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#1-2

「……い。………たぜ」

「う、ん、んー」

 アリスが目を覚ましたそこは丘の上だった。

「普通は、あれぐらいで気絶しないんだけどな」

「きっとアンタのテラーがアンバランスになっているんでしょ」

「年増のくせに的が当たっているような気がする」

「年増って言うな。…ってかさ、アリス! 早く立ち上がってこの丘からの眺めを見てごらんよ」

 ネコウサギに言われるがままにアリスは立ち上がり顔をあげてみる。

 すると、そこに広がっていたのはまさしくファンタジーそのものだった。行きかう人々の中には獣人やウサギネコとネコウサギ同様の半獣人がいたり、中には重苦しい鎧を着てがしゃがしゃと音をたてているのが聞こえなくてもわかる。もちろんのことアリスと全く同じようないわゆる普通な人間もいる。

 そして、視線をちょっと上に向かせると幻想的な森を連想させるような城が圧倒的な存在感を出しながらそこにあった。

「ここが、プラムケーキ。リリス様がかつて治めていた国だ」

「け、ケーキ?」

「そうだよ。プラムケーキ」

 ウサギネコとネコウサギは当たり前のよう言うがこことは違う世界で生きていたアリスにとってはその国名は違和感の塊でしかなかった。

 すると、わかっていたかのように婆やが説明してくれた。

「この世界にもケーキは存在するわ。けど、この国を創った私とアリスのご先祖様がちょっとユーモアな人だったらしいのよ。それで国の名前がプラムケーキになったの。納得いかないのは物凄くわかるわ。けど、しょうがないのよ」

「は、はい」

 婆やの諦めたようなその目には一切の嘘などなくこれは納得せざるを得ないのものだとアリスは理解した。

「ねぇ! 早く街へ入ろうよ」

「お前は我慢を知らないのか? 年増」

「じゃ、いきましょうかね」

 そう言って婆やにやや強引にひっぱられる形で前へ進むアリス。

 案外アリスたちがいた丘はそこまで高い丘ではなくなんなく下っていけた。

 そして、下り終わるとすぐに街への、国への入り口となるゲートがあった。

 【welcomeプラムケーキ】

 なぜかアリスたちがいた世界と同じ字で書かれたその看板に疑問を持ちつつもスルーして街へと入って行く。

「凄い。こんな世界が本当に」

「あぁ、どれもこれも全部が現実だぜ」

 ネコの獣人が店主の魚屋や見たこともない果実を売っている露店などといったのがいくつも並んでいた。

「そうだ。リリス様! このまま、お城へと行っても」

「大丈夫よ」

 よく見ると通りにいた人々はこそこそと話している。きっと婆やのことなのだろう。そうアリスは思った。

「やっぱり、リリス様は人気者だよね。もう、姿をくらませて四十年は経つのにみんなの記憶から消えないって」

「そうかしら? 私はそこまでの人じゃないわよ」

「いいえ、そんなことありません。なにせ現女王であるヴィグレット様が毎日のようにリリス様のお帰りを待っていましたし」

「あら、ヴィグレットったら。私の代わりに女王になってくれていたのね。うれしいわ」

 婆やはヴィグレットと言う名を聞くとなぜか明るい笑顔になり若さを取り戻したかのように可愛らしくうきうきとしていた。

「ねぇ、婆や。そのヴィグレットって?」

「そうね。アリスにとっては親戚にあたる人よ」

「ヴィグレット様はね、リリス様の妹よ。リリス様が戦略や政治に長けた人でそれに対してヴィグレット様は戦術や人心掌握に長けた人なの」

「婆やとは正反対の人」

「そうかしらねぇ? 似ていると思うのだけれども」

「え。でも、聞いた限りじゃ正反対にしか思えない」

 アリスは不思議そうに首をかしげる。

「実際会ってみればわかるよ。ヴィグレット様がどんなお人か」

「多分、会ってみると今、リリス様が言ったことがわかると思うぜ」

「ヴィグレットは元気にしているかしら? 楽しみだわ」

 婆やの言葉づかいがだんだん若くなるにつれその容姿さえも若くなってきているのはきっと何かの見間違いだろうとアリスとウサギネコとネコウサギは思った。

 しばらく街を歩いていくと城が近づいてくるような妙な錯覚とともにリンゴやバナナやキウイなど様々な果物の彫刻がまんべんなく適当に地面に置いてあり、その中央になぜかチェスの駒を模したかのような城門があり圧倒的な存在感を放ってぃた。

「久しぶりね。この感じ」

「ここがプラムケーキ国のお城であるキャッスル城です」

「……今、お城って二回言った」

「ほらアリスあれよ。ご先祖様がユーモアな人なのよ」

「婆や、わかってはいるけれども。なぜかこう指摘しないと気がすまない感じ?」

「もう、細かいことは気にしな~い! ヴィグレット様が待っているんだから、れっつらごー!」

 ネコウサギに背を押される形でアリスは初めてその城門をくぐった。

 くぐり終わるとまるで魔法にかけられたかのように別世界が広がっていた。舞い散る花びらを見てみればその先には外観からは想像もできないほどの花畑があり、道なりに進んでいけば今度はトランプを模したオブジェクトが所狭しと置かれ、ところどころに胸元辺りにダイヤ、スペード、ハート、クローバーが描かれた何とも重そうな鎧を着た騎士のような人たちが続々と敬礼替わりなのか立膝をつきアリスたちを国賓以上に丁寧な対応をしていた。

「なんか、凄い所。婆やが住んでいたなんて想像もできない」

「俺等にとってはリリス様がここに住んでいたことが当たり前でそっちの世界に住んでいたことが想像できないね」

「私たちは基本的にアリスと同様に別世界には行けないからね。ま、アリスは来れちゃったんだけど」

「あらあら。私はどっちも普通だと思いますけど」

「婆やにとってはそうでしょうね」

 アリスたちが賑やかに話しながら城の中を歩いて行き、ついに大広間にある一つのとてつもなく、それこそ童話でしか見れないような巨大な扉があった。

「なんか私、今この扉を見てやっと実感できた気がするの。まったくの別世界に来たんだなって」

 アリスはその重厚かつ重工な扉を前にそう実感していた。

「さ、この扉を開けばヴィグレット様がお待ちだ。今、ここに先王リリス様がいるとはいえ現王はヴィグレット様他ならない」

「もう、そんな緊張することばかり言って。アリス、そんなに緊張しなくてもいいんだよ。リラックス、リラックス」

 ネコウサギが、すーはー、と深呼吸を二回ほどアリスの前でして見せる。すると、アリスの緊張がほぐれたのかアリスにやんわりとした表情となった。

「そうそう、その顔だよ。後は………あ」

「どうした年増」

「アリスの服、変わってないよ」

「………あ、忘れてた」

 ウサギネコとネコウサギがなにやら婆やを巻き込み相談をしている。

「服は魔法で何とかするとはいえデザインは」

「私、アリスは今の白いワンピースも似合うけどもっとふりふりしたドレスも似合うと思う!」

「バカか年増! ふりふりなんて」

「ふりふり」

 アリスはふりふりと言う単語になぜかテンションが上がる。

「ね? 女の子は一度でいいから着てみたいんだよ。いいですよね、リリス様」

「そうねぇ。でも、そこまでふりふりなのも……あ、いいデザインが思いついたわ」

 そう言って婆やがウサギネコにごにょごにょと耳もとで何かを伝える。それを聞いたウサギネコはなぜか、なるほどと顔を縦に振ってうなずいていた。

「何にしたんですか? 私も知りたい!」

「わ、私も知りたいわ!」

「まぁ、そう慌てないで。今からお見せしますから」

 そう言ってウサギネコはアリスに近づきハット帽を高く上へ投げた。そして、落ちてくるとあの時のようにデカくなり今回はアリスだけを飲み込みように覆いかぶさる。

「リンカントゥ、リンカントゥ。さぁ、そろそろいいですかね」

 アリスにハット帽を覆いかぶさり数分が経ちウサギネコがそう言うとハット帽が勝手に上に上がり今度は小さくなりウサギネコの頭上へと自動的に戻った。

 そして、帽子の中から服装が変わったアリスが見える。

「私の見立てに間違いはなかったわね」

「きゃー! 似合ってるよ、アリス」

「なかなかだな」

「そ、そうかしら?」

 アリスの服はロリータのそこまで派手ではない水色と白の可愛らしい袖の長いドレスになっていた。ロリータのドレスにしてはそこまでふりふりはしていないがその抑え目が逆にアリス本来が持つ可愛らしさを引き立てておりロリータドレスの可愛らしさとアリスの可愛らしさが見事にハマっていた。

「さて、アリス様が着替えたことだしリリス様も」

「私はいいわよ。今のままでヴィグレットに会いたいの」

「そ、そうですか」

 ウサギネコはなぜかがっかりした様子だった。

 それもそのはずだ。婆やの格好はどこにでもいそうな年相応の衣服だったからだ。それに、婆やの見た目はさっきまでは勘違いと思っていたが、完全に若返っていた。それも三十代前後の大人な雰囲気を醸し出す、少年たちには刺激的な女性になっていたから余計に今の格好が変に見える。

 しかし、見た目が若返っていることはアリスにウサギネコとネコウサギ、三人とも何となくだが言えずにいた。言ってしまったら何か終わる気がするから。それにリリス本人が若返っていることに気付いているだろう。

「さ、こんなところでぐずぐずしていないでとっとと中に入っちゃいましょう」

 そして、口調もどこか若返っている気がした。

「そうですね。入りますか」

「じゃ、開けますよー!」

 そう言ってウサギネコとネコウサギは両扉の片方をそれぞれ、ぽんっと叩く。すると、ごぉぉ、と音をたてて重厚で重工な扉が開いていく。

「リッ、リリス姉! 待ってたよ」

 扉が完全に開く前に扉の向こう側から一人の女性が婆やに飛びつき抱きしめてきた。

「ヴィグレット! アンタまったく変わってないのね!」

「リリス姉こそまったく変わってない!」

 しばらく抱き着いていたが離れてその姿が完全に見えた。

「そう、ヴィグレット。この子、私の孫のアリスよ」

「おー、リリス姉の孫か。文通でのやり取りで知ってはいたけど実際会ってみると綺麗だ」

 リリスはアリスの両肩をがっしりとつかみヴィグレットとリリスの間に完全固定する。

「は、初めまして。アリス・キャメロットです」

 挨拶をする時だけ両肩から手が外されたので礼をする。終わると再びリリスに両肩をかっしりとつかまれる。

(別に逃げないんだけどな)

 そう思いつつも何となくされるがままのアリス。

「お、そうだった。私はプラムケーキ現女王のヴィグレット・リデロン。よろしくね」

 ヴィグレット・リデロン。プラムケーキの現女王。見た目は今のリリスと同じく三十代。髪の毛がショートで肌が少し焼けている。身長は成人女性よりちょっと高めで胸の大きさも普通。そして、女王なはずなのにドレスではなくなぜか上半身は袖がまったくない赤の素っ気ない服に下はジーパンと言う、アリスの元いた世界でもよく見た服装をしていた。

「よ、よろしくお願いします」

「あはは! そんな堅くなんなくていって。身内みたいなもんじゃん」

 ヴィグレットは大胆に笑う。それをウサギネコとネコウサギは当たり前のように見ているが女王のイメージが派手なドレスを着て上からモノを言い、足を組みとてつもなく高い椅子に座っている性格に難のある人だったためアリスはイメージとはまったく別の人が登場したために、驚きが隠せなかった。そのせいか、言動がいちいち、お堅くなってしまう。

「で、ヴィグレット様。今、初耳なのですが文通をやられていたとか」

「……あ。や、やってないよー」

 ウサギネコはなぜか口元をひくひくとさせていた。そんなウサギネコの様子を見てヴィグレットはあからさまに焦った。

 文通をリリスとヴィグレットがやっていたことをアリスも知らずにいて、それも驚きであった。そもそもこの世界ノンブルのこと自体を知らなかったアリスにとっては、え、文通できたの? レベルで驚く事実だった。

「まぁ、別にいいじゃないの。公務に影響とかしていないわよね」

「ま、まぁーねー」

「………ヴィグレット、まさか」

「そのまさかですよ。リリス様」

「……ヴィグレット」

「だ、だって私ってほら、現場向きじゃん? 戦場に行ってずばーんっと爽快に敵を切りつける方が、ね?」

「はぁ。ま、そうね」

 リリスは深いため息をつきながらもなぜか笑顔だった。その笑顔はどこか無邪気な子供のような無垢な笑顔。

「ねぇ、ネコウサギ。婆やとヴィグレット女王はどうしてあんなに仲がいいの?」

「う~ん? 普通の姉妹じゃないからかな」

「なにか特別なの?」

 リリスとヴィグレットの間から抜け出したアリスは、ほっと一息をつくとネコウサギに問うた。

 するとネコウサギは「大丈夫かな?」と、いいながらもこたえてくれた。

「昔ね、まだリリス様がノンブルにいた頃なんだけど、その頃のプラムケーキって今みたいに栄えていなかったの。何世紀かに一度の天災に見舞われてね、さらに近隣諸国とは常に緊張状態の戦争中で国全体が疲弊しきっていたの。そんな時に王族はいいストレス解消の的になるの。そんな中で自分たちの父や母に甘えることもできずにずっと二人だけで支え合ったからじゃないかな?」

「じゃあ、この国は最近まで私が今みた感じじゃなかったんだ」

「うん。私の子供の頃ぐらいまでは今とは全然違かったよ」

 ネコウサギは笑顔で言っていたがアリスはどう反応していいかわからずにいた。そんな時、リリスが急に近づいてきた。しかも目をまんべんなくキラキラ輝かせて。

「アリス。私たちしばらくここにいましょう」

「……え?」

 アリスの手を両手で握りぶんぶんと上下に動かすリリス。

「リリス姉がしばらくいたいんだって! で、本当の理由は歳のせいでアリスがいた世界への行き方を忘れたんだってさ」

 ヴィグレットが若干笑いながらアリスに言う。

「……婆や?」

「おや、アリス。どうしたんだ」

「もうそんな口調しても無駄ですよ。見た目とともに口調が若返っているのは知っているんですから」

 アリスが怒りのあまり笑顔になっていた。そんなアリスを見てリリスは引きつり笑顔になる。そんな横でネコウサギはあわあわと慌てふためき、ウサギネコはその様子を見て笑いを必死にこらえていた。

「……ア、アリス?」

「婆やがこの世界にいたいのは本当なの?」

「…本当よ。いたいわ」

「じゃあ、いいんじゃないかしら」

「……いいの?」

「だって婆やには今まで私のお願いをずっと聞いてもらってきたもの。それなのに婆やのお願いを一つも聞けないなんておかしいもの。それに私もこの世界にいたいの」

 アリスはそう言って、てへっ、と可愛らしくウインクをする。そしてリリスとヴィグレットが笑顔になる。

「やったー! リリス姉」

 ヴィグレットはうれしさのあまりその場でジャンプしてしまう。

「そんなにうれしがってくれるなんて」

 リリスはなぜかそんなヴィグレットを見て涙目になっている。

「これで女王なんて面倒くさい肩書から解放される」

「……ほう。私がここに残ることを考えてくれてのことじゃなくて、本当はヴィグレットが女王をやりたくないから私をこの世界に残らせようと?」

「さ、さすがリリス姉。言わなくてもわかるんだ」

「そりゃ、何十年姉妹やってきてると?」

「うーん。少なくても五十年はやってるね」

「え? ご、五十年?」

 そのヴィグレットの言葉にアリスは驚きを隠せなかった。ずっと一緒に過ごしていたリリスはともかくとして初見の見た目が完全に三十代だったヴィグレットのその言葉にはアリスが驚くのも無理はないことだった。

「あれ、言ってなかったっけ? 私は今、五十七だよ」

 そう言ってヴィグレットはウインクをして見せる。

 一体この世にウインクをする五十七歳がいようとは。しかも、その見た目が三十代だ。よくよく考えてみればリリスもこの世界に来てから見た目と口調が三十代程度に若返っていた。もしかしたらこの世界には年齢がどんなに高くても見た目が若い人しかいないのかもしれない。この世界では常識なのかもしれない。アリスはそう考えつつもう一度リリスとヴィグレットを見てみる。

「私の考え方が固いだけなのかしら。もう、わからなくなってきた」

「あぁ、教えてなかったっけ?」

 ネコウサギがアリスを覗き込むように聞いてきた。

「な、なんのこと?」

「やっぱりそっか。えっとね、王族はね、国の顔なわけだから恥ずかしくないようにってこの世界にいる限りはその美貌を永遠にたもてるんだよ。そう言う魔法がかかってるんだよ」

「そんな魔法があるのね。なるほど」

「あにゃ、魔法って言葉には驚かないんだね」

「当たり前じゃない。もう散々見たもの。それに実際にかかっているわけだし」

「そういえばそうだね」

 ネコウサギが可愛らしく言うとなぜかアリスの顔がほっこりとしていた。

「なんかネコウサギを見ていると愛でたくなって仕方ないわ」

「うんにゃ、愛でてみる? ほら、頭なでなでしてみてもいいよ」

 ハット帽を脱ぎ猫耳が可愛らしく出てくる。ネコウサギは頭をアリスの目の前の高さまで下げる。

「本当にいいの?」

「うにゃ! いいよ」

「おい年増、お前いい加減に」

 ウサギネコがやれやれと言った様子で言い終わるその前にアリスが何かの枷を外したかのようにネコウサギの頭をなでなでする。

「あぁ! これよ! この手触り! まさしくネコそのものだわ!」

「にゃー! アリス凄いよ! 凄いテクニシャン」

「おいおい、マジですか」

 アリスが目をキラキラさせ興奮しながらネコウサギをなでまくる。

「そう言えば、アリスは大のネコ好きだったわね」

「そうなんだ。って、ことはずっと我慢していたのかもね」

「きっとそうね」

 リリスとヴィグレットはそんなアリスとネコウサギの様子を見ながらなぜか笑っていた。そしてウサギネコは完全に引いていた。

「アリス―、はげしー」

「あと少し! あと少しだけ」

「うにゃー!」

 がちがちの百合展開が目の前で展開されなぜかヴィグレットが鼻血を出す。

「り、リリス姉。ありがとう、あんな健全なアリスちゃんを育ててくれて。いい、栄養だわ」

「そうねー。ヴィグレットの趣味思考が変わってなくてなりよりだわ―」

 ヴィグレットのそんな発言にリリスは冷静に無表情で答える。そして、教科書に載っているかのような棒読みだった。

「………なんで俺はこの場にいるのだろうか」

 ウサギネコが若干後悔してから十分程度の時間が経つとようやくアリスがネコウサギをなで終わり満足げに頬を高揚させていた。

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