第23話 「あちゃぁ、こりゃ誤解を解くとこから始めないとな」
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光が見えるとそこは、森の中だった。足元にある魔法陣が消えると、静寂が訪れる。
「それにしても最後の最後に良いもんくれたな。名前、か。結局、前世のことは思い出せないけど、『アルカナ』、か。良い名前もらったな。」
神にもらった名前だけあってなんだかご利益でもありそうだ。とりあえず改変されたステータスでも見ておくか。
通常時はこれか。
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名前:アルカナ
種族:骨の王(超越根源種)
性別:男
レベル:1/-
体力:150019260
魔力:601398780
筋力:450028920
耐久:162046000
敏捷:45029340
精神:1089000
運 :86
【伝説級スキル】
〔骨の王〕
【固有スキル】
〔完全反射〕
【通常スキル】
〔鎌術〕〔家事〕
【加護】
〔戦争と死の神の加護〕
【称号】
〔異世界の死体〕〔着用者〕〔最強の一角〕
【装備】
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名前:獅子王面
種族:王獅子(神獣種)
性別:オス
【伝説級スキル】
〔獣王〕〔人化〕
【加護】
〔戦争と死の神の寵愛〕
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……また増えてる。
もう訳がわからんな。人化した状態は、ステータスに装備分が+されるみたいだな。
〔槍術〕が〔鎌術〕になってる。死神か.そうなると、今,鎌はもってないしな。街とかいってから鍛冶屋でもいって探してみようかな。てなると,まずは街行かなきゃな。
ま、強くなってることは確かだから大丈夫,なんとかなるだろ。とりあえずステータス変えとくかな。
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名前:アルカナ
種族:獣人
性別:男
レベル:10
体力:300/300
魔力:500/500
筋力:200
耐久:1000
敏捷:400
精神:800
運 :50
【固有スキル】
〔完全反射〕
【通常スキル】
〔鎌術〕〔家事〕
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こんなものか。伝説級だけ隠しておけばいいだろ。一応力をセーブできてるし、大丈夫だろ。
オーリィンによると人類に分類されているものには、レベル上限がないらしい。とりあえずは、これくらいで、冒険者になってみようか。よくあるラノベだとこういうときは、身分証が必要になるらしいしな。まずは登録するために町にいこう。
「・・・町の場所がわからん。聞いておくの忘れた。あ!金のことも聞くの忘れた。」
大事なことほとんどきけてない。俺このまま生きていけんのか?死ぬことはないだろうから大丈夫だろうが、心配になるな。とりあえず動くか。
その場でうずくまって頭を抱えたがすぐに気を取り直す。
あきらめのついた俺は、歩きだした。まずは森を抜けて街道にでもでて人を探さそう。
森はすぐに抜けることができた。想像以上にこの体と獅子王面の性能はハイスペックだったな。ものの数分で街道に出る。
街道に出て右も左もわからずにとりあえず歩いていると、想像していた通りのテンプレ的展開に遭遇する。
「キャーーーーーーーーー!!!」
おそらく女の子の悲鳴と思われる声が聞こえた。俺の後ろから聞こえてきた悲鳴はだんだんと近づいてくる。その速度はおそらく馬車だろう。馬の嘶きも聞こえてきたことからもそう推測できる。
にしてもよくもまあ,ずっと悲鳴が続くな.声は枯れないのだろうか.
そんな下らないことを考えながら,ぼーっと立っていると追跡している側だろう男の声が聞こえてきた.
その声には当たり前のように下卑た色が見えた.まあ,女の子の悲鳴からしても悪党なのは見ずともわかるわけだが.
「ゲハハハハハハハハハハハハハ。待てやぁ、かわいがってやるからよぅ」
「おとなしく捕まれよぉ、ヒヒヒッ」
後ろから馬に乗って追いかけてくる男たちをみると、見るからに野蛮で、おそらく盗賊だろう。品性の無さが窺える。どうでもいいけど,ゲハハって最初にあったゴブリンに似てるな.
女の子は青色の髪に水色の目をしたちょっと釣り目のかわいらしい少女だった。皮鎧をつけたその姿はおそらく冒険者だろう。
彼女は盗賊たちに恐怖を堪えて答え,さらに馬車を飛ばす。
「来ないでください!!もう少しで町なんですから早く引いたらどうですか!?」
そんなことを言っている女の子だが一瞬前方から視線を外した際に道がへこんでいたのに気づかずに馬が足を取られる。
「キャアッ」
馬が勢いのまま転倒するとそのまま馬車も横転し、乗っていた女の子も投げ出され、俺の前に落ちてくる。そして俺は偶然にも,そう,ほんとに偶然にもその女の子をキャッチする。
かかわるつもりはなかったんだけど,しょうがないな.
「おっと、危ない。どうしたんだ?って気絶してるな。まあ、事情は起きてから聞けばいいか。」
女の子に気を取られていると盗賊どもが俺のもとへとたどり着く。
「その娘をよこしな。そうすりゃてめぇは見逃してやる。てめえみてえなひょろひょろしたやつにできることなんかねえから、早くいけ。」
耳を倒して髪と同化させている今の俺を見て格下だと判断したようだ。こいつには悪いが、すでにこの女の子を助けることは確定事項だ。かかわることを決めてしまったのだから.それにこの世界のことで聞き忘れたことを聞くには恩を売っておくのはちょうど都合がいい。
「残念だが、この子は俺の案内をさせることを決めたんだ。引くならお前らのほうだ、今なら見逃してやるから早くいけ。」
シッシッ、と手を振ると、盗賊どもは一斉に笑い出す。気が付かなかったが、15人ほどの盗賊団の様だ。その中でも一番偉そうなやつが話し出す。
「こっちこそ残念だが、その娘はすでに俺たちの獲物なんだ。てことでてめえには死んでもらうぜ。恨むなら、自分の愚かさを恨むんだな。」
盗賊頭は俺に向かって馬上から剣を振り下ろす。もちろん俺は避ける必要もなく、当たれば剣が折れるだろうが、うっとおしい。
その剣を一応避けて手首を引っ張って落とす。女の子を少し離れた場所におろしてから盗賊団に対峙する。俺の敏捷があればちょっと離れた場所に下ろすぐらいは簡単だ.
かなりの地力の違いを見せたはずだが数が勝っている分,気が多いくなっているのだろう.対して牽制にはならなかったようだ.
それであるならちょうどいい.当分はヒトでなくてはならないのだ.最後に一暴れするのも一考か.
さて,
「このままやりあってもいいんだが、武器がないしな。いいもん見してやるよ。これからは当分,人化状態のまま動かねきゃいかんからな。最後に少し動いとくか。よかったな冥土の土産だ.目に焼き付けな」
俺は人化を解いた。そして、そのまま目にもとまらぬ速さで爪を横薙ぎにする。その一撃でボス以外は仕留めた。ボス以外はみんなホブゴブリンを少し強くした程度だったからしょうがないといったらしょうがない。ボスもゴブリンキング程度の力しかないから、今の一撃で武器を落とし動けなくなっている。
「ヒ、ヒ、ヒャア!!な、なんなんだ、いや、なんなんですか。てめ、あ、あなた様はいったい?」
ボスの言葉に再び人化してから答える。ライオンでもしゃべることは可能だが,ライオンであるときに後ろの少女が目覚めると厄介なので,念のためだ.
山賊の質問など答える義理は無い.
「ただの獣人だ。少し強いだけのな。運が悪かったと思って観念しろ。じゃあ「ま、まってくれ!!」・・・なんだ?」
「助けてくれ、その娘に手を出したのは謝る!どうか命だけは。今まで集めた金や財宝は全部あんたにやる。たのむ!!」
ボスは土下座をして必死に頼む。正直彼女は関係ないんだけど,こいつから見たらそうなるのか.必死に頼む様子を見ると少し哀れにも思うが、そもそもが盗賊だし,この時代だと殺してしまうことのほうが多いらしいし,情けをかけるつもりはない。
しかし...
「案内しろ。ものを見てからだ。」
俺の発言にボスは喜ぶ。その顔にはなんだか勝利の色がうかがえる。何かを企んでいるだろうことはわかるが、あえてそれに乗る。どんなことでもたいていは何とかなるし.
「ありがてぇ、このままついてきてくだせぇ。アジトに案内します」
そういって馬に乗って走り出す。俺も部下から奪った馬を一頭拝借して走り出す。もちろん少女は俺が抱えている。
走り出すと、そこにいた他の13頭の馬も後についてくる。
「残りは全部ついてきたな。まあいいか。街で売れば少しの金にもなるだろう。それに人に飼われた方がこいつらも食糧の心配もなくていいだろう。」
そうこうしている間にアジトと見られる洞窟に到着した.俺はボスの案内で宝物庫と思われる部屋へと入る。ボスが少しはなれてることからこの部屋に何かあるのだろう。少女は外の馬と一緒に置いてきた。
部屋の中にはしっかりと財宝があることから本当に宝物庫なのだろう。俺が宝に手を伸ばすと魔力が部屋を通って何かが作動した。すると、無駄に重そうな扉が閉まり,天井と壁から石の槍が出現して射出される。
そしてその場にボスの下卑た笑い声が聞こえる。
「ゲハッハハハハハハッゲハハハ。死ねぇ。あの娘は俺がもらっといてやるからよ。安心して死んでくれ。」
そんな声が響く部屋の中には煙が立ち込めていて、中の様子はわからない。ボスは俺が死んだと思ったんだろう扉の外から中の様子を見ようとのぞき窓から必死にのぞいている。
そして、煙が晴れて、そこにいたのは、さっきまでと同様,とはちょっと違い,獣人だけだった。宝も消えていたのだからボスの驚きも相当なものだろう。
ボスの想定では,俺の死体と宝がある光景だったのだろう.もちろん俺がこんな手で死ぬわけがない.
「残念だったな。そんなんじゃ俺は殺せない。じゃあ、金目のものはもらったし,死んでくれ。」
ボスの顔は見る見るうちに青ざめどんどん血の気が引いて行く。
「待ってくれ!約束が違うじゃねえか。たすけてくれよぉ!!」
「調子がいいことを言うな。約束を守る筋合いなどすでにない。恨むであれば自分の愚かさだな。」
扉とともにボスを蹴飛ばして殺す。壁と扉に潰されて声もなく息絶えるボスを一瞥してからアジトを後にする。あんな無駄に重そうな扉にするからだ.もっと軽い素材にしておけば長く生きれたかもしれないな,数秒は.
「これからどうしますかね。街に行きたくてもどっち行きゃいいかわからないしな。」
ため息をついて悩みながら外に出ると、そこにはすでに起きた少女が訳がわからない様子で、立ちあがってキョロキョロしていた。最悪,逃げられていることも考えていたのだがまだいてくれてありがたい.
「おう、起きたか。怪我とかなかったか?一応気をつけてたんだが。」
そんな少女はなんだか俺を警戒しているようだ。なんでだろう?
「あ、あなたは何ですか?と、盗賊の仲間ですか?わたしは魔法が使えるんです。近づかないでください!!」
どうやら盗賊と間違えられているようだ.そんな俺に少女は警戒しながらも後ろに下がる。
あちゃぁ、こりゃ誤解を解くとこから始めないとな。
どうしましょう?
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