表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/220

第83話「傾国の女」

時刻は、夕方頃。

俺は、ホテルのレストランで夕食を楽しみながら、コトノハさんと今日あった出来事を話し合っていた。


「ふむふむ、なるほど。それで結局、オチヨザクラさんの勧誘は出来なかったと」

「う、うん。あの後、また越智さんと会いに警察署でしばらく待ったんだけど、なかなか帰ってなくて。遅くなる前に、二階堂くんに現状報告した方が良いってコスモスに言われたからここへ戻ってきたんだ」

「そうか」


どうやら、コトノハさんの方はなかなか苦戦していたようだ。失敗した事を悔いているのか、彼女はややしょんぼりとしていた。

とはいえコトノハさん自身、あまり人前に出るのが得意な性格ではなさそうだし、慣れない事をして上手くいかなくてもそれは仕方がない。


「に、二階堂の旦那! 次こそは必ず成功してみせるッス!」

「いや、それ以前にコスモスはキングの情報収集係だっただろう? その仕事はどうした」

「あ……。い、今は間が悪いんッス! チャンスがくれば、すぐにでも良い情報を手に入れてくるッス!」

「はぁ。……そうか、わかった。ならそのチャンスがくるまでキングの事は後回しだ。お前は、引き続きコトノハさんのフォローに回れ」

「う、ウッス!」


コスモスは、本当に喜んだ表情で力強く頷いた。

よっぽど、キングを嗅ぎ回るのが嫌だったらしい。そんなに怖い奴なのか?


「まあ、何にせよまだ一日目だ。ハナエさんにしろオチさんにしろ、時間を掛けて勧誘していけば良いよ。……本当なら、俺もそっちに加わりたいところなんだけど、他の仕事で忙しくてさぁ〜」

「アッ、二階堂の旦那。一つ、気になることがあるんッスけど……」

「なんだ?」

「何故、あの二人を仲間にしようと思ったんッスか? 何か、特別な理由でも?」

「ああ、理由ね。そう言えば、伝えていなかったけか」


俺は、テーブルに置かれた葡萄ジュースを飲んで一息吐く。

うん、美味い。これは上等な葡萄を使っているな。


「俺が彼女達を仲間にしようと考えたのは、俺達が今度の滅亡世界を生き抜くに欠かせない事柄を補ってもらう為だ」

「……?」

「要するに、彼女達の得意分野を俺達の組織で活かしてもらいたいから引き入れたいの。例えば、ハナエさん。彼女は、職業『家政婦』の力を持つ『異能者(プレイヤー)』だ。炊事、洗濯、掃除などの家事をスキルを使って行う」


以前ディスプレイの映像を見ながら街中を探索していた時、俺はその様子を偶然見てしまった。

山のように積まれた洗濯物を超高速で洗い、乾かし、整頓するハナエさんの姿を。

その後、引き続き彼女を追ってみると、洗濯だけでなく警察署全体の清掃。そして、数千人分の食事の調理。これらを魔法のような手段を用いて、一手に引き受けていたのである。

俺は、それを見て思った。「あれほどの手腕、是非ともうちに欲しい!」、と。

ハナエさんのスキル、この力は俺達にとって必要なもの。……そういう確信を感じたのさ。


「俺、悩んでたんだ。『折角良い拠点を手に入れたものの、これだけ大きいホテルをどうやって掃除していけば良いんだ?』ってさ。しかし、ハナエさんが来てくれたらその心配は無くなる!」

「……つまり、『使用人』が欲しかったという事ッスか?」

「そういう事! まあ、流石に一人でやるには大変だろうからそのうち人手は増やすつもりだけど、その足掛かりにね。ハナエさんのようなスペシャリストを呼ぼうと思ったんだ」


何せ魔物に掃除やらせても、ベッドメイキングどころかモップ掛けすらまともに出来ないようだからな。人手があってもこれじゃあ駄目だ。

でも、ハナエさんの指導が入れば不器用な魔物達でも上手く掃除出来るようになるかも知れないし、やはりその道のプロは必須だろう。


「ハァ、なるほど。では、越智夜桜については?」

「うん。彼女は個人的に興味を持ってね。コトノハさん、俺が渡した写真まだ持ってる?」

「あ、あるけど」


コトノハさんは、ポケットからオチさんの写真を取り出してテーブルに置いた。

この時の彼女の表情は、正直言ってあまり愛想が良いとは言えない。


「この仏頂面の顔がどうかしたんッスか?」

「……確かに、この写真での顔は仏頂面だ。でも、俺があの瞬間見たオチさんの姿は、とても美しかったよ」


そう言って俺は、自分の懐から別の写真を取り出して皆に見せた。

そこに写っている人物も、オチヨザクラさん。

……但しこの写真での彼女は、まるで天使を思わせるような眩しい笑顔を浮かべていた。


「うわっ、可愛い」

「…………」


コスモスは思わずといった様子で賛美の言葉を漏らし、コトノハさんに至っては感動して言葉すら漏らさない。

二人の反応には理解出来る。オチヨザクラさんの微笑みは、それ程までに強烈なのだ。

そう、俺の狙いはまさにその点にある。

『傾国の女』。そういう二つ名が付いてもおかしくないくらい彼女には魅力があった。

一つの愛で国が傾く。……圧倒的な美貌は、上手に使えば強力な武器となり得る。


オチヨザクラ。

彼女が仲間になれば、俺達のパーティーはより高みへと昇る事が出来るだろう。

『本作を楽しんでくださっている方へのお願い』


下にスクロールすると、本作に評価をつける項目が出てきます。


お手数おかけしますが、更新の励みになりますので、ご存知なかった方は是非評価の方よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方はブックマーク評価感想 をいただけると嬉しいです

script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ