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第88話「黒幕っぽい感じで」

 スキル『巨大化』。

 かつてアトラスが習得していて、その力は武器となってからスラタロウに引き継がれている。肉体を数倍に大きくさせて、パワーを大幅に増加させる強力なスキルだ。


「やれやれ、あのスキルまで使う事もないのに。スラタロウの奴、戦いに夢中になって本来の目的を忘れているな」


 俺は、ショッピングモールエリアの遥か上空からスラタロウ達の戦いを観察していた。

 スラタロウに指示したのは戦いではなく、あくまで敵戦力の確認。予想以上に強い『異能者(プレイヤー)』が居て驚いたけど、今の段階で十分その役目は果たせたと言えるだろう。

 俺は先程、スラタロウに撤退を指示した。なのにスラタロウは、なかなか戻ってきやしない。

 そろそろ眠くなってきたのに、ここで待ち惚けするのは勘弁願いたい。だけど、流石にスラタロウ置いて先に帰る訳にもいかないし……。


「仕方ない。横槍を入れるか」


 リスクとか面倒とか、様々な理由で俺は表舞台に立つのを控えている。戦いや物資調達はもっぱら仲間達に任せていた。

 だが、今回ばかりは俺が直接干渉するしかなさそうだ。今のスラタロウを止められる奴は、俺のパーティーには限られているからな。……スラタロウの暴走に気付けなかった、上司である俺の判断ミスというやつであろう。

 俺は、背負っていたカバンを開くと中から一着の『ローブ』と黒色の『仮面』を取り出した。

 この装備は、こんな時に為に用意しておいた変装道具だ。

 何せ俺、仲間の力を借りて店襲ったり人襲ったり……色々と悪事を働いているからさ。正体をバレないようにする必要があるんだ。

 手鏡を使って身嗜みチェック。

 ……うん。悪くないだろう。


「じゃあ、行くか」


 上空から急降下。

 風のような速度で一気に地上まで移動すると、そのまま巨大化したスラタロウの真上に降り立った。


「こら、スラタロウ!」

「御主人様っ!?」

「全く、いつまで戦っているんだ。もう帰るぞ」

「も、もうちょっと待って。あと少しでコイツら全員倒せちゃうから」


 スラタロウは、駄々を捏ねる。

 俺だって遊ばせていやりたいのは山々だが、こっちにも生活リズムってものがある。いくら魔物は睡眠が必要ないといっても、人間である俺はそうはいかないんだよ。

 俺とスラタロウがそんなやり取りをしていると、ヤクラと呼ばれていた青年が口を挟む。


「……御主人様? てめえ、何者だ!」

「そして余計な情報まで与えちゃうし。……まあ良いけど」


 俺は、ヤクラの方に向き直る。


「俺は、モンスターマスター。お察しの通り、この超強いスラタロウを従えているのはこの俺さ」


『バーン!』と黒幕っぽく紹介してみた。

 こういうのは第一印象が大事だからな。出来る限り仰々しくした方が威厳があるというものだ。


「俺の目的は、この建物を丸ごと頂いてやること。その為に今日は敵情視察に来たんだよ」

「…………ッ!」

「まあ思っていたより腕の立つのが居たようだけど、俺にかかれば十分殲滅可能な規模でしかない。近日中に占拠作戦を実行する予定だから、降伏するなら今のうちだと宣言しておくぜ?」


 スラタロウの強さは、充分理解してくれたはずだ。

 それで恐れ慄き、逃げてくれた方が俺としてもありがたい。余計な手間が減って助かるからな。


「……んで、どうする? 降伏してくれる?」

「ざけんなっ!!」


 ヤクラは、バイクを唸らせて俺に突撃を仕掛けてきた。前方部からマシンガンが顔を出して、無数の弾丸を放つ連射音が鳴り出した。


「スラタロウ」

「はーい御主人様」


 スラタロウの役目は、俺のボディーガード。

 弾丸から身を守る為、スラタロウが盾になり攻撃を受ける。一発の貫通も許さず全て弾かれていった。

 その間も、ヤクラはバイクを走らせて俺達との距離を一気に縮めていく。

 あっという間に接近すると、バイク側部から『ビームカッター』のような物が飛び出して俺達を斬り裂こうとしてきた。


「超越機関・三十廻転」


 スキルを発動する。

 この瞬間、俺の移動速度は『三十倍』に上がった。

 圧倒的なスピードで俺は、ヤクラの攻撃を回避。そのまま彼の背後に回り込んだ。


「バウンド」


 今日、獲得したばかりのスキルを発動。触れた物体を跳ね返す能力だ。

 俺の掌がヤクラに触れると、彼の体は床に叩きつけられたボールのようにはじかれた。

 バイクはそのままに、ヤクラは地面へと転がっていく。


「ぐっ……がはっ!?」

「はっはっはっ! そんな無鉄砲に突っ込んじゃダメだよ。カウンターの餌食さ」


 俺は挑発するように快活に笑い上げて、スラタロウの頭を撫で回す。

 するとスラタロウは、落ち着いたのか『巨大化』を解除して元の大きさに戻った。そのまま『収縮』を始めて小さくなり、俺の懐に入っていく。


「念の為に言っておくけど、俺は殺人鬼でも戦争屋でもない。平和と裕福を愛する男だ。君らが大人しく従ってくれさえすれば気概は加えないと約束しよう」

「うっ……頭沸いてんじゃねーのか!? ここを手放して、行く場所の無い奴らはどこで生活するんだ!! 外は魔物だらけで、安全な場所は限られているっ!!」

「そういう時は大丈夫。使える人材が居たら、俺が君らをちゃんと雇ってあげるよ。人間の労働力は、俺だって欲しいし」


 まあ、使えない奴らはそのまま死んでもらうけど。毒にも薬にもならないなんて、生かしておいても利用価値無いしさ。


「今度来る時までに考えておいてよ。屈服か反発か。とはいえ、何方にしても結果は見えてるけどね。じゃーねー!」


 そう言って俺は浮遊して、その場を去っていった。

 敵の戦力は分かった。あの場所が俺達の物になる日は近い。

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