第13話「生存者を求めて」
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『三葉坂高等学校』。それが、俺が通っていた学校の名前だ。
全生徒数は、千人規模。この少子化の時代には珍しいマンモス校で起きた、今回の事件。
魔物が校内に侵入して、人々を襲いまくった。そして、襲われて死んだ人達はゾンビになり、正気の失った瞳で校内を闊歩している。
この数時間で、死んでしまった人間の数は、数百人はいるだろう。しかし、それでもまだ何処かに生き残りが隠れているはずなのだ。
その隠れ場所候補となるのが、『旧校舎』と『体育館』。
ここから少し離れた場所にある旧校舎は、数年前に新校舎が設立されて以来、現在は立ち入り禁止となっている。
そして、新校舎と旧校舎を挟んだ地点にあるのが体育館。ここも、大勢が隠れるには絶好の場所だ。
「体育館へ向かうには、校庭を横切るのが近道だな」
コトノハさんと別行動をとった俺は、拠点を離れて正面玄関から外に出ていた。
玄関を出てすぐ近くに校庭はある。しかし、そこには沢山の魔物達が。
屋上から地上の魔物をスナッチしまくっていた俺を発見して、大勢の魔物が校舎内に入ったはずだけれども、それでもまだ結構な数がいるな。
「ヴォェェ〜…………」
「ゴォオオオ…………」
干からびたような喉から聞こえてくる鳴き声。
よく見てみると、校庭にいたのは殆どがヒューマンゾンビだった。奴らは、何処か行く訳でもなく校庭付近を彷徨っている。
ゾンビ映画さながら。もしかしたら、ゾンビには知性が極端に低いのかも知れない。だから、他の魔物達は俺を追ってきてもこいつらだけはこの場に留まっていたんだ。
「情報収集が目的だからな。ゾンビがどの程度の頭脳を持っているのか試してみるか。まさかこの恐ろしげな見た目で、実は心優しい無害な存在なのかも知れない訳だしさ」
俺は、この仮説を検証してみるため、とある実験を行ってみることにした。
①まず、偶然近くにいたLV1のゴブリンをスナッチする。
②次に、そのゴブリンにゾンビを攻撃するように命じる。
「あ、駄目だわ。普通に襲われた」
俺が、「攻撃しろ」と指示を出したゴブリンは、真っ先にゾンビからの反撃に遭い、思い切り噛み付きを受けてしまった。
スキル『毒の牙』の効果で毒状態になりへべれけ。おまけに他のゾンビ達までゴブリンLV1を襲い始めた。
ゴブリンLV1のHPがゼロになったところで、俺は納得する。
「なるほど、やられたらやり返す。身を守るための防衛本能は持ち合わせている訳ね」
しかし逆に言えば、必要以上に刺激させなければ襲ってこないということだ。これは、大きな情報を得たぞ!
この調子でどんどん情報を集めていきたいところだけれど、今の最優先は生きている人間から情報を得ること。死んだ人間から得られる情報は持って帰ってから後でゆっくり入手するとしようか。
まあ、何にしてもこれから生存者に会うんだ。だが、向こうが今どんな状況にあるのかわからない。もしかしたら、『北斗の拳』みたいに世紀末ムードの真っ只中なのかも知れなかった。そうなれ多少の戦力は必要になるだろう。
なので俺は、校庭にいるゾンビ達を片っ端からスナッチしていった。
「合成!」
更に、スラタロウのLVも上げておくとしよう。名前も付けたのに弱いままなには不憫だろうからさ。
こいつは屋上脱出の件と言い、役立つ場面が多くありそうだ。強化しておいて損はないだろう。
スラタロウLV14
HP135/135
ATK19
DEF13
経験値1844
スキル
衝撃吸収、収縮
スキル『衝撃吸収』。
ステータス画面から調べて得た情報によると、このスキルは、自分が受けた衝撃を大きく減らすことが出来るものらしい。屋上から落下してきた俺達を難なく受け止めてくれたのも、このスキルのおかげだ。
そして…………レベルアップで新しく獲得したようだな。
スキル『収縮』。
「おおっ!? す、スラタロウ! お前、小さくなれるようになったのか!?」
「ッ! ッ!」
スラタロウは、飛び跳ねて俺にアピールをしてくる。
そう、俺が視線を動かした先にいたのは、『小さくなったスラタロウ』だったのだ。
さっきまでのスラタロウの全長は、おおよそ五十センチ程度だった。
しかし今のスラタロウは、俺の掌に乗るくらいのサイズまで縮むという、正しい意味での『収縮』を起こしていた。
「お前、持ち運び便利になりやがって。マスコット枠狙いか?」
俺の問いに対して、スラタロウはぴょんぴょん跳ねるばかりで何も応えない。まあ、元々喋れないんだけどな。
しかし、携帯するのに便利だな。スラタロウは、このまま胸ポケットにでもしまっておくか。
「スラタロウ。俺の身に危険が迫ったら、すぐに助けるんだぞ?」
「ッ!」
すると、どこからか例のアナウンスが聞こえてくる。
≪職業経験値を獲得しました。職業『モンスターマスター』のLVが12に上がりました≫
名前:ニカイドウ ツバサLV4
種族:ヒト
HP115/115
ATK17(+15)
DEF9
経験値196
スキル
無し
職業
モンスターマスターLV12
仲間18/19
・アーサーLV18 経験値4668
・タニグチ ヒカルLV13 経験値2626
・リリーLV14 経験値2602
・ラムレイLV13 経験値2500
・スラタロウLV14 経験値1844
・ヒューマンゾンビLV2 経験値121
・ヒューマンゾンビLV1 経験値100
・ヒューマンゾンビLV1 経験値100
・ヒューマンゾンビLV1 経験値100
・ヒューマンゾンビLV1 経験値100
…………その他八体。
職業スキル
魔物使役、魔物合成、魔物鑑定、魔物武器化
ふんふん。
いや〜、俺の勢力もなかなか強くなってきたじゃないの。
ていうか、タニグチ ヒカル…………。お前、生きていたのか。屋上から殴り落とされたのによく無事だったな。
「だが、生きていてくれて良かった。この探索を終えたら迎えに行ってやるとするか」
「ガギャギャッ!」
「ん? どうしたアーサー…………!」
俺は、アーサーの呼びかけに釣られ、周囲に視線を向けた。すると、校庭の外れ。建物の陰から複数の人影が見えたのだ。
そして、しばらくするとその陰は姿を現した。
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