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第3話「最初の仲間。名付け」

 種族名『ゴブリン』

 ランク☆

 最弱の魔物。気性が荒く好戦的。生まれついての邪悪な存在と言われている。


 種族名『ゴブリン』について、先程の謎画面を使って調べてみると、このような解説を見つけた。

 魔物図鑑、のようなものだろう。

 俺がこれを見て気になったのは『ランク』に関してだ。

 ランク☆。これは、魔物の強さ、若しくはレアリティを表しているのだろう。このランクが高ければ高い程、強くて珍しいという意味に違いない。

 多分。


「…………星1。まあ弱い部類だとは思っていたけどさ。でも、可愛さって希少価値と比例しないんだよなぁ〜」


 俺はそう呟いて、愛すべきゴブリン達を可愛がる。

 四階廊下で最初のゴブリンを仲間にしてから十分後。俺は、更に四体のゴブリンと遭遇し、スナッチした。

 スナッチをしていったことで『モンスターマスター』のLVも3に上がった。これにより、仲間に出来る最大数も五体になった。


「さて、仲間も増えたところで『魔物合成』とやらを試してみるか」


 魔物合成。魔物と魔物を掛け合わせ、より強い魔物にするスキル。

 やり方はイマイチわからん。だけど『魔物使役』のように難しいことを考える必要はないのだろう。


「最初に仲間にしたゴブリンを『ベース』に選択。二体目に仲間にしたゴブリンを『素材』にして合成。…………さあ、ゴブリンよ。更なる高みへ駆け上がれ!」


 瞬間、二体のゴブリンの全身が白く輝いた。片方のゴブリンが光に粒となって広がり、それら全てがもう片方のゴブリンへと吸収されていく。

 時間にスレな数秒の出来事。

 しかし、その間で一体のゴブリンが消滅し、代わりにもう一体のゴブリンが強さを手に入れた。


≪種族名『ゴブリン』が経験値を獲得しました。種族名『ゴブリン』のLVが5に上がりました≫



 ゴブリンLV5

 HP70/70

 ATK12

 DEF6

 経験値200


 スキル

 無し



 一気にLVが4も上がっている。

 経験値は200。一回の合成で倍まで増えるとは驚きだ。


「この際だ、残りのゴブリンも合成しよう」


 魔物合成。魔物合成。魔物合成。

 血となり肉となり、余すところなくその命が使われていく。単純に餌として食べられ、エネルギー変換されるよりずっと命が尊重されている。

 どうせ消え逝く命なら、せめて大事に消費されて欲しいものだ。

 いや、違うな。消えるんじゃない。彼らの命は、この一体のゴブリンの中でいつまでも生き続けているんだ。

 素晴らしい。美しい。涙が出てくる。

 失われた命を嘆く気持ちと、その感謝の気持ちが同時に溢れてくる。

『悲しみ』と『喜び』。この二つの感情が今、俺の中を支配していた。


「まあ、偽善かもしれないけどさ。お前達の命は、大事に大事に、残さず糧とするからな」

「ギャギャギャァッ!」


 残されたゴブリンは、自身から漲ってくる力に戸惑い、そして喜んでいるようだ。生憎ゴブリンの言葉は理解できないが、こいつの様子を見ていれば勘で理解出来た。



 ゴブリンLV7

 HP80/80

 ATK14

 DEF7

 経験値500


 スキル

 無し



 ふむふむ。どうやら合成をすると、魔物の合計した経験値が手に入るようだな。

 それにしても、こいつは凄い。既に俺のATKとDEFと並んでいるじゃないか。俺のステータスが平均でいかほどかは知らないが、それでもこのゴブリンは人間とタイマンで戦えるくらいの実力を手に入れたという訳だ。


「そうだ! ゴブリンゴブリン、って呼んでたら味気ないから、この最初に仲間にしたゴブリンに『名前』を付けてやろう!」


 初めての仲間だし、出来るだけカッコイイ名前を付けないとな!

 あれ、こいつオスなのか? それともメス?

 まあ、どっちでも良いか。


「よし! お前の名前は『アーサー』だ! 聖剣エクスカリバーを引き抜いた英雄王と同じ名だ。きっと強い魔物になるぞ〜!」


 俺は、アーサーを抱え上げて無著に喜んだ。

 一方、アーサーは意味を理解しているのかいないのかわからない顔をしていた。キョトンとしている。

 …………さて、感動で盛り上がるのもそこそこに、また探索を続けるとしよう。

 俺とアーサーは、次なる敵を求めて階段を下り、三階廊下に出る。

 そこにもゴブリンが居て、教室に入っていったり、仲間同士で何やら会話をしているのが見えた。


「彼奴ら、何が目的でこんな場所に来たんだ? ここを占拠して住処にするため、とか?」


 考えてもわからない。

 今は取り敢えず、あのゴブリン達をスナッチしていくのを優先しよう。


「オラオラ〜! スナッチスナッチスナッチ!」


 漆黒の鎖が出現し、巻き付き、面白いように仲間が増えていく。

 最大数に到達したところで合成を開始。アーサーをベースに、どんどん素材を使って強化を行っていった。



 アーサーLV11

 HP100/100

 ATK18

 DEF9

 経験値1200


 スキル

 無し



 あれ? 名前が変わっている?

 先程まで『ゴブリン』と表記されていたのが『アーサー』になっていた。どうやら俺が名付けしたことで、システムもそれに合わせてくれたみたいだ。気が利くな。


「そして遂にLVも二桁に達した! ウチのアーサーの成長っぷりに、俺自身ビビっているぜ!」

「ギャギャッ!」


 この調子で三階フロアも制圧してやろう。

 より強い仲間を増やすには、もっと強化する必要がある。スナッチして合成して、スナッチして合成して…………。


「んっ?」


 と、そこで俺は思いがけないものを目にする。

 それは、教室前廊下を通った先にある三階渡り廊下にいた。

 人間、だと最初は思った。奴は、俺と同じ学校の男子用制服を着ていたここの生徒で、そして俺の学校には間違いなく人間しか入学できないからだ。第一、見間違うはずがない。普通、人間と魔物を見間違えるはずがない

 そう、見間違えるはずがない。…………しかし、今俺の目の前にいるその『奴』は様子がおかしかった。

 まるで正気を失っている表情だった。目が血走っていて涎はダラダラ、何かに取り憑かれているかのように視線は明後日の方を向いてるし、歩調も不規則で実に挙動不審だ。

 そして、極め付けだったのは例のステータス画面だった。

 あの画面が、その『奴』の側で表示されており、そこにはここ書かれてあったのだ。



 ヒューマンゾンビLV1

 HP100/100

 ATK10

 DEF6

 経験値100


 スキル

 毒の牙



 …………ヒューマンゾンビ。画面にはそう書かれていた。

 つまり、俺の目に映っているのは人間ではなく。

 人間の姿をした魔物だったのである。

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