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第11話 彼想ひて祈る

お読みいただきありがとうございます




名もなき異形なスケルトンが人工物らしきものを見つける少し前、スケルトンの様子を見ていたものがいた。


「だぁーはっはっはっは。まさか、まさかここまで強くなるとはな。」


様子を見ていたものは、驚いていた。あのスケルトンが自分の想像を超える存在へと変化していることを見たからに他ならない。あのスケルトンは、ちょっとした思惑があって手を加えただけの大したことのない存在だったのだが、世界神である自分にも予想しない進化を遂げ、スケルトン本人は知らないことであるにしても、世界に今まで存在しなかった新しいスキルを作ってしまったのだ。

今までの転生者にも見られることではあるのだが、ほとんどは既存のスキルを習得するに終わっていた。無数の転生者の中からほんのひとつかみ,いや,ひとつまみ程度といえばその稀少さは表現できるだろうか.


しかも、転生者の中でも新しいスキルを作ってしまうものは、すべてが人間種または亜人種であった。魔物では初の事例であった。これまでの共通点は,人類側であるということだったのだが,これで共通点が人型である,もしくは,人と同様の知能を有している,というものに変わったのである.世界創生から見てきた彼にとっては,停滞しきっていた世界に新しい風が吹くことは実に歓迎すべき慶事であった.


こうなれば,事ここに至って,のスケルトンに対しての期待は現在うなぎのぼりだ。もともと自分の祠で誕生させるには、人間種や亜人種といった魔核を有していない存在は発生,いや,作ることができない。

しかしその点スケルトンは魔核と体となる骨があれさえすれば、簡単につくることができるのだ。だから、ダンジョン内にあったいろいろな骨を集めてのスケルトンを作った。

その際にただちょっとだけ調子に乗って骨を集め固めすぎたために絶滅種になってしまったのだが,これに関しては一切反省も後悔もしていない.もとより知能を有したものの作成を行うつもりであったのだから,強い個体になるのであれば,それを否定する必要はないのである.


『骨の王』を生み出すのは、この世界の死神が何らかの原因で空席になった場合のみである。


現在、死神の席は埋まっているために『骨の王』が生まれることはありえないだろう。しかし,今回彼のスケルトンを転生させた理由も死神に関連してのことであるから、ある意味では骨として転生させたのは必然であった。

また、死神そのものになることは不可能であるが,その前段階まで進化することは可能であるので、彼のスケルトンには,少しだけ期待している。





時がたち、スケルトンが40層後半に差し掛かった頃。

仕事の合間の休憩中に彼がスケルトンを見ていると、スケルトンの装備に異変が起こる。


「うっは、まさか進化するとは、面白いスキルだな。ありゃ、死呼虎デスタイガーじゃねえか。また強くなったな。ククッ、80階層ボスにもなってるやつだからな。といっても、次の50階層ボスのが強いから50階層抜ければ何の問題もなく降りてこれるだろう。」


彼は、自分の用意した階層ボスを思い出しながら、独りごちる。


「あいつが手に入れたデスタイガーマスクだっけ?あれでも、あいつにはただじゃ勝てんだろうな。面白い加護をやろう。」


加護を与えながら、頭に浮かぶのは自分が作り育てた、いわゆる神獣のことであった。


「あいつもそろそろ寿命が来るからな。あのスケルトンとはちがって、神獣もいきものだからな。あれらはアンデットにもならないから、安らかに眠ってほしいものだ。」


彼が自分の生み出した神獣のことを考えていると、スケルトンが洞窟を発見した。そこは世界で唯一の祠への来訪者が拠点としていた洞窟であった。


男はこの祠にたどり着いた唯一の人間種であった。男以前にも以降にも誰一人としてこの(ダンジョン)の場所を見つけることができた者はいなく、当時の男は正しく世界最強といっても過言ではなかった人物であった。


男は、その家で死んだ。男には自分の【加護】も授けたが、それでも50階層ボスを務めている神獣には勝てなかった。されど......


今の(・・)世界最強であれば、今の(・・)神獣にも勝てるかもしれない。


寿命が近づき自分の力の1割程度(・・・・)しか使うことができない神獣であるならば、だが。


あの人間種にとっては理不尽すぎる自らの神獣を相手に,のスケルトンの健闘を祈って、彼は自分の仕事に戻った。





洞窟を探索しましょう


拙作を読んでいただきありがとうございます.


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