくな。」


「それならやっぱりAランクまでは上げたほうがいいわね。国を移動するのは、自由なんだけど、Bランク以下の冒険者は、定期的に依頼を達成する必要があるのよ。これは、あまり知られてないんだけど、ほとんどのBランク冒険者が他国に移動するときに護衛依頼を受けてないとその期間を超えてしまうのよ。他の国に行く依頼なんてそうはないけど、Aランクからならその縛りもないから安心よ。」


初めて知ったけど、それならやっぱり、Aランクまではなっておこう。とりあえずは、それが目標だな。冒険者としてやることが増えたわけだが、指標があるというのは難しいことを考える必要がなくなっていいや。


「わかった、それを目標にしよう。ルグラでそれを達成したら王都に向けて移動しよう。よし、これで話は終わりにしようか。腹も減ったし飯を食いに行こうかね。レイアはどうする?エルフの国の飯だからうまいぞ。」


「エルフのご飯ね。初めてだわ。うふふ、楽しみ」


スキップしながら俺を置いて食堂に行くレイアは、本当に楽しそうだった。






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