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嵐の前の静けさ

『……アルターとの条約締結に向け臨時議会が招集されました。各部族長と議員がカエサリアに集まり』


 ラジオのニュースを聞きながらニュクスは自分の執務室をウロウロと歩きまわっていた。


 魔王をしてる兄が勝手にアルター側と会談して1ヶ月経ったが、未だにデモが頻発していた。

 会談で決まった条約承認のために各部族から議員が出席する部族議会が開催される事になったが、世論の反発も有り議会で糾弾される可能性があった。


『杉平幕府との条約は議会で承認される見通しです。また、アルターを含む4カ国で結ばれる戦争法は……』


 会談に否定的な部族出身の議員に“条約自体は肯定的”な議員が多いが……。


 急激な工業化で兵器の生産数も増え、技術の進歩で戦場の悲惨さは増し続けている。第1次大戦の毒ガス戦、第2次大戦の無差別爆撃を知る転生者も多く、議員への働きかけも多い。その為、戦争の矛先が戦場に居ない住民に向かうのを防ぐ“戦争法”の締結は好意的に受け止められ、賛成に回る議員も多い。


 だが、世論の一部は“戦争法”の成立自体にも反対しているそうだ。正確な世論調査も行われないため反対派賛成派の総数が不明なのも状況を不確かな物にしていた。


 厭戦感情が国内に蔓延していると魔王は踏んで会談した。だが、実際は戦争継続派が毎日のようにデモをしていた。

「信頼できる世論調査をする機関が必要か……」



「師団長。海軍作戦部長がお見えです」

「通して」


 この1ヶ月間、ニュクスは激務に追われていた。


 師団長として、アルター側への侵攻計画や防衛計画を策定する義務があるが、敵方にソ連の新型戦車が配備されたとの情報で計画が全て台無しになった。


 アルター、マルキ・ソビエトどちらに配備されたか判らないが、複合装甲を持つ新型戦車に対抗できる兵力は限られている。

 現在師団に配備されている対戦車兵器はそもそも無く、対装甲人形(オートマタ)用に配備されてる15ミリ対戦車ライフルやロケット砲で対応するか、砲兵部隊の榴弾砲で破壊するしか方法が従来想定されていた。


「やあ、師団長。大変だったね」

「どうも作戦部長。座って下さい」


 その為、ニュクスは海軍にある依頼をしたのだ。


 8インチ(20.3センチ)砲を装備した海軍の飛行艦を旗艦とする艦隊を一つ借りたいと……。


 主力の巡洋艦の8インチ砲だけでなく、5インチ(12.7センチ)砲を装備した駆逐艦程度の砲であっても有効打になり得ると師団で結論づけたのだ。





「T-80Uの上部なら装甲が薄いので40ミリ対空砲でも十分対処可能だと見積もられます。駆逐艦なら水平状態で下部の2基4門が、30度以上水平に傾ければ8基16門が射撃可能です」


 そもそもが自艦より高高度を飛行する飛竜を攻撃するのを目的に配置されていたので、仰角の関係上対空砲を使うには船体を傾けつつ上空を旋回する必要が有った。


「巡洋艦の4インチ砲も水平状態では射角が限られます。また、主砲も同様に。運用方法としては決められた区間を往復しつつ艦砲射撃を行うことになるか、一定の距離を開きつつ、飛行艦を旋回させることになるかと」


 作戦部長が持ってきた資料には、飛行艦の艦種ごとの主砲・対空砲の射角、更には徹甲弾の貫通力と砲弾の速度が書き込まれた機密資料。


「巡洋艦2隻駆逐艦4隻の第3艦隊なら師団正面と側面をカバーできます」


 巡洋艦の主砲の艦砲射撃も期待できる。

 侵攻計画の再策定と敵後方の補給線への攻撃も検討してみるか……。

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