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第178話「海だー!」

 インターネットも電話もラジオも使えない今この世界において、外部の情報を得るのは非常に困難である。

 どうしても知りたかったければ、実際に行って見聞きするしか方法はない。少なくとも、俺にはその手段しか思いつかない。

 なので、実際に行って見聞きすることにした。

 最も、直接現地へ向かうのはこの俺、二階堂翼ではなく、『魔物使役』で仲間にした魔物達だが。彼らの中には、飛行能力を持つモノが居るので、長距離の移動でもそれほど難しということはない。

 二、三日で戻ってこれる場所まで仲間を向かわせ、『魔物の眼』で映像を映し出す。そうして、映像から得られる情報を入手していくのだ。

 そうした事で、分かったことは幾つかある。


 一つは、少なくとも半径二〇〇km圏内まで魔物がウジャウジャと蔓延っている事。

 たまたま、俺が住んでいる地区だけに魔物という異形が現れたという訳ではないらしい。


 一つは、警察や自衛隊などは殆ど機能していないという事。

 弱い魔物ならいざ知らず、ステータスが高かったり強力なスキルを持つ魔物が一体でも居れば、銃などの武器を用いた従来の戦闘術は役に立たないようだ。一度だけ、自衛隊が魔物と交戦している現場を発見したけど、ランク☆☆☆☆☆の魔物を相手にして壊滅してしまった。


 一つは、そんな魔物と対抗する組織が別にあるという事。

 職業やステータスを手に入れた人達が、自分達の身を守るために戦っている光景を映像上で見ることが出来た。自警団という奴だな。


 ……そしてもう一つ。俺の家は、どうやら無事らしいという事。

 あまり心配はしてなかったけど、何事も無さそうなのを見れて安心した。

 まあ、今は色々試したいことがあって忙しいし、家にはそのうち適当な時に帰るとしよう。


 とまあ、そんな感じで情報は入手出来た。

 世界が滅びてから今日で十日目。

 今のところ、何事もなく平穏な時間が過ぎている。

 ……ただ、最近は少し退屈気味なのだ。

 今までは、安全のためにと部屋の中でゴロゴロした生活を送ってきたけど、流石に十日も引き篭もっているのはそれはそれでダルい。

 時間は有限。限りある人生をより豊かなものにするためには、広い世界に出かけ、触れていかなければダメだ。


 で、季節は夏。

 そろそろ海開きのシーズンだ。「海水浴がしたい」と、今朝俺は思ったのである。


「そんな訳で、『思い立ったが吉日』。早速、海へ下見にやってきたんだけど……」

「カイスイヨクジョー!」


 小さくなったスラタロウが、俺の頭の上で跳ねながらそう叫んだ。


「御主人様! 海だよ、海! 大きいねー!!」

「おう。海だな、スラタロウ」


 聞けば、スラタロウは海を見たことがなかったらしい。

 初めての海を見れたスラタロウは、大はしゃぎ。

 一方で、俺は海とは別のものが気になってはしゃぐ気にはなれなかった。


「こんな状況下で、普通の海水浴が出来るか不安ではあったけど、……これは予想以上に酷いなぁ」


 拠点から一番近い海水浴場へ着た俺が見たもの。

 それは、浜辺を彷徨うゾンビや魔物の群れ。

 乾いた血痕。散らばる残骸。

 当然ながら、海水浴を楽しんでいる一般客はゼロ。間違いなく、俺がこれまでの人生で訪れたどのビーチスポットより殺伐としている。


「海の中にまで魔物が泳いでるな。思えば、魚系の魔物に遭遇するのは初めてだ」




【種族名】サハギン

[ランク]☆☆☆

[LV]11

[HP]700/700

[ATK]98

[DEF]47

[EXP]1460

《スキル》0種類



【種族名】ストーンクラブ

[ランク]☆☆

[LV]4

[HP]210/210

[ATK]25

[DEF]19

[EXP]199

《スキル》0種類



【種族名】ダークスライム

[ランク]☆☆☆

[LV]6

[HP]544/544

[ATK]64

[DEF]54

[EXP]311

《スキル》0種類




『サハギン』とかいう半魚人みたいな魔物を筆頭に、見た事がない魔物の姿がちらほら。

 それにしても、ランク☆☆☆かぁ。

 今俺が住んでいるホテルの近所だと、稀に見る程度の強い魔物が、ここでは当たり前みたいに生息しているな。

 数日の調査で察しはついていたけど、どうやら場所によって現れる魔物の種類やランクは異なってくるようだ。


「まあ、『強い』と言っても今の俺にとってはどうということはない相手だ。さてと、どうしたものかなぁ……」


 いつも通り『スナッチ』すれば、ひとまずこの付近の魔物は無力化できる。

 しかし、いざ海水浴を楽しんでいる最中に、また新たな魔物が出てこられでもしたら困る。その度に一致対処するのも面倒臭い。

 となれば。この海に、邪魔者が一切来れないように細工をしなければならないだろう。


「そうだ、ココナちゃん! あの子のスキルを上手く使えば、この海に魔物を来られなく出来るはず!」


 但野心奈ちゃん。数日前に、遊戯部の人達と共に仲間に迎え入れた女の子だ。

 職業【箱入り娘】という、身を守るのに適したスキルを習得できる力を得ており、それらのスキルの中には、魔物を近づけさせないという効果を持つものもある。


「よし、プランを思いついたぞ! まず、ここらにいる魔物を一掃する。そして、ココナちゃんのスキルで魔物を寄り付かせなくする」

「でも、御主人様。但野心奈が使うあのスキル、ボクもムズムズするよ〜」

「多分、大丈夫。あのスキルは、強い魔物には効果が薄いらしいからな。今のスラタロウなら、スキルを無効化出来るはずだ」


 ただ逆を言えば、弱い魔物は近寄れなくなるということになる。

 海水浴には、仲間の魔物達も誘おうと思っていたんだけど、こうなってしまうと面子が限られてしまうか。……まあ、今回は仕方ない。次回の海水浴をするにあたっては、何かしらの対策を考えておこう。


「よし。そうと決まれば一度帰るぞ、スラタロウ。まずは、コトノハさん達を海に誘おうじゃないか!」

「やろうよやろう!」


 俺は、空へ浮かび上がり、拠点へと戻る。

 本日は、晴天。海で遊ぶにはもってこいの天気だ。

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