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妖精の世界で郵便配達  作者: はまやらわ
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自然の脅威

「お!?それがニンゲンか!」

青の妖精の一言も似たようなものだった。

しかし見た目はヒビキ達とは違い薄く発光していたりエラがあるのが特徴的だった。

「ああ、こっちの妖精王様からそっちの妖精王様に用がある。案内してくれるかな?」

「ああ、いいよいいよ。わざわざこっちにもくるんだ、混ぜてくれるんだろ?大歓迎だ。水の中に入ってくれ」

ひんやりとした水に身体を驚かせながらもゆっくり水に浸かると風船を膨らますようにぷくーっと大きな泡で俺達を青の妖精は包んだ

「息ができる!」

「これで僕達も水のなかに入れるんだ。」

「あたしは水に濡れないで入る方法があったらなって思うの。冷たいし服は濡れて寒いし」

「これでも他種族に歩み寄った結果なんだから文句はなしだ」

青の妖精に泡をつつかれ運ばれていく

「妖精王様ー!ニンゲンのお客だぞー!」


「ようこそ、一応青の妖精王やってます。」

「えーと、これを緑の妖精王から」

緑の妖精王に渡された袋を渡す。

「ふむ、ふむふむ。なるほど、はい、はい、はい。ええ、大体わかりました。ではこちらがお返事となります。このまま帰って渡してみてください。せっかくなのでお返事を書いてみました。ある意味これが初仕事ですね。あと晴れていますが直に雨が降りますのでお気を付けて」


コリコリと木板を削りそそくさと引っ込んでいった青の妖精王

「よそ者が苦手とかじゃないから気にしないで、元々ああいう人なんだ。」

「俺達の中じゃ年長者だし、やるときはやるんだけどなあ」

「ま、その辺りの話はまた今度にしましょ。多分またくるから」

「そうだな、今日は雨が降るらしいしお前達の種族じゃ厳しい。それじゃあ運ぶぞ。」



「ありがとう。」

「おう、またこいよー」

「さて、雨が降り始めたら本当に大変だ。食べ終わったら早いところ帰ろうか」

岩の上に座りおばちゃんが持たせてくれただんごのようなものをほうばりながら話す。ヒビキは早々に食べ終わり滝の水を組んでる。

何やらヒビキの説明だと木の実を磨り潰して叩いたものらしい。

仄かに保存のための塩味がきいていてもち米のお握りみたいだ

「なあ、雨ってそんなに警戒するものなのか?」

「恵みはあるし大切なものだけどあたし達妖精には雨粒が大きすぎるのよ。」

「それに当たった衝撃も相当なものだしね。」

「てっきり雨も妖精サイズだと思ってた。思いの外怖いんだなあ」

自然の中で生きるという感覚はないが恐ろしいことだけはわかる

でも急ぐとはいえまた食後にジェットコースターか……気が滅入る。


「よしきたな。早く乗れ、さっき飛んだとき黒い雲が見えた。」

「ああ、雨が降るって青の妖精王様から聞いたよ」

「さ、あなたも早く乗って!」

再びツバサの鳥にのりツバサの命令で飛び立つ。

行きと比べて空気が生温く、湿気を感じると共に背後から猛獣に追いかけられているかのような本能的に危険を感じる。行きより荒いが酔う余裕もなさそうだ。



やがて緑の妖精の木々にまで戻るとあちらこちら漂っていた妖精は一人たりともすでにおらずのどかな雰囲気は暗いことも重なり霧散していた。

「何とか間に合った!おいらはこのまま巣に帰る!流されるなよ」

ツバサは俺達をおろすとそのまま樹の上に飛び立っていった。

「もう余裕ない!君はこのままそこの橋を走って!」

「また明日ね!もし間に合いそうになかったらどこでもいいから蔭に隠れるか誰かのところに入り込むのよ!」

双子と別れ俺は大人になってから久々に全力疾走した。

体力も学生と比べて落ちてるが後ろからはもう雨音が聞こえる。

見えた!あれが俺の家の樹だ!

「ぶ」

そう思ったとたん上から雨粒が落ちてきて衝撃で身体が倒される。

小さくなってるお陰で全部当たるわけではないが立ち上がりは倒されを繰り返す。歩いているのか這っているのかわからなくなった頃にようやく自分の家に帰ることができた。

「はあ、はあ……げほげほ…げほっ!危なかった」

そのまま浴槽へと行き水を張り説明書きにあるように不思議な熱を保ったままの赤い石を木製のトングのようなものでつまみ放り込み湯を暖める。

ずぶ濡れに消耗した身体に暖かさが気持ちいいだろう。

今日はこのまま入浴して寝ることにした。

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