赤の妖精
「起きてください、朝ですよ」
身体を揺さぶられ目を覚ます。
緑の双子妖精の妹のハナだ
「おはよう、妖精でもきちんと朝には起きるんだな」
「そういうのもいるけど、今日はお仕事なんです」
「わかった、着替えるからちょっと待ってて」
樹の水を頭からかぶり白いタオルで頭を拭く。さっぱりして気持ちがいい。そして口をゆすぎ部屋にあった緑の妖精の服に袖を通し、ズボンをはきベルトをする。鏡に映る自分はお伽噺の妖精の一員だ
「お待たせ」
表に出るとハナともう一人 緑の妖精がいる
「おー、アンタが人間か。似合ってるド。」
緑の妖精の服を着ているが体格が他の妖精と違う、一目見ればわかるオークだ。
「この人はオーク族の大工さんなんです、あなたの家もこの人が作ってくれたの」
「オラが気合い入れて作った家だ、いい家だろ?」
「とても住み心地がいいよ、素敵な家をありがとう。えーと」
「オラはオークのウッドンだ。ヨロシクな守」
「よろしく」
オークの太い腕と握手するが少し力強い程度で手加減してくれた
「緑の妖精はオーク族以外非力だから力仕事は彼らに任せてくださいね」
にかっと笑い後ろで力瘤を作るウッドンさんが頼もしい
「そんで、オラの仕事は守んちをちょこっと広くすることダ。立派な郵便局を建ててやるド」
「その代わりに私達は大工さんの手紙を届けるの」
なるほど、お金じゃない誰かのために何かをしてその代わりに何かをしてもらうのか。
「これがオラと仲間たちの手紙だ」
ウッドンさんの大きな手でもまだ厚い手紙を渡される。
「おっとと、流石にこのままは持ちきれないかなあ」
と困っていたらヒビキが飛んできた
「お待たせ!ちょっと君のための道具を受け取りに行ってたんだ、はい」
そうして渡されたのは何かの皮で出来た肩からかけるタイプのバッグだった。裁縫がしっかりされていて丈夫な皮で出来ている。大切に使えばかなり長く使えそうだ。
早速手紙を入れるとバッグが膨らむそれっぽくなってきた!
「行き先は赤の妖精のところだド。友達のドワーフとか向こうで働いてるオーク族だ。名前がわからないのは向こうの奴に聞けばいいド」
「丁寧に教えてくれてありがとう。無事にお返事貰ってくるよ」
「赤の民の棲みかは熱いから気を付けるんだとー」
ウッドンさんに見送られてまだ見てない妖精の場所へと向かう