第16話 「思った通り.」
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おそらく括弧の中が、全力のときのステータスだろう。さっき言っていたように十全の状態ではないにしても化け物だな、うん。今までの敵の数段上の能力値である.
これで少なくなってるんだから、よりやばいな。俺がステータスで勝ってるのは、耐久だけじゃないか。
こんな化け物と150年もやりあってたハオは確実に人間やめてるな。何か特別な理由でもあったんじゃないのか。さっきこのライオン、いや、リオウが言っていた、知らない知識や技術ってのは何か文明の話だった。もしかしたら転生者とかのなのかもしれない.いや,もう決定だな。
そんなのとやりあってたのか。こいつはこいつで酔狂だな。
俺がそんなことを考えていると、リオウからの容赦のない攻撃を食らう。俺の耐久はリオウの筋力を上回っている以上ダメージを食らうことはない。
『ふはははははは、久しぶりに血が沸き立つな。私の攻撃が一切効かないとはな。弱体化しているとはいえ、少しばかりショックだぞ。化け物か!』
「リオウ。お前の様な化け物に化け物呼ばわりはされたくないな。俺がいかに硬くとも、そちらに攻撃が通らないのではな。根競べするしかないだろうよ。」
『我が名を知るか。貴様の名は何と申す?わが生涯最後の相手が貴様のような強者で嬉しく思うぞ。我がスキル〔獣王〕により、我より格下にはステータスを確認することなど到底できんはずだからな』
「生憎と俺には名前がないんでな、その問いに答えてやることはできないんだ。悪いな.それに、お前と同格なんて、あり得んことを言わんでくれ。さすがの俺でもそこまで驕ってはいないんだ.」
俺とリオウは、軽口をたたきあいながら、戦い続ける。俺は死虎面の力を使い少しだけ上回る力で削る。リオウは〔獣王〕の力を加減なく使い、暴れる。
さっきまでのきれいな白い空間はすでに崩れ、あの神々しいほどの宮殿はすでに跡形もない。今見えるのは崩れ落ちた宮殿の瓦礫と全く傷のついていないダンジョンの壁だけだった。
俺たちが〔咆哮〕するたびに崩れていく瓦礫はともかく、すごい強度だなこの壁は。
全く決着のつく気配のない勝負の行方は俺にもリオウにもわからないだろう.
それなら,ここでできるのは,切り札を切ることだけである.
「そんじゃ勝負決めるぜ!発動〔超強体〕!おらあああああ」
〔超強体〕を使った俺は、力任せにリオウに攻撃を仕掛ける。力が湧いてくる.現在の俺の筋力値は1時間の限定だが、リオウの大体、倍はある。このままガンガン接近戦で攻め立てれば,圧倒的に強者であるリオウにすら勝てるんじゃないだろうか。
――そんなことを思ってた時期もありました。
結論から言うと、無理でした。1時間じゃ削りきれるわけないし、そう簡単に接近戦なんかさせてくれないですよねー。
俺のスキル発動に警戒したのか,さっきからガツガツブレス撃ってきやがって、食らってもたいしたことないって言っても衝撃があるだけ痛いことは痛いんだからな。
『そんなもんか!なかなか惜しかったが、そんなのでやられるほど落ちぶれちゃおらんぞ。敵より有利に立つことが何より戦いにおける必勝の技であると心得よ.』
リオウはそう言った後再び口を開きレーザービームの準備を始める。俺の今の姿は、デスタイガーの見た目なのだが、さっきからのレーザーによって所々が熱で溶けてしまっている。
『ほら、行くぞ!【獣王の息吹】!!』
リオウはブレスを放つと、俺のマスクが焼けて骨がむき出しになった部分に当たった。
「あっつ!?マジで何度だよ。耐性が働いてなかったらそのまま溶けてたんじゃないか!?」
そう、今の俺は〔全異常耐性〕を常時発動し、なんとかやりあえている。熱を感じただけで溶けなかったむき出しの骨に当たったブレスは当たった直後に向きを変えて、リオウへと反射し,その体に命中する。
これには,今まで余裕を保っていたリオウにも焦りの色が見える.
『なんだこれは!?我のブレスか?なぜ我に返ってきたのだ。どういうことだかわからんが,こんな奇跡そうは起きないであろう。もう一度食らえ!』
そういって、先ほどと同じ超高熱の圧縮されたブレスを放ってきた。俺は先ほどの反射に少し思い当たることがあったため,もう一度骨のむき出しの部分にあてた。するとやはりリオウへと帰っていき少なくないダメージを与える。あまりにも高い威力のブレスのダメージを自身へ間違いなく蓄積させていく。
自分の攻撃を返されて困惑から焦り,そして,怒りへと変化させていく.
『これは何なんだ!?私のブレスを跳ね返すなど、認めん、認めんぞ!』
怒りを乗せて特大の一発を放つリオウに俺は死虎面を戻し、何も装備しない生まれたままの姿になった。
その姿に先ほどまで、訳もわからず困惑していたリオウは、一転、勝利を確信したようだった。嬉しそうにしている。
『ふははははは!!!観念したか!その威力のブレスまで無力化できまい!われの勝利の様だな!』
俺は、その光線を自分の身一つで受ける。
《個体名―――は通常スキル〔反射〕を取得しました》
《熟練度が一定以上に達したので通常スキル〔反射〕が固有スキル〔完全反射〕に進化しました》
――思った通り.
「反撃開始だ」
そのころ彼の中では。
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