第213話 種明かし
初めてスマホ投稿をしてみました。おかしいところがあるかもしれません。
あと、3/20の投稿で1周年だったみたいです。これも皆さんのおかげです。ありがとうございます。
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sideアルカナ
「ここからは第二ラウンドだよな?」
デルキウスに視線を向けつつ、他のメンツの様子に気を配る。
俺が戻ってきた瞬間の様子からして、あまり有利な状況ではなかったみたいだしな。
俺がぶっ飛ばされていたのは、メアリーやソフィアを守ろうとした結果なのだと思うし、俺のそばにはシュツェンがぐったりしていた。気配からキョウカも負傷しているのが感じ取れる。
シュツェンに関しては、大きな怪我は負っていないようだが、それでも二人とも戦線復帰は遠そうだ。
さて、俺はここからどう動こうか。デルキウスからはまだまだ情報が得られそうだしな。
危険度で言えば速攻で仕留めるほうが懸命だが、大きい情報を取りたい気持ちもある。
ちらりと背中にかばう二人を見て、どうしようかと悩んで結論を出すことにした。
うん、あまり長引かせるのは難しそうだな。もちろん、俺が一人だったなら、村長と二人だったなら、戦いを引き伸ばして情報を引き出すことも可能だった。だが、俺の後ろにはソフィアとメアリーが、二人がいる。
決して勘違いしてほしくはないが、二人が足手まといってわけじゃない。ただ、相手が想定よりも数段上の存在だったってだけだからな。
もし敵がただの深海に住む軟体系の魚人族であれば、それが長であるとかは関係なく、ソフィアやメアリーでも押さえることはできただろうし、倒すことすら可能だったかもしれない。
しかし、今回は想定外の強さを持つ敵であったことに加えて、それが神を名乗っているというのなら、二人には荷が重いに決まっている。
実際、キョウカやシュツェンですら一撃で戦闘不能と言っていい状態までもってかれたんだからな。
特にシュツェンは、普段から俺と訓練しているのに加えて、元を正せば神獣であった海王とも渡り合った程の魔物だ。それが一撃なんだから、まともに戦えるもののほうが少ないだろう。
ということで、俺のこれからの行動方針を決めたところで、頭を切り替える。
悠長に考えていたように見えたかもしれないが、この間、およそ数秒と言ったところだろう。ステータスの数値がどういうところで役に立つかわからないが、敏捷や精神の値が高いとこんなこともできるのだから不思議な話だよな。
「な、なんで?!お前は僕の呪法によって精神世界に閉じ込められていたはず!どうやって戻ってきたっていうんだよ!ハハハ、笑えない。笑えないよ。どうやったんだい?クハハハハ。」
こうして戻ってきてかっこよく決めた次に聞こえた言葉が、敵が錯乱する声だというのは非常に残念だが、結果オーライってことだろう。
笑えないと言いつつも笑うデルキウスに気味が悪くなって、吐き捨てるように種明かしをする。
「チッ、うるせぇな。簡単な話だ。俺は自分の特性を理解していたってだけのことだ。
お前には悪いが、こちとら伊達に冒険者じゃねぇ。使える手は使うもんだ。」
こうは言ったが、これだけじゃデルキウスにはサッパリだろうし、もう少しだけ丁寧に説明してやる。あいつの呪法の仕組みも含めてのネタバラシってわけだ。
「まず、お前の呪法のネタについてだが、もう大体を理解した。次はノータイムで脱出できる自信がある。」
「なんだって?!」
デルキウスは俺の言葉に心底驚いたようで、直前まであった不気味な笑いが無くなるほどだ。
ここまで驚くのは自分の呪法に余程の自信があったことの証拠なのだろうが、正直を言ってしまえばそこまでのスキルではないと思う。あ、デルキウスは神だし、呪法もスキルと言うよりは権能かもしれないな。
「スキルだか権能だか知らないが、それは人間や魔物になら絶大な効果を誇るんだろう。でもな、それがこと神や成った神獣、それに類する者には極端に効果が弱くなる。
あぁ、もちろん俺が言っているのは、かかってもすぐに解除されるって意味で、かけること自体は可能だぞ?」
俺の指摘にはデルキウスも気がついているのか、顔を歪めて悔しそうだ。しかし、少しは余裕が出てきたのか笑いが戻った。
「クフフ、そうだね。ご指摘の通り、そういった存在にはあまり効果の期待できないスキルだよ。
もちろん、スキルというからで、これが権能であればそうも行かないけどね。」
「つまり今はスキルでしか使えないってことか?」
「おっと、これ以上は言えないよ。」
俺の指摘はおそらくあっているんだろう。こいつは使者に〔擬態〕をしているということは明白だ。あの精神世界で見たのが本当のデルキウスのはずだからな。
予想通りに軟体系魚人の族長の体を使って顕現しているとすれば、中身はどうであれ器が神でないのだから権能が使えるわけもないだろう。
明確な答えこそ得られなかったし、はぐらかされたが、俺は確信をもって言ったので、こちらがどこまで理解したかはデルキウスにも伝わっているだろうさ。
さて、あのスキルの概要を伝えるか。流石に気付かれていることはわかっているだろうが、説明して少しでも動揺が誘えればラッキーだ。
「んで、そのスキルの効果だが、おそらく対象の持つ欲求の中から、記憶の中で最も印象深いものを引っ張り出して満足させ、そこで得られた満足感を取り上げ再び欲を刺激する。というのを繰り返した挙句、最終的には堕落しちまうって寸法だな。」
「くっ、概ねばれちゃったね。クハハ、まさか脱出されるとも思っていなかったし、解明までされると、笑いが止まらないよね。ハハハハ」
デルキウスは動揺どころか、これまでで一番盛大に笑った。これには俺も驚いてしまったが、その後に続いたデルキウスの言葉にはもっと驚かされた。
「うーん、結果は同じだけど、実際はちょっと違うんだよね。〔神式呪法:享楽〕は精神世界で満足感を擬似的に植え付けて、その後取り上げることで中毒性を持たせるんだ。
得ているわけじゃなくて、与えられているってのは想像がつかなかったかな?クフフ」
まさか正解を教えてくれるとは思わなかった。しかし、やることが違くても結果としては同じである。
俺はそんなことはどうでも良いと切り捨て、今なら応じるかもしれないと、デルキウスに向かって言葉を口にする。
「それよりも、降伏する気はないか?正直言えばそのスキルについてもう一つ分かったことがあるんしさ。」
「もう一つ?それはどういうことかな?僕には思いつかないけれど。」
俺はここまでのやり取りの中で、〔神式呪法:享楽〕についてデルキウスが隠したいもう一つのことに気がついた。
俺が先程、効果が薄くとも掛けることが可能だと言ったのは、これが本当かを知るためだった。
「そいつはだなぁ「そのスキル、再使用には相当な時間が必要ね!」って、おい。言われちまった。」
俺が指摘しようとしたところを突如として口を挟んできたソフィアに遮られ、そのままセリフを取られてしまった。まぁ、大したことではないし、良いけど。
ソフィアの指摘を聞いたデルキウスは、飄々とした様子で、理由を尋ねる。認めるとは思っていなかったが、面倒だ。
しかし、これに関しては、ソフィアが理由まで言ってくれるようだ。
「どうしてそんなことを?それはそっちの勝手な推測でしょ?」
「推測?いいえ、確信だわ!だって、あなたは私達に掛けることができるタイミングで、ソレをしなかったもの。」
「うぐっ」
典型的な反応をするデルキウスに笑ってしまいそうになるが、ソレを我慢してソフィアの話しに耳を傾ける、
「初めは一人にしか対象にできないのだと思っていたわ。そうだと考えると、アルカナに行使しているのだから、あたしたちにできないのも納得できた。
でも、アルカナが戻ってきても話を続けるだけで、再度しようとはしなかった。それで、アレ?ってなったのよ。」
そうなのだ。俺も戻ってきた時、他のみんなも〔神式呪法:享楽〕にかけられていると思っていたのにそうではなく、戦っていたので俺も気持ちを切り替えてすぐに参戦した。
「アルカナが探りを入れていたのにも反応しなかったあたり、再使用は最低でも一時間は掛かるんでしょ?」
「クハハハハ、これはやられたね。まぁ、もうほぼ正解だよ。これもスキルであるための制限なのさ。
僕の権能だったら対象だって複数選べるし、再使用も制限なんぞ無いんだけどさ。いやぁ、バレちゃったね。」
「掌遊びとか言うのに切り替えたのも不自然だったしね。」
「あはは。やっぱり?クフフ」
デルキウスはそんなことを言って笑った。ソフィアの最後の言葉は自分でも危ういと思っていたのかもしれないな。
とりあえず、もうあの精神世界に囚われることはないというのは安心材料だが、これで降伏しないのであれば、ここからは戦闘も再開だ。
「こうなったら、僕もなりふり構わず戦わないといけないかなぁ?うん、そうだね。降伏は論外だ。こんな獣共の村相手に降伏とは、敗北よりもあり得ない。ザンビグルに何を言われるかもわかんないよ。
さて、それじゃ、やろうか。君も僕と遊んでくれるんだろ、アルカナくん?」
「ああ、こうなっちゃ仕方がないな。せいぜいボロボロにしてやるよ。どうせ生身じゃないんだろうしな!」
こうして俺達とデルキウスの第二ラウンド前の口撃戦は幕を閉じた。
次は武力による戦いが始まる。
第二ラウンドでしょう
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