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ぼくの詩集

自意識過剰の幻想王国

作者: 桜井あんじ

闇は想像力の一番の友だ

小雨の降る冬の朝に

目覚めてすぐ灯りをつけるなんて

乱暴なことをしちゃいけない


紅茶の湯気は柔らかく立ち上り

それを通してみる世界の輪郭を

曖昧で 柔らかにする

だけど今日はなんだか 世界を顧みるのによい日ですから

あなたのことをすこし 思い出してみるのです


ぼくは

変わらないものが欲しかった

永遠なるもの

揺るぎないもの

絶対的なもの

完全なもの

おおいなる力で ぼくを 支配してくれるもの

ああ ぼくは 夢見ることを しらなかったのです


そうして あなたに 出会ったのです


あなたを失って ぼくは

あのとき死ぬべきでした

そうすればぼくの愛は 純度100%になったのに

99.9%にしかならなかった

100%でない愛をぼくは認めない 愛と呼ばない

純度99.9%の愛は腐りはて ぼくの中で腐臭を放っています

今だって ときどき おもうのです

死んでしまえばよかった

あのとき


だけど 永遠とは どこまで行っても終わりなきもの

はじめから起こらないもの 起こり続けるもの

完全で ないものこそが 永遠

完全なるものは 終わり

終わりは 永遠になり得ない

あのとき死んでいたら それは 完全なる完成だったのです


人は皆それぞれの幻想世界を作り上げ そこに住んでいます

人はみなそれぞれが それぞれの世界の創造主なのです

そしてその世界の中心には 自意識という名の塔がそびえ立っています


ぼくはあなたを愛していたのでしょうか

それともぼくは あなたに なりたかったのでしょうか


ぼくが愛し命まで捧げてしまおうとしたのは 

あなたという概念

あなたが 完全なる平和と幸福の象徴として君臨する 

ぼくのための幻想王国

そこは愛と平和と肯定と生きる意味で満たされた

完璧な世界なのです


愛するとは 神のように崇めること

愛されるとは そのように崇められること

愛するとは 自分の中に神を持つということ

恐ろしいものですね 

きっと愛とは 一種の病なのでしょう


もしもぼくが死んだとしても

ぼくは あなたのために 死んだのではない

ぼくはぼくの幻想王国のために 死んだのです


ぼくの自意識の 幻想王国のために

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