第25話 「ようこそ、鉱山都市ルグラへ」
一応キャラクターのステータスやモンスターの一覧などを作ってはいるんですが増えるとどれを見たらいいかわからなくなっていきます.あとどこまでを公開したかを.
2021/5/6 盗賊が持っていた白金貨の枚数を7枚に修正しました。
馬に乗り、また、馬を引き連れて数時間ほど走り続けたところで、遠目に外壁らしきものが見えた。
「あれがその鉱山都市ルグラ?鉱山って言うか山は見えないけど。」
「そうですよ、あれがルグラです。鉱山都市といっても鉱山のふもとに街を作ったわけではないので、あんな感じなんです。ここからさらにもう少しだけ街道に沿って進むと鉱山があるんですよ。」
鉱山といってもどんな規模で何が採掘できるんだかわからないけど、一度行ってみようかな。観光ってのは違う感じがするけど.
「ルグラは鉱山が近いということもあって、鍛冶師のドワーフさんや鉱山の依頼を受けたり装備を整えるために来た冒険者などでにぎわっているんですよ。かくいうわたしも杖を新調するためにここまで来ました。」
エミリアもこの町に来たのは杖を作るためだったのか。いい鍛冶屋とか知ってるのかな?できればドワーフの鍛冶屋にせっかく異世界に来たんだから会ってみたいし、街についたら言ってみよう。
エミリアは長期的に滞在しているようだけど,装備の完成待ちなのかな?都市に詳しそうだったし.
そんなことを考えているとエミリアから声がかかる。
「そう言えば、アルカナさんってお金持ってますか?ないならお貸ししますけど、どうです?」
「ああ、お金だったら一応あるはずだけど、使ったことないからさ,価値がわからないんだよな。よかったら,教えてくれない?」
さっきの盗賊のところからお宝は根こそぎ持ってきたし,その中に硬貨らしきものが大量にあったから,結構持っているとは思うんだけど。この世界の金の価値を知らないからな。さすがにないだろうけど,もしかしたら、大した金額じゃないかもしれないから、ここで教えてもらっておこう。
「お金の価値ですか。常識ですよ?なんで知らないんです?」
「いや、村にいるときはお金なんて使うことはなかったから。最近まで町にも入らないできたから、知らなくてもなんとかやれてたんだ。」
「そうですか、かなり田舎なんですね,今時お金をつかわないで生活できるなんて。わかりました、わたしが教えてあげましょう。」
なぜか得意気なエミリアの説明によると、この世界の金はすべて硬貨で単位はセルというらしい。
硬貨の種類は、
銅貨=1セル
大銅貨=10セル
銀貨=100セル
大銀貨=1000セル
金貨=10000セル
白金貨=1000000セル
の6種類で、聞いていた感じ、1セルで10円くらいだと思う。あまり文化が進んでいないのもあって価値は地域ごとに違ったり,時期によって変化するようだ.
普通は、金貨までが使われて、白金貨は貴族や大商人が大きな取引で使ったり、ギルドのよほど大きな仕事の報酬ぐらいでしか使われないらしい。
ほとんどの一般人は金貨ですら使わないことが多く,大銀貨がよくみる最大硬貨のようだ.
お金の価値がわかったところで、俺の所持金なんですが、七百八十四万千五百六十九《7841569》セルだった。なんと白金貨も7枚ありました!あいつらかなり儲かってたみたいだな。胸糞悪い金だけど生活するためにもそこは目をつむろう。
「どうです?ありました?もうすぐ門ですけど、街に入るのに身分証がないと300セル払って仮身分証をもらわないといけませんよ?」
「ああ、それくらいならある。冒険者ギルドで登録するのにも登録料かかるんだろ?」
「ええ、冒険者ギルドで登録するのには10000セルかかりますよ。少し高いですけど、ひやかしなどを防ぐためにもこのくらいかかるんです。あ、着きましたよ。ここからは馬を下りてあの列に並びましょう。」
エミリアが指した方向をみると、少しだけ並んでいる列があった。そして視界の中には、衛兵に何かを見せてそのまま入っていく人も見えた。
「あれはなんで、列にならばずに入れるんだ?」
「あれはですね、冒険者です。冒険者はギルドカードを提示することで門をすぐにくぐれるんです。しかし、冒険者ギルドもですが、他に商業ギルドや薬師ギルドなどに所属していて品物を持ち込む人などは、列に並んで検分してからじゃないと入れないんです。ものによりますけど。今回は“白夜の金孤”のボスがあります.賞金首も一応品物の1つです.」
危ないものを持ち込まないようにってことかな。俺みたいに異空間収納スキル持ちはかなり有利じゃないか?これから冒険者をやるのにかなりいいスキルを持ってることになるな。
そうこうしているうちに俺たちの番になる。ここに来る前にボスの死体は出してある。異空間収納のスキルを持っているのは珍しく目立つそうだからだ。冒険者ギルドでスキルについてどうするか決めてから人前では使いたい.
「次っ!」
衛兵の掛け声で俺たちは前に出るように促される。その衛兵はかなり厳ついおっさんだった。声もでかいし,とてもじゃないが,こんな人がいるところで悪いことなんてしたく無くなるような,そんな威厳を感じる.
そんな衛兵はこちらを見て、エミリアに気が付く。
その表情は一瞬前より明るい,と思う.厳つい顔が,ちょっと緩んでいる,たぶん.
「おお、エミリアじゃないか。冒険者ならあっちからはいれるだろ、どうしたんだ?」
「ええ、それはわかっているんですが、今日はこちらの方の付き添いとこの遺体と馬の検分をお願いしたくて。」
エミリアは衛兵に“白夜の金孤”のボスと馬をよく見せるように前に出す.少女が損傷率が高い遺体を衛兵に見せているその様は,どうにもシュールだった.
「おお、賞金首かな?ん?こいつは”白夜の金狐”のゴルじゃないか!?こいつをやったのか。ここら辺では、かなり強い賞金首だぞ。さすがコスモさんのお嬢さんだ。きっと草葉の陰から喜んでいるとだろうな。討伐証明書を発行しよう。」
「え、い、いや、あの、その」
エミリアは衛兵の勢いに押されて話し出せない。俺はそんなエミリアを止めて首を振る。
「いいんですか?」
「いいんだ、それよりも馬と仮身分証だ。よろしく頼むよ、衛兵さん。」
「ん?ああ、馬は大丈夫だ、こっちで商人に売却することもできるがどうする?」
「それならそうしてくれ。やってくれるなら楽でいい。」
「わかった。手続きしてくるので、これに書いといてくれ。」
衛兵は俺に紙を渡して門の中にある衛兵の待機所に入っていった。俺は字を書こうと紙をみるとふと思い出す。
俺この世界の文字を知らないけど、書けるのか?しゃべれてはいるんだよな。そういえば読めてるな。なら書けるのか。
紙にペンをあてると書きたい文字をすらすらと書ける。書けるもんだな,よかったわ.ただ,言葉が違う相手にはどうするんだろうか.今のところ出会った人間とは問題なく会話できているが,別の種族,例えばエルフやドワーフ,獣人はどうかわからない.調べたほうがいいかな.
なんてことを考えていると,口に出ていたようで,エミリアが,今出した種族は共通言語が通じるようだ.
そんなことをしながら全部書き終わった後にちょうど衛兵が戻ってくる。その表情は先ほどの厳つさを取り戻していた.
「書き終わったか?よし、必要箇所は書けてるな。馬だが一頭1000セルで14頭一頭は状態がよく、2000セルだった。問題がないようだったら、ここにサインを頼む。よし、ありがとう。これが15700セルだ。仮身分証の300セルは抜いておいた。袋はそのままもってっていいぞ.」
衛兵は俺に麻袋を渡す。中には金貨1枚と大銀貨5枚、銀貨7枚が入っていた。馬って結構安いんだな.まあ必要な時に買い求めやすいと考えればいいか.
「確かに。仮身分証はすぐにくれるのか?」
「ああ、これがお前の仮身分証だ。三日間有効だから、それまでにギルドに登録するかして、その仮身分証を返しに来てくれ。」
「わかった。」
「じゃあ、もういいぞ。ああ、それとエミリアちゃんはこの討伐証明書をギルドに持っていって換金してくれ。」
「わかりました。ありがとう。」
俺たちは衛兵に馬とボスの死体を渡して挨拶をした後、門をくぐる。すると後ろから衛兵のおっさんから声がかかる。
「ちょっと待て!!」
「なんだ?」
「言い忘れてたわ。ようこそ、鉱山都市ルグラへ」
「ああ」
厳ついおっさんが笑うと思いの外、画になるもんだな。俺はおっさんに後ろ手に手を振って歩き、エミリアについて行く。
都市に入りましょう
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