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第80話「捜査は難航」

「こら、君達! こんな所で何しているんだい!? 施設内を無闇に歩き回っちゃ駄目、避難所へ戻りなさい!」

「す、すみません!」


 写真の子を探そうと、この警察施設を探索しようとしたら、警察の人に見つかって怒られてしまった。

 仕方なく私達は避難所へと戻る。

 すると、丁度お昼頃だったというのもあり、花江さんが私達の分のお弁当をわざわざ届けにきてくれた。


「あ、ありがとう花江さん……!」

「どう致しまして。他にも何か要望があったら言ってください」

「マジで? じゃあ、オレはチョコレートとコーヒーを所望。後、漫画とゲームとクロスワードパズル」

「……コスモス。今は遠慮しようね?」

「みー」


 そんな訳で、私達は活動を一旦休止してお昼御飯の時間。

 リリーとコスモスは、食事の必要は無いんだけれど、食べないと怪しまれかねないので私と一緒に口を付けている。

 食事中、私達は今後どうするのかを三人で話し合う事にした。


「マズいな」

「みー?」

「いや、弁当がマズいんじゃなくてですね……。仕事の件についてッス。今のところ、成果らしいものが全くあげられてねー」

「うん。二人目の子の行方も分からないし」

「みー」

「いやいや先輩。せめて、もう少し仕事をしとかねーと。このままだと役立たずッスよオレ達」

「みー」


 ……今、私達がするべき事はなんだろう?

 仲間候補者を勧誘しにこの場所まで来たものの、いざ誘ってみればただ警戒されるだけだった。

 この調子で仮に二人目の子を発見出来ても、同じような結果になるだけではないか?

 かと言って、リリーとコスモスが代わりに勧誘できるとは思えないし……。


「言ノ葉杏里。オメエ、あの花江水千佳を食事に誘ってこいよ」

「えっ?」

「二階堂の旦那が言っていたぞ。『食事は人間のコミュニケーションの一つ』だって。つまり、奴と一緒に食事をすれば仲が深まり、オレらの仲間になってくれる可能性が上がる。そういう寸法よ」


 コスモスは、得意げにそう言った。

 少し安易に思えるけれど……悪い案ではないかもしれない。

 花江さんと私達は、今日出会ったばかり。まずはお互いの事を知る必要があるのだろう。

 早速、花江さんの元へと移動する。彼女は、上機嫌に鼻歌をしながら床磨きをしていた。


「ふんふんふ〜んっ♪」

「は、花江さん。も、もし良かったら一緒に食事でもどうですか?」

「あ、ごめんなさい。私、もうお昼は済ませちゃいました」

「そ……そう」


 先に食べていたのなら仕方がない。

 私は、花江さんの元を離れて二人の所へと戻っていく。

 そんな私を、コスモスはすごく冷たい瞳で睨んできた。


「オイ! 何すごすご帰ってきてやがんだッ!! もっと粘れッ!!」

「む、無理だよ。私、他人を食事に誘った事なんて一度も無いし……」

「全く。これだから『ぼっち』は……」


『ぼっち』と言われてしまった。……まあ、事実なんだけどさ。

 少し落ち込んでしまった調子で、私はお弁当を食べていく。

 しばらく時間が過ぎていった頃。突然、コスモスが「チッ」と舌打ちをし出した。


「ど、どうしたの?」

「ああ、マズい事になった。どうやら候補者の二人目は、この施設内のどこにも居ない」

「……どういう事?」

「少し前から、オレの『眷属』を放ってこの警察署内を調べさせていたんだ。しかし、何処を捜しても写真の女は見つからなかったらしい」


 すると、コスモスは指先から一匹の小さな蝿を瞬時に生み出した。コスモスが『眷属』と呼んでいる魔物だ。

 コスモスは、この蝿を大量に操って、情報収集や戦闘のサポート等をしてもらっている。人間をゾンビに変えるのも、この蝿を使って行っているらしい。

 ……それにしても、いつの間にそんな事をしていたんのだろう。


「居ないって事は、もしかして外に?」

「おそらくそうだ。何をしに出ていったのかは知らねーが、奴の帰りを待っていたらどれだけ時間を無駄にするか分かったもんじゃねー。……こうなったら作戦を変えるしかないな」

「作戦?」

「オレらがまとまって行動するのは、非効率的だと言ってるんだ。二手に分かれてそれぞれの目標を攻略していくべきだ」

「みー」

「ああ、そうッス。花江水千佳の相手はオレがやります。先輩と言ノ葉杏里は、行方知れずの二人目の捜索をお願いしたいッス」

「……コスモスが花江さんの相手を?」


 だ、大丈夫なんだろうか。

 だってコスモス、花江さんに対して悪態ばかりついているし……。


「オレだって率先してやりたくねーよ! でも、消去法で考えればオレが一番花江水千佳の相手に向いている」

「う、確かにそうかも。……でも、もう一人の方はどうするの?」

「問題はそこなんだよなぁー。この広い街の中で、何の手がかりも無しに一人の人間を探すのは不可能に近い」

「みー」

「それなら、私が手伝ってあげても良いよ?」

「そうですか。……………………ッ!?」


 途端、聴き慣れない声が聞こえてきて私の思考は一瞬止まる。

 ハッとなり振り返ってみると、そこに居たのは私達をここへ案内してくれた女性。十橋一子先輩だった。

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