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第250話 一方その頃5

拙作をお読みいただきありがとうございます。総合評価3000pt到達。ありがとうございます。

ブクマや評価は書く気力を与えてくれます。今後とも宜しくお願いします。


*****

Sideレイア=ブラッドレイ


海龍王によって守られた隠れ島を出発したアルカナが【加護】を駆使しながら必死になって小舟を牽いて泳いでいた頃、アルカナの相棒であるSSSランク冒険者、『女神』レイア=ブラッドレイは、こちらも必死になって戦闘をしていた。


「ちょっと!いくら倒しても!終わりが見えないじゃない!アーサー!どうなってるのよ!」


倒せども倒せども押し寄せてくる魔物の大群にレイアは辟易しながら同行者である『大英雄』アーサー・クラウドリンに言った。

レイアが苛立っていることなどお構いなしにアーサーは手近な魔物をちぎっては投げの大乱闘。終いには笑いだす始末。


「ハハハハハッ!いいぞ、いいぞ!楽しいではないか!!」


アーサーに聞いても無駄だと思ったレイアはとにかく目の前の魔物をすべて駆逐しようと魔法の準備に入る。数か月前にはアルカナが前に立って壁役になってもらっている間に集中しなくては、発動するのもままならなかった合成魔法も、今ではこうして動きながら、別のことを考えながらでも使えるようになっている。

これは、紛れもなくアーサーと過ごしたこの二か月弱の成果だった。


****


時を遡ること約二か月。アルカナと別れて4か国会談に参加したレイアは、アーサーの強制的なブートキャンプに参加することになった。

もちろん、拒否したが聞いてもらえるわけもなく、諦めて付き合うことにしたのだ。


「嬢ちゃんはまだ〔合成魔法〕を習得しきれちゃいないんだろ?それならミツバを回りながら修行すればいい。この国ならすぐに戦闘経験が倍以上に膨れ上がるぜ。」


アーサーが言うことは間違いではない。なぜなら、組合連合国ミツバという国は他の同盟3国が所有しなかった土地に建てられた国だ。

では、なぜ3国が所有しなかったかと言えば、それはその地の魔物の多さが原因に他ならない。その土地を治めるにはあまりに魔物が多く、町一つ作るにも魔物の襲撃が絶え間なく行われ、それどころではないということが分かり切っていた。


しかし、冒険者ギルドを要する組合連合は、それをどうにかする戦力を持っていた。正確にはそれに協力する冒険者が多数いたのだ。

組合連合は冒険者の力を最大限に発揮して一時的な魔物の駆逐に成功し、国を興した。組合連合は組合連合国ミツバとして他の近隣三国と同盟を結び、今に至る。


一時的に駆逐した魔物は現在ではその数を元に戻し、全盛期と同程度に魔物が存在する国となった。

それ故に冒険者の数が最も多い国としても有名で、冒険者の誕生数も一位なのである。


そんな国を回るということは、町と町の間を移動するだけでも数えきれないほどの戦闘をこなす必要があり、修行という点では相手に困ることはないのである。


「安心しろ。まずは嬢ちゃんでも捌ける程度の地域からにするからよ。ほれ、行くぞ!」


アーサーは持ち前の行動力で、レイアを連れまわす。腕を掴まれてしまい、振りほどくこともできずに連れ出されたレイアはいつの間にか自分の体が浮いていることに気が付き、もはや抵抗は難しいことを悟る。


(エルフの国へと迎えるのはいつになるかしらね。アル・・・ごめんなさい。)


心の中でアルカナに謝るが、そのアルカナがアクシデントに巻き込まれたせいで行方不明になったことを知るのはそれから約一か月後の話だった。


***


一週目、アーサーに連れられてゴブリンやオークなどの人型の魔物が群れを作り、時には国を自称して近隣の町を襲撃することが頻繁に起こる地域を移動した。

人型というだけあって弱点が明白なのもあり討伐自体は苦労しなかったが、その数は魔力を空にしても追いつかないほどで、最終的には〔血液武器ブラッドウェポン〕で肉弾戦をすることになった。


二週目、ゴブリンやオークを根絶やしにするとアーサーはレイアを連れてベルの地域へと移動する。今度は四足の魔物の集合地でオオカミ系や熊系、中には虎系の魔物が集まる地域の中を移動する。

これまでは住民にも被害がなかったため放っておかれていたのだが、この程、民家の家畜を襲う事案が発生した情報を聞きつけたアーサーが事態の解決に動いたのだった。

それに巻き込まれた形のレイアは、先週の疲れが抜けきらないまま、獣型の魔物を相手取ることになり、魔法で何とか応戦して切り抜けた。基本的に根絶やしではなく間引きだったのが幸いしたのかもしれない。


三週目、今度は山登りをすることになった。ミツバには未開拓の山や森が点在しており、今回は山に巣食うオーガの討伐を任された。本来はアーサーに来た依頼だったのだが、腕試しということでレイア一人で行くことになったのだ。

しかし、行ってみてびっくり仰天。そこにいたのはオーガではなく、グランオーガの群れで、しかもそれを統率していたのはグランオーガキングというSSSランクの魔物だった。

グランオーガの群れは幸いにも【豊穣と生命の神の加護】によって強化された〔自然魔法〕と〔水魔術〕の〔合成魔法〕で一掃できたため、相手取るのはグランオーガキングだけで良かった。

グランオーガキングとの死闘は四日間に渡り、昼夜を問わずに戦い続けた。その結末はアーサーが乱入したことによる、あっけないものだったが、アーサーによると「まだグランオーガキングは早かった。」だそうだ。

レイアは「だったら最初からあんたがやりなさいよ!」と言ったのだが、それは無視された。何とも都合のいい耳である。


四週目、再び連れ出されたレイアだったがだんだんと慣れてきたようで、すでに魔力切れが起こることは無くなりつつあった。

このころには〔合成魔法〕も完全に習得し、今では大量の魔物を相手にする時は大規模な〔自然魔法〕と〔水魔術〕の合成で素材を傷つけることなく全滅させられるほどになった。

この頃になると、町を移動する際に苦労することは無くなり、移動もその日のうちに次の町へと到着するなど、異常ともいえるアーサーの行動に合わせられるようになっていた。


そしてこの頃、ギルドによるとある手紙が届けられた。

その手紙の差出人は、エルフの国とベルフォード王国を結ぶ貿易船の副船長でアルバトロという男だった。

その手紙にはある海域で自身の仲間であるアルカナが、巨大な魔物に攫われて行方不明になったことが書かれていた。

あまりの衝撃に、レイアの涙腺が緩みかけたが、アルカナが最後に残した伝言『心配するな。すぐ行く。』というのを受け取ると、流れ出そうになる涙が止まる。


(そうだ。アルは簡単に死ぬわけがない。そもそも海に引きずり込まれても死ぬはずがないじゃない。)


そう思ったのだ。スケルトンである彼が死ぬことは簡単ではない。そもそも彼の圧倒的な防御力を貫通できる存在など聞いたことがないので、心配は杞憂だと思いなおした。


翌日には立ち直ったレイアはアーサーに事情を話すと、アーサーは残念そうに「すぐに会うのは無理かもしれん。その海域は海王の逸話が残る海域だ。」と言った。

詳しく聞くと、アルカナならすぐには戻ってこなそうだという予想が出来て、自分の修行のために、もう少しアーサーについて行くことにした。


それからの一か月はとても刺激的だった。ミツバ中を動き回り魔物を討伐し続けたことで、あまり上がらなくなっていたレイアのレベルは格段に上がり続け、ついには400を超えた。

ミツバに点在する希少な種族にも会うことが出来て、自身の装備や装飾品の強化もすることが出来た。そして、気づけば自身の従魔まで掃討に強化されていたのだからアーサーには感謝しかない。


アーサー曰く「俺についてこれたのはディアギウス以来だ。近年はなかなか骨のある冒険者がいなかったからな。だから『死神』とかいう小僧には期待しているんだ。俺と共に民の安全を守れる男かもしれない、とな。」らしい。


知らぬところでアーサーに値踏みされることが決定してしまったアルカナには同情するしかないが、行方不明だった間にもきっと強くなっているであろう彼を思い描いて、この対戦カードは見てみたいかもしれないと思ったレイアだった。


***


アーサーに連れられて各町を経由しながら魔物を倒し続けることが二か月を超えて三か月に迫ろうとしていた。レイアにとって穏やかではないが、日常となりつつあったその頃、ギルドから手紙が届いた。


その手紙は行方不明になっていたアルカナが発見されたとのことだった。ギルドが直接、知らせてきたことにも驚いたが、それに書いてあったことにはもっと驚いた。

発見されたアルカナが、事前に合った情報とは異なり、人族でも獣人族でもなかったらしいからだ。

発見されたアルカナは、容姿は情報通りだったらしいが魚人に近い見た目をしており、髪の色は青く手足の指の間に水かきが付いていたそうだ。


ギルドとしても情報とは違い怪しく思ったそうだが、自らアルカナと名乗ったそうなので偽物の可能性も考慮した上で一応レイアに連絡をよこしたようだ。


レイアはそれが本人だと確信する。アルカナが姿を変えることが出来るのは知っているし、髪の色が変わったくらいは許容範囲だ。むしろ大して変わっていない部類である。なぜなら巨大な獅子に変異することもできると知っているのだから。


アルカナの現在地はエルフの国とのことで、やっと彼が目的地に到着したことを知ったレイアは自分も動くことにした。


「アーサー、少しいいかしら?」


レイアは宿で食事をしていたアーサーに時間があるか尋ねた。アーサーの席の向かいに座ると、自分の食事を頼む。


「ん?ああ。何か用かい、嬢ちゃん?」


「ええ。私、そろそろエルフの国に向かおうと思うの。」


「そらまた急だな。何かあったか?」


アーサーは急な話に首をかしげる。彼の情報網にはエルフの国での出来事が入って来るのか、それらしき情報はないようだ。

レイアはそんな彼にギルドからの手紙を渡す。それを呼んだ彼がレイアを見てやはり首を傾げる。


「本当にここに書かれている此奴が嬢ちゃんの待っていた『死神』なのか?」


「ええ、間違いないわ。彼ならあり得るもの。」


「見た感じ種族変わっているが、そんなことがあり得るとは思えんがなぁ。」


「そこは彼の手札に関するところだから。貴方でも話せないわ。」


「そりゃそうか。まあ、行けばいいさ。俺が嬢ちゃんを鍛えたのは、ただの昇格祝いだからな。ここまでついてきてくれただけで十分さ。

あー、これからは作業量が倍になるのか。そいつは面倒だ。」


「そうね。頑張って。」


「フンッその内、『死神』の野郎を連れて来てくれや。」


「もちろん。」


こうしてレイアの修行は一時の終わりを迎える。そしてこの日の翌日、レイアは組合連合国ミツバからエルフの国へと飛び立った。


これはアルカナがエルフの国へと入国してから半月が経過した頃の話である。


*****

Side???


あーあ。やっぱり駄目だったかぁ。でも、仕方がないよねぇ。まさか特異指定冒険者があそこまで強いとはさ。しかも、今代の骨の王らしいじゃない。


いやぁ、盲点だったよ。それはあれくらいするかもねぇ。所詮は偽りの神かぁ。


デルキウスにも期待していたんだけど、結局のところ、潜入していた駒を失うだけだったし。悪なる神と言っても、万能じゃないよねぇ。


コンコン


「ん?入っていいよ。」


「ハッ、失礼します。」


「うん、それで何の用だい?」


「技術部長様、皇帝陛下がお呼びです。あの件はどうなったのか、と。」


こりゃ参ったね。あの件に関しては今も良い結果は出ていない。しかも、こちらは神をも倒す冒険者が増えたことを伝えなきゃいけないと来た。


ったく、ギルド連合の『大英雄』だけでも面倒なのに。帝国で抱えている神も余計なことをしてくれたもんだよ。


さて、おめおめ逃げ帰ってきた神の尻拭いにでも行きますかねぇ。今日は皇帝陛下機嫌がいいと嬉しいんだけどなぁ。


「ねぇ。皇帝陛下は今日はご機嫌いかがだった?」


「・・・・・・・・・良くはない、とだけ。」


あらら、ご機嫌は絶賛傾いてらっしゃるらしいねぇ。こりゃ一つ二つ死んでしまうかも。


そうならないように祈るくらいはするかぁ。ま、神なんてもんには頼まれても祈りはしないけどさぁ。


「お早くお願いします。」


「分かってるよぉ。アー辺りにご機嫌取りさせればいいじゃんかぁ。」


「いえ。ナンバーズ様では機嫌を損ねるばかりで、無理です。」


はぁ、上司には怒られて、部下にはめちゃくちゃされる。中間管理職なんてなるもんじゃないねぇ。

こりゃ、適度に息抜きしなきゃやってられないよ。


あ!そうだ。何とかほとぼりが冷めたら、どっかの国にちょっかい掛けるのもいいかもしれないなぁ。


クフフ、ちょっと楽しみがで~きたっ!そうと決まったら嫌なことはさっさと終わらせようねぇ。


はぁ、胃が痛い・・・。











新天地でしょう


拙作を読んでいただきありがとうございます.次話以降のストーリーを組み立てストックを作る期間を設けます。それにあたって少しの間、更新が止まります。お待ちいただけると幸いです。

その代わりに書き上がった新作を次話の昨日17時に投稿しました。自信作ではありますので、お読みいただけると大変うれしく思います。

再開などの情報は活動報告にて告知しますので、お気に入りユーザ登録などしていただけると便利だと思います。


評価ブックマーク、感想、誤字報告等、励みになりますのでお待ちしております。

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― 新着の感想 ―
少し前に読み始め最新話までとりあえず読みました 誤字はところどころ目立ちますがさらっと読むにはいい内容量でした エタってるようですが再開したらまた読みます
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