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妖精の世界で郵便配達  作者: はまやらわ
2/7

お仕事の第一歩

日差しに目を覚まし身体を起こす。

辺りを見回せば樹の家であり夢でないことを実感する。

「どうしたらいいだろう。顔を洗いたい」

見れば部屋の中に水の出る穴がある。樹の管に小さな穴を空けて水を出してるのか。

流れる水に顔を突っ込んでバシャバシャと顔を洗う

「ふう、スッキリした」

タオルで顔を拭いていると机の上に紙があることに気付く。


[起きたら向かいの家に来てね]


顔も洗わずに人前に出るのには抵抗があったが家には水道なんてなかったので仕方なく外へ出た。


外へ出ると昨日のうちはわからなかったが外の風景は中々のものだった。

俺の家は大きな樹の一室だったようで上下階に他の家と思わしき穴があり。同じような大木がいくつもあり、それらをつり橋で繋げている。

ちらほらと飛ぶ妖精を見ながらトントンとつり橋を渡り向かいの家を覗く。


「あ!なかなか早起きだったね。おはよう」

「おはよう、えーと」

「ヒビキだよ。僕と妹が案内することになってる。」

「ああ、それで俺はこれからどうしたらいいんだ?」

「何をすればいいか?何をしないといけないか?いかにもニンゲンらしい悩みだね。昨日妖精王様がいった通りさ、そんなものはない。みんな好きに暮らしてるよ。」

「例えば?」

「そうだねえ、一日本に埋もれてるのもいれば外で大工をしているのもいる。君の世界でいうお仕事は自由さ。一番ニンゲンに近いのはここから少し行ったところで料理を対価によって提供するおばさんかな」

「やっぱりタダじゃないのか。」

「そんなに心配しないでもそこいらの木の実でも採って持っていくだけでも作ってくれるよ。ニンゲンの真似事でそういうことして楽しんでるだけだから。直接感じた方が早いね、よし!妖精王様に君のやりたいことを言ってごらん?うちの妖精王様は優しいから相談にのってくれるよ?」

みんな自由におままごとして暮らしてるようなものなんだなあ。

やることを決められ、押し付けられる人間とは大違いだ。

「わかった。連れてってくれ。」

「表で待っててね、すぐに妹を起こしてくる。おーい!早速出番だぞー。起きろーハナ」

「わ!寝過ごした?すぐに仕度するからヒビキも手伝って!」

表に出ると後ろからは妹を起こしに行った兄妹の喧騒を聞きながら待つ。


「お待たせ。ヒビキの妹のハナよ。」

「それじゃあ僕達の手に捕まって。絶対離さないでね?」

「せーの!」

二人が俺の手を握りながら空を飛ぶと不思議なことに浮力が生まれたようにふわふわと浮きそのまま二人に引っ張られ移動していく。

地に足が着かないのは落ち着かない不思議な感覚だがまるで自分も妖精のように飛んだ気分になる。


「着いたよ、ここが妖精王様の家さ」

「とても大きい樹だからわかりやすいでしょ!」

「やっぱり偉いのはこういうとこに住んでるんだなあ。」

一際色濃く大きい年を重ねたことが見てとれる樹に住んでいた。

辺りをキョロキョロと見回しながら家に入る

「お待ちしておりましたよ。さあ、こちらにどうぞ。」

薦められた椅子に座りさっきヒビキから言われた通り話をする。

やりたいことを言ってみる

「なるほど、ならばそのまま旅に出ると良いでしょう。ヒビキらを連れて行けば不都合はないはずです。」

「だけどなんかこう。もとの世界の癖で遊びっぱなしってのは落ち着かなくて」

「これがワーカーホリックというものでしょうか?なるほど、ニンゲンの病は外の妖精の報告の通り奇妙なものですねえ。」

しげしげとこちらを見ながら言うが伝聞の知識なのか違う、そこまで仕事に打ち込んでいない。

「ああ、失礼しました。ならばあちらこちらを移動する仕事をあなたに与えるとしましょう。まずはこれを青の妖精王まで届けに行ってください。その間に貴方の仕事の準備を済ませておきますので」

妖精王から紙を丸め紐で纏められたものを袋に入れて渡される。

「ありがとうございます。見ず知らずの俺に良くしてくれて。」

「真新しいことに皆面白がっているだけですよ。そう気にかけるものではありません。ではヒビキ・ハナ頼みましたよ」

「わかりました」「任せてください」

「それでは行ってきます」

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