第58話「戦闘準備、完了」
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種族名『ホブゴブリン』
ランク☆☆☆
ゴブリンの進化系。体が大きくなった事で、戦闘能力が飛躍的に上がった。
種族名『シルバーファング』
ランク☆☆☆
リトルウルフの進化系。銀色の毛並みが特徴的。月の光を浴びると強くなる。
アーサーLV27
HP1000/1000
ATK155+15
DEF84
経験値16144
スキル
武器召喚(棍棒)
ラムレイLV25
HP1030/1030
ATK171
DEF81
経験値15825
スキル
針毛、ロックカット
「素晴らしい」
見違える程強くなった俺の仲間達。
グレートオークの能力には及ばないものの、巨象と蟻程の力差があった時よりは幾分かマシになったはず。
「フヌァア!!」
「避けろ!」
グレートオークが肥大化した腕を叩きつけてきた。俺が指示を出すと、アーサーとラムレイは、軽やかな身のこなしでそれを回避する。
ランク☆だった時なら、今の一撃で絶命していただろう。どうやら進化した事で、ステータスだけでなく動きも良くなっているようだ。
グレートオークは、二人に対し、立て続けに腕を振り下ろしていく。奴は余裕の表情を浮かべていた。
「ブッヒッヒ! 今更小物が増えたところで何になる!? 依然として圧倒的なのはオレ様の方だ!!」
……まあ、そうなんだよなぁ〜。
先の戦闘で、俺はグレートオークに対してありとあらゆる手段でダメージを与えようと試みた。しかし、効果はいまひとつ。
元々、グレートオークとのステータス差は歴然なんだ。どれだけ頑張ったところで勝ち目は薄い。
だからリリーを囮にして、その隙に逃げようと思ったんだけど……残念ながら見破られてしまった。
「なあ、今からでも逃げないか? リリーだって、こんなところで死にたくはないだろう?」
「みー!」
うーん赤い瞳に闘志が滾っているのが分かる……。どうやらこの子の眼は死んでいないらしい。
「はぁー分かった。俺も腹を括るさ。協力するよ」
グレートオークは、執念深く俺を追いかけて来る。逃げるのは難しい状況だ。
スキル『浮遊』で遥か彼方まで飛んでみようと試したりしたけど、どうやらこのスキルは、高度が高くなる程エネルギーを多く消費するみたいでメッチャ疲れる。いざという時にエネルギー切れで飛べなくなるのはマズい。
逃げ切れない以上、戦って倒すしか道はないのだろう。
一応、倒した時のメリットはある。グレートオークを仲間に出来れば、大きな戦力が加わる訳だからな。これだけの強さを持つ魔物が居てくれたら、安心して学校の外へ出られるってもんだ。
「そういう訳で、お前にも協力してもらうぞインセクトキッズ。戦える奴は多い方が良い」
「はっ? 何言ってんだオメエ……ぐぉっ!?」
インセクトキッズに漆黒の鎖を巻き付けた。
彼女は今、かなり消耗している。ランク☆☆☆☆の魔物でも、今なら容易にスナッチが出来るだろう。
数秒経って、漆黒の鎖は砕け散る。
ステータスの仲間欄を確認すると、そこにはインセクトキッズの項目が追加されていた。
「よし、スナッチ完了だ。これから宜しく頼むぞインセクトキッズ」
「それは良いんッスけど、取り敢えずこの蜘蛛糸を解いてくれないッスかね〜? 二階堂の旦那」
「旦那?」
変わった呼ばれ方をしてしまった。まあ、良いんだけどさ。
インセクトキッズが仲間になった事をリリーに伝えると、リリーは拘束していた蜘蛛糸を華麗に解いていった。
そして解放されるインセクトキッズ。
グレートオークと同じ、ランク☆☆☆☆の魔物だ。強い味方が出来て何よりだぜ。
「そしてスナッチ&合成で、インセクトキッズのHPを全回復させて……っと」
次いでに、レベルアップもさせておくか。
≪経験値を獲得しました。インセクトキッズのLVが20に上がりました≫
インセクトキッズLV20
HP1910/1910
ATK302
DEF120
経験値6651
スキル
パンデミック、剣装、破壊光線
「おお〜力が湧いてくる……」
「さあ、行くんだインセクトキッズ! その力でグレートオークを倒せ!」
俺の指示を受けたインセクトキッズは、その二枚の羽を大きく広げて空へと飛び立つ。
俊敏な動きでグレートオークとの距離を詰めて、鋭利な刃物へと変化させた腕で技を繰り出していく。
「ブヒッ!?」
グレートオークの腹部に、斬り傷が刻まれた。
傷。つまり、奴のDEFを突破するだけのダメージを与えたという事だ。流石は、ランク☆☆☆☆。
初めてまともな攻撃が通用した。僅かだが、勝機が見えてきたな。
「よし。インセクトキッズを主力にして、俺達はサポートに回ろう。その方が効率的だ」
「みー!」
「おっと、異議は認めないよリリー。君のステータスではグレートオークを……っておい!!」
俺が言い終える前に、リリーがグレートオークに向かって突進し出した。
攻撃しようとするつもりなのだろうけど、無駄だ。リリーのATKじゃあグレートオークのDEFを突破出来ない。
するとリリーは、空高く跳躍する。その軌道は、グレートオークの顔面へと続いていくのが見て取れた。
リリーは、脚を思い切り振り上げてグレートオークの顎を叩く。
「ヌァア!!」
驚くべき事が起こった。
リリーが繰り出した蹴り。グレートオークにとっては、赤ん坊以下のサイズしかない彼女の攻撃が直撃すると、奴は後方へと『蹴り飛ばされた』のだ。
重ねていうが、リリーとグレートオークのサイズ差は、大人と赤ん坊の差を上回る。
それが覆された。蹴りという力技が、あの巨体に通用した。
まさにこれは……『ジャイアントキリング』。
「あ、ブーストアイテム。アレのおかげで強くなっているんだ」
コトノハさんがそんな事を言った。
リリーのパワーアップ。その過程はよくわからないけど、しかしこれは嬉しい誤算だ。
まともに戦える仲間が、二人もいるという事なんだからな。
「オッシ! 体調は良好だ! ぶっ潰してやるぞグレートオーク!!」
「みー!」
二人の少女が、肩を並べて同じ敵を見据える。
その姿は、まるで数々の戦いを共に乗り越えてきた『相棒』のようであると、俺はそう思った。
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