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第37話 「どういうことだ?」

お読みいただきありがとうございます。


朝の鐘が鳴った頃に目が覚め、伸びをして起き上がり着替える。ドヴァルに装備は預けてあるため、昨日と同じような黒色の服一式だ。

着替え終わると、ドアがたたかれ、ブレッド君の声が聞こえる。


「朝食の準備ができたよ。兄ちゃん、食堂に来て」


そういってそのままほかの部屋の客も起こしに言った。

起きてそうそう腹が減っていたので、そのまま食堂へといって食事が運ばれてくるのを待つ。ヘレンさんも俺が入ってきたのを気づいているはずだから、わざわざ何かを言う必要はない。

すぐに来た食事は、まさに和風といってもいいものだった。


「おぉ」


これにはたまらず声が出る。まさか、この世界にきてからこんな朝食が食べられるとは。俺の目の前にあるのは、何かの卵と白ご飯、納豆っぽい豆、味噌汁、それに鮭っぽい焼き魚。

食べてみたが、ほとんど想像していた通りの味だが、それよりも少しだけうまい。何かあるのかもしれない。が俺にはわからないのでそういうものだと理解する。


「どうです?今日もおいしくできているでしょう?」


ヘレンさんがいい笑顔で尋ねてくる。確かにうまいのでそのまま肯定する。サイフィズの腕もあるだろうから、自慢げになるのもわかる。良い旦那を持ったね、ヘレンさん。


腹も膨れ、満足したところで部屋へと戻る。とりあえずは、俺は今日何をするかを考える。

まず、ドヴァルのところに行くのは確定だ。しかしそんなことは午前中には片が付く。そうなってくると、依頼を受けようか。昨日の報酬がほんとにもらえるとは限らないし。


今日は依頼を受けることを決める。なんだかんだ言って、盗賊から巻き上げた金もそろそろ少なくなってきている。結構いろいろと買ってしまったからな。ドヴァルへの支払いは、少しだけ待ってもらいたい。


予定が決まってからの俺の行動は早い。すぐにドヴァルのもとへと向かう。

ドヴァルの工房では、ドヴァルのほかに一人若いドワーフの青年がいた。


「いらっしゃいませ。本日はどういったご用件でしょうか?」


ドワーフらしくない物言いに少しだけ固まる。しかし固まってばかりはいられないので、ドヴァルの居場所を聞く。


「親方ですか?親方なら奥にいますが、初めての方には合わないと思いますよ?今、僕がいない間に受けたらしい装備の修復が終わってくつろいでいますので。」


「ああ、それなら問題ない。その依頼は俺がしたものだ。今日来たのもその装備を受け取りに来たんだ。できているということでいいんだな?」


ハイ、といって、青年は奥へと入っていく。少ししてドヴァルと一緒に出てくる。


「すまねえな。お前のことを教えとくの忘れとった。とりあえずこれがお前の装備なんだが、かなり苦労したぞ。あんな状態になるような、腐敗スキル持ちの魔物なんてこの辺に現れたのか?」


「あー、まあ、そうだな。もういないからそのことは言わんで置いてくれ。とりあえずありがとな。これ代金だ。」


提示された代金は問題なく払えてよかったよかった。


「おう。こいつは、一応俺の弟子なんでな。何かあったらこいつに言っといてくれ。まだ髭もはえそろっとらんが、才能はピカイチじゃ。わしの後を継ぐのはこいつだからの。お主のその鎌は、わしかこいつぐらいしか整備できんから気をつけてくれ。まあ、めったに整備が必要な状態などならんがな。アンデットを切った時だって、平気だっただろ?」


「確かに、アンデットを切っても全然平気だったな。いい買い物をしたよ。それに青年、よろしくな。」


「ハイ。よろしくお願いします。僕の名前は「いい!まだお前は青年で十分じゃ。客に名乗るのはわしから独り立ちできるようになってからじゃ。」・・・・・・・・・はい。」


「ははは。」


弟子ってのも大変だな。俺はだれかの弟子ってわけではないから、気楽なもんだ。


「じゃあ俺は行くよ。そろそろ依頼も受けないと、金がなくなってきた。」


「応。また来いよ。」



鍛冶屋を出て、ギルドに向かって歩く。その途中にある屋台でいろいろ食べ物を買い、次々度食べたり〔骨壺〕に入れて保存する。

昼ぐらいまで食べ歩きしながら、結局満足するまで食べた俺は、腹ごなしをかねて走ってギルドに行く。


ギルドにつくと、中にいる冒険者の目はすべてこっちに向いている。少しして、ゴードンと一人のひょろ長いやつを抱えたおっさんたち、それとギルドマスターと昨日のSSSランクのレイアさんが来た。


「おいおい、これはどういうことだ。俺が何かしただろうか?」


正直心当たりがない俺が言うと、全員の目が今度はレイアへと移り、そのあとゴードン、ひょろながと移る。

俺のほうを見てレイアとギルドマスターが尋常じゃなく汗を流しているが、どういうことだ?


「昨日のゴブリンの集落を殲滅したのは、ほんとはお前だっていうじゃないか。これはどういうことだ?」


!?なぜばれてるんだ?こいつらバラしやがったな!?

俺がレイアとギルドマスターのほうを見て睨むと、二人はすごい速さで首を振る。

こいつらじゃないのか?じゃあ誰が?

そう思って考えようとすると、ゴードンが話す。


「なんでばれたかわからないって顔だな。こいつがあの集落をお前が潰すところを見たって言うんだ。こいつもお前と同じように抜け駆けしようって口でな。そこでお前がやったのを見たって言うんだ。」


あくまで、小さい声でやってくれているが、その声にはしっかりと威圧を含んでいる。まさかみられているとは思いもしなかった。そりゃこれだけの依頼なら、抜け駆けしようってバカなやつもいるよな。はあ、なんで気が付かなかったんだ。〔気配探知〕にも引っかからなかったってことは、相当な使い手かもしれない。とりあえずとぼけておこう。


「いや、知らないな。俺は、確かにあそこに入ったが、〔認識阻害〕で身を隠してだから、そんなことはしてないぞ。それに、仮にできたとして、こんなところで、自分のスキルにかかわることなど言うはずがないだろう?」


そうなのだ。冒険者足るもの自分の手札を安く見せびらかしたりしない。

俺の言葉にそれもそうかとゴードンは納得したようだが、後ろにいるひょろながはそうはいかなかったようだ。


「嘘でヤンス!声は聞こえなかったスけど、おれっちは見たッス。あそこでそこの人がゴブリンたちを集落ごと消し飛ばして、そのあと、こんなにでっかい鎌で進化個体を一瞬でやっちゃったんスから。そのあとは気絶しちゃって見てないスけど。そこは間違いないス。」


声は聞こえてなかったようでよかった。人化といたの見られたらもっとまずかったわ。ていうか声がでかいよ。周りにいるやつがなんだかこいつをかわいそうなやつを見るような目で見ている。ヤジも飛んでき始めた。



「お前嘘ばっかついてんじゃねえぞ。つくならもっとましな嘘つけ!」

「そんなひょろいやつがそんなことできるわけないだろ!」

ぷち

「そんな軟弱なやつ、ゴブリンにも勝てないんじゃないか?てか女じゃないか?」

ぷち

「どうせ、お前らグルなんだろ!嘘ばっかついてないで薬草採取でも行ってきやがれ!!雑魚野郎が!!」

ブチンッ


三人ほどから発せられる罵声には少しばかりイラつく。

どうやら俺は自分が思っていたよりも沸点がかなり低かったようだ。


話がそれるのは願ってもないが、いささか侮辱が過ぎる。こういってはなんだが、温厚な俺もすでにブチ切れている。


今回俺がキレるに至った理由は3つ。


一つはひょろいといわれたことだ。これでもいい身体をしていると自負している。それに恩人にもらった体だ、それを侮辱されるのは我慢ならない。


二つめは俺を女といったことだ。俺はこの世界に来る前の顔を知らないが、今の顔は中性的な顔をしている。決してブサイクではないしむしろイケメンだと思うが、男らしくはない。

そこに触れるなど万死に値する。


三つめはグルと言われたことだ。俺とこんな胡散臭いやつが仲間だとは笑ってしまう。しかし、すでに激高状態にちかかった俺にとっては、それはただ火の付いた導火線に油ををぶっかけただけだった。


躊躇なく〔骨壺〕からイシュガルを取りだす。


「おいおい、なんで武器出してるんだ?って待てよ、おい!」


ゴードンの静止を無視して、今言った3人のもとへと移動する。俺の今の動きが見えるのはここでは、ギルドマスターとレイアさんだけだろう。一瞬で3人を一か所に集めると俺は閉じていた刃を展開し大鎌モードで3人の首筋にあてる。今俺が動いた風圧で店の中はめちゃくちゃだ。


威圧しながら話しかける。


「いろいろ言ってくれたな。お前らは虎いや、獅子の尻尾をふんだんだ。覚悟しろ。」


「 「 「ヒ、ヒィィィィィィィィィィ」 」 」


三人はすでに恐怖のあまり、失神寸前だが、何とか意識を保っている。


俺が鎌を引こうとするとその手は止まる。俺の腕はレイアさんに止められていた。彼女の力は今までの人類の誰よりも強く、力をセーブしている俺と同じくらいだ。だいたい筋力値は九万から九万五千といったところだろう。

手を止められたことに不機嫌になるが、睨んでいてもしょうがない。


「なに?」


「あなたが手を汚す価値はない。あそこのひょろいのもそう。だいたいのことは私も聞いたからあとはギルドマスターに任せればいい。」

『ギルドマスターは幻属性魔法が使える。それで記憶の消去ができる。だけど、ゴードンや私にはそれは効かない。』


突然、〔念話〕で話しかけてきた。


『そんなこと出来るのか?それならいいがこいつらは許せないな。』


『それも大丈夫、ギルドマスターが何とかするわ。』


レイアさんがギルドマスターに視線を向けると彼は頷き、何か詠唱を始める。


記憶消去メモリデリート


そういった瞬間にその場にいた、俺、ギルドマスター、ゴードン、レイアさんを除いたすべての冒険者とギルド職員が倒れる。


「これで大丈夫だ。もうあのことを覚えているのは今立っている4人だけだよ。アルカナくん、今回のことはすまなかった。まさか、〔遠見〕と〔気配遮断〕、〔魔力遮断〕まで持った人材が埋もれてるなんて思いもしなかったんだ。これからはもっと気を引き締めるよ。」


「そうか、それならもういい。こいつらも用済みだ。余計なことをしないで済んだ、ありがとうレイアさん。」


「お礼なんていらないしさんもいらないわ。レイアよ、よろしくね?うふっ。私は、自分がやっていないことをやったといわれるのはいやだもの。それに、あなたにも興味があるわ。あなた、ただ〔獣化〕できる獣人ってわけではないでしょ?」


レイアさ、いや、レイアはそう言って俺に握手を求めてきた。俺はその手を握り返す。

てか、うふっ、ってなんだよ、あざといな、ウインクですよ。実際にやる人いるんですね!!はい、かわいいですよ。


レイアさんの容姿は控えめに言って絶世の美女。きれいな銀髪を背中に伸ばしている。身長は170cmほどと、女性にしては高い身長に、豊かな双丘が存在する。薄桃色の瞳が印象的だ。


はっきり言って好ましいですとも、ええ、そりゃもう。


まあ、それはおいといて、名残惜しいが手をはなし、話も戻す。俺のことを少しは話していいだろう。レイアも何かしらある境遇だろうことはわかっているのだ。


その腕には、見覚えある腕輪がある。それは俺にしか見えないようだが、おそらく意図的だろう。そう思っていると、レイアから念話が飛ぶ


『あとで、二人きりで会いましょう?あなたも話したいことがあるでしょう?』


別にないが、まあ、どうしようか。いいか。俺は念話で了承の旨を伝える。別に、何かあるとか期待したわけではないからな!!


俺たちが話していると、一人だけ訳の分からないゴードンが根を上げる。


「俺にもわかるように教えてくれないか?」


その言葉にレイアとギルドマスターは頷く。


「そうね、じゃあ、ギルドマスターの部屋で話しましょう。そこで説明してちょうだい?」


説明するのは俺か。正直めんどくさい。バックレられないだろうか。よし。バックレよっと。


そろーと出ていこうとするとレイアに腕を掴まれ引かれる。そこで俺は冷静な判断ができなくなり、抜け出せなくなった。当たってるんですよ、アレが。


煩悩って、無くならないんだよね。今、こんな(獣人)だし


そういえば、人化してるときに、スケルトン時の食欲と睡眠欲が押し寄せてくると仮定すると、性欲もそうなってるよね。そりゃ無理だわ。




事情説明しましょう


拙作を読んでいただきありがとうございます.


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