運び屋ツバサ
「おいこら、ヒビキ。遅かったじゃないかおいらの方に連絡が来てからこいつも待ちくたびれたぞ。運送は時間が命なんだ、」
後ろの大きな鳥(正確にはこっちが小さい)を後ろ指で指しながら
鳥使いに文句を言われる。まあ飯食べてたからなあ。
「妖精でも時間は気にするものなのか」
「人間の漫画にそんながあったからそれをウリにしてるんだ、だけど妖精によって怒ったり嬉しがったりでわっかんねえんだよなあ」
「荒っぽいんだよ、何となくで真似するからだよ」
「って言われてもなあ、おいら他にやり方知らねえしなあ」
「何度も同じこと言ってるじゃないあなた。もういいから乗せてよ、場所は青の妖精王様までよ」
「おう!ほら乗ってくれ。運び屋ツバサのお仕事よく覚えときなニンゲン」
不安はあるが乗るしかない。
柔らかいようで少し固い鳥の背中に乗るとツバサは鳥に命じて飛び始める。
双子に手をとられて浮いたのとは違い揺れながら風を切って進んでいく。多分馬に乗ってるようなものなのだろう。大きな違いは途中上下左右に動いて三次元的な動きをすることだろうか。
「どうだい、風が気持ちいいだろ?」
「確かに風はいい。だけど………」
「あー……」
「胃がシェイクされて食べたものが…………」
うん、これは確かに人と時を選ぶ。食後のこれはノンストップジェットコースターだ。気持ち悪い
「我慢してくれ、後少しで着くんだ」
「ここで吐かれたら誰も幸せにならないわよ、頑張って!手紙さん。後ちょっとだから!ね?」
ハナも当然嫌がり必死で励ましてくる。勿論俺も必死で耐える。
「到着!ご利用ありがとさん。大滝前だ」
やがて揺れが収まり目的地に到着した。
ずり落ちるように降りる。必死で周りの景色なんてわからなかったがそんなことよりも降りた岩場で横になる。
「頑張った!手紙さん頑張った!」
「ハナ、ちょっとどいて」
ヒビキの声がする………
「そらっ」
酔いでぼんやりした意識にいきなり冷たい刺激が与えられ多少意識がはっきりした。どうやら顔に水をかけられたらしい。
「大丈夫かな?まだ辛い?」
「いや、ちょっと楽になった。ありがとうヒビキ」
そして改めて見た景色は残った酔いを冷ましてくれるようなとても爽やかな景色だった。
今いる場所は川のほとりで濁りとは無縁な綺麗な水が流れ、木漏れ日をキラキラと反射している。そして奥には滝があり、滝壺はまるで湖のように広くガラスのように底を映していた。元の世界でも見れるが大きな違いは小さな身体からだと果てしない水量の力強さを感じられるところと透明な水の下に見える岩の集落とその周りの青い妖精達だ。
「おいらはここで待ってるから帰りにまた声かけてくれ。そんでお前らが青の妖精王様に会ってる間飯とってる」
「それじゃあこっちはこっちでやることやってようか」
「間違えて水の中に落っこちないでね?あたし達緑の妖精は泳げないから」
緑の妖精王からもらった紙を握り双子の後をついていく。
この水にすむ青の妖精達はどんな相手なんだろうか?