ご招待
ある日のこと、俺は妖精を見た。
誰もが絵本やテレビで見たような羽の生えた小人だ。
もちろんヤバイ薬もやってない
「おいでよ、おいでよ。」
妖精に招かれるがままにふらふらとついていく。ふらふらと森の中、道なき道を進んで行く。
「ようこそ人間!妖精の世界へ!」
意識がハッキリした頃には妖精に囲まれキラキラとした魔法で歓迎された。
「君は妖精界唯一の人間だ!」「優しい人間?」
「ずっとここにいていいよ」「さあ踊ろう!」
辺りを囲むようにして騒ぎ立てる妖精達。
見渡せば樹の中に穴が空き、そこに樹のテーブルなど家具がある。
俺の寝ているのもベッドのようだ。
やがて一際豪奢な服を着た妖精がやって来た。
「おはよう、我ら妖精に招かれた人間よ。この世界に来ることを強く望んだ貴方の願いを叶えました。これからは貴方の自由です。働くもよし、妖精と恋に落ちるもよし、遊ぶもよし、学ぶもよし。」
「あなたは?」
「私は緑の妖精王のオペロです。まだ頭もハッキリしていないでしょうから周りの妖精に流されていたらいいでしょう。また明日私の処へ来てください。」
そう言ってオペロは羽を拡げ木々の隙間から飛んでいく。
「僕は緑の妖精のヒビキ!向かいの家なんだ、よろしく。」
「あたしは双子の妹のハナ!私達が貴方の世話をするの!」
よく似た二人が輪の中から一歩踏み出して挨拶さしてくれる。
「ありがとう。俺は手紙 守とていうんだ。よろしくな。」
「俺は」「あたしは」「オイラは」
「ほらほら一斉に喋っちゃわからないでしょ!」
「それにけっこうボーッとしてる。今日はお開きだ。これじゃつまんないや。」
目の前の妖精のやり取りをボーッと眺めているとあることに気付く
あれ、俺ひょっとして妖精サイズになってる?妖精の世界?
いやいや!あり得ない!早く元の身体と元の世界に………元の世界にあれ、戻ってどうするんだ?
人間社会なんて未練はない。
むしろ子供の頃から憧れ続いていた妖精の暮らしができるならとても素敵なことじゃないか!
もっと世界を見たい!もっと妖精とふれあいたい!ああどうしようか!
こうして俺の妖精の世界での生活は始まった。