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第4話「動く死体」

 新たなる敵。

 しかし、何も焦る必要はない。相手が魔物だと分かれば、俺のスキルが火を噴くからだ。


「スナッチ!」


 地面から漆黒の鎖が出現し、ヒューマンゾンビを拘束。

 しばらく巻き付いた後、ゴブリン達と同様、見事仲間にすることが出来た。


≪使役が成功しました。種族名『ヒューマンゾンビ』が仲間になりました≫

≪職業経験値を獲得しました。職業『モンスターマスター』のLVが4に上がりました≫


「…………こいつ、もしかして元は人間だったのがゾンビ化したのか? それならこの制服を着ている意味も頷ける」


 詳細を確認しようと、例の魔物図鑑を開いてみる。



 種族名『ヒューマンゾンビ』

 ランク☆

 ヒトが死亡した際に魔物となった姿。ヒトだった頃より運動能力、知能が下がっている。牙から毒を発生するようになり、噛むと相手を毒状態にする。



 …………やはり、元人間か。

 制服に付けられた勲章から俺と同じ一年生だとはわかるが、見覚えはないので別クラスの生徒だろう。

 身分を証明出来る物を持ってないかと探ってみる。

 すると、ポケットに入っていた財布の中に保険証があった。

 名前は、谷口煌。


「よしよし。お前の名前は、タニグチ ヒカルだ」


 早速名付けをしておく。

 これからヒューマンゾンビを仲間にする際は、なるべく元の名前を付けてあげるようにしよう。


「そう言えば、初めてのスキル持ちの魔物だな。『毒の牙』、か」


 パンデミック映画では定番の、噛まれた奴もゾンビになる、というのではなく、あくまで毒化するだけか。まあ、死ねばゾンビになるんだからあながち間違っている訳ではないのかもだけれど。


「…………いや、待てよ。パンデミック映画の理論で考えれば、もう既に沢山の人間が死んでいて、学校中がヒューマンゾンビだらけになっているんじゃないのか?」


 その可能性は極めて高い。俺は、校庭が地獄の惨状と化していたのを見ているし、そこに人間が倒れているのも何人も目撃した。

 あれが、いやあれ以上の人間がゾンビ化したとして、ここには数十体〜数百体の奴らの群れが作られているのかも知れない。

 もし、その群れを一斉に相手をすることになったら、いくら対魔物に関しては無敵の『モンスターマスター』でも対処しきれなくなる。


「今の仲間に出来る最大数が六体。…………これからLVを上げていったとしても心許ないな」


 LV11のアーサーでも、数十体のゾンビを捌き切れまい。今後、大軍を発見した時は、出来るだけ関わらないように注意しないとな。

 とにかく、俺が出来ることは仲間を増やして育てていくこと。ゴブリンでもゾンビでも、もっと見つけていかないと。


「サーサ出ておいでよ魔物ちゃ〜ん。俺と仲間になろうぜ〜」


 しかし、三階フロアを歩き回るが魔物の姿は見えず、既にここも制圧してしまったのかもしれない。

 俺は、三階の一番奥にある書道室へと入った。

 ガランとしていて人気が無い。まあ、ここは授業中以外は誰も利用しないので、こんな状況でなくても静かなのだが。

 魔物が侵入した痕跡も…………。


「…………! 居たぞ!」


 俺は、天井を指差し叫んだ。

 そこには、一メートル弱くらいの巨大な白蜘蛛がぶら下がっていた。八つの目がギョロギョロと周囲を見渡し、獲物をバリバリと咀嚼する変態的な形状の口は餌を欲しがっているように何度も開閉を繰り返している。



 ホワイトスパイダーLV3

 HP90/90

 ATK11

 DEF7

 経験値140


 スキル

 無し



 また新しい魔物。しかもLV3だ。

 これは、仲間ゲットのチャンス…………。


「な、なにぃ⁉︎」


 しかし、そこで度肝を抜かれる出来事が起こる。

 書道室の窓。青い空を映し出しているのガラスが突然、割れた。

 そして、その窓を入り口に大量の蜘蛛が入り込んできたのだ。それも一体二体ではない。十体近くは侵入して来ている。

 蜘蛛達、ホワイトスパイダーは俺達を囲むように天井や壁に張り付いている。「ギチギチッ」と鳴き声とも取れない音が部屋中に鳴り響き、俺の『緊張』がまた一段階上がった。

 それと同時に『楽しみ』も上がってきた。

 ホワイトスパイダーは、俺達を獲物として捉えて見ているようだ。

 つまり殺意十分。いつでも殺し合う準備は万端という訳だ。


「ははっ。面白い。やっぱり生きるか死ぬかの激闘を潜り抜けてこそ、男の価値は上がるってもんだよなぁ〜。……………それじゃあ、行くかッ‼︎」


 世界が滅んで最初の死闘。

 俺は、その状況に興奮を覚え、知らず知らずのうちに笑みをこぼしていた。

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