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おもちゃ

作者: 南丘優

失恋話です。いつものラブラブはないので注意。

ゆう:重いんだよ

スマホの画面に浮かぶ無機質な文字列に、頭の中が真っ白になる。

返信することすらできずに画面を見つめていると、更に連ねられる文字。

ゆう:暇さえあればかまってとか返事遅いとしつこくどうしたのー?とか

ゆう: 重いんだよ

画面が滲み、手が震えるのが分かった。

ごとりと鈍い音を立ててスマホが落ちる。

それでもチカチカと目障りな光は、はっきりと私を傷つけて行く。

ゆう:もう無理なんだよ

いや。

ゆう:嫌いになったわけじゃないけど

やだ。

ゆう:こんなのが続くならそれこそ嫌いそうだから

その先は、聞きたくない。

ゆう: 終わりにしよう

やだ。そんなのやだ。まだまだ一緒にしたいことも行きたいとこもあるのに。

私はあなたがこんなに好きで、別れるなんてほんの数分前まで頭にもなかった。

しつこいのが嫌ならやめる。

あなたの望むこと、全部叶えるから。

だからそんなこと言わないでよ

この前の笑顔は、

昨日の可愛いは、

さっきの愛してるは、

全部嘘だったの?

いつからあなたに無理させてたの?

言ってくれたら、

示してくれたら変えたのに。

私はあなたがいなきゃダメなのに。

みー:分かった

心の中なんて全然反映してない、そんな物分りのいい女の言葉が出てきた。

みー:これからは、いい友達ってことで

分かってなんかない。

友達になんか戻りたくない。

やっと特別になれたのに。

ずっと特別でいたいのに。

文字を打つ指先は、まるで機械のようにすらすらと言葉を創り上げる。

ゆう:ごめんな

謝らないでよ

謝る位ならそんなこと言わないで。

ごめんなんて、慰めにもならない。

みー:謝ることじゃないよー

みー:そういうこといわれるとかえって引きずるから笑

傷ついてるのは私なのに、文字を打つのも私なのに、知らない誰かが泣いてるようで、知らない誰かが返事してるようで。

自分の何処か知らない部分で、ひどく冷静に今を眺めていた。

ゆう:そだな笑

ゆう:じゃあ夕飯だから

傷つかないわけないのに、それだけ?

みー:私もーじゃね

嘘だ。

なんでそんな簡単に終わりにできるの?

感情がごちゃ混ぜで、思考もまとまらなくて。

ただひたすら、泣いた。

何を考えても何も変わらない。

まともな考えなんてできない中で、その事実だけが絶対的過ぎて。

急激に景色が色を失う。

生活音が遠のく。

ぎゅっと膝を抱えて、何も見たくないと目を固く閉じる。

やけにゆっくりした心音と、激しい嗚咽だけが耳に届いた。



後日聞いたところによると、彼は元カノだった先輩とまた付き合い始めたらしい。

申し訳なさそうに、でも隠しきれない興味を滲ませてそれを私に教えたクラスメイトを、責めることはできない。

それでなくとも噂は耳に入るものだ。

所詮子供の、お遊びみたいな恋愛。

私がただ、遊ぶ側じゃなかったと、それだけだ。

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