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死神さんとお仕事

作者: 真夜

やっと書けました。

遂にシリーズ三作品目。

内容は良くないかもしれませんが見てもらえれば幸いです。

死神のお仕事ってどんな感じなんだろうw少し考えながら読んでいただければ嬉しいです。説明口調等が少ないため、少々わからないことが多いかもしれませんが、そうなった場合すみません・・・

 あの日から今日でちょうど一週間。

 彼女に出会ってからただ普通に会話してきた。

 だけど彼女の話はとても不思議で、毎回聴き入ってしまう。

 そんなことを考えながらいつもの自販機でコーヒーを選び買った。

 今日もまた会えるだろうか?

 急に会いたくなって駆け足でいつもの公園のベンチへ向かった。


 急いできたので息が上がっていたが、ベンチに座り一息を付いた。

 今日はまだ来ていない。

 いつも通りコーヒーを開け少しだけコーヒーを飲んだ。

 そんな時だった、近くので『カサッ』っという音が聞こえた。

 そこには一匹の黒猫が座って毛繕いをしていた。


「君は、エミル……なのか?」


 あれから数日、見慣れているはずなのに区別がまったくつかない。

 エミルであるならきっと彼女が傍にいるはずだ。そう思って回りを見渡したが誰も居なかった。


「誰かお探しか、穂華?」


 頭上から声が聞こえた。振り向くとそこにはクロがいた。

 そう、彼女こそ黒猫から死神へと生まれ変わった本物の死神。

 しかし、今日は様子が少し違う。

 彼女の右腕に白い糸が絡み付いている。

 その糸は長く、公園を出ても更に伸びてると思われる。


「君を、待っていた」

「ボクを……キミ、相当暇なのか? 毎日ここに居るではないか」

「ここに来るのは日課なんだ」

「日課か、だがキミはボクを待っていたと言った」


 そう、僕は毎日ここに来るのが日課だったが、最近は彼女に会えるのが楽しみで来ている。

 前は、ただここで空を眺めているだけだったのに。

 僕は変わってしまったのか?

 いや、まだあの時の傷が癒えない。ましてや、人間が好きになったわけでもない。

 変わっていないな……。


「君に会いたくてね」

「やはりキミは暇人だ」

「そう………かもね」


 そんな会話をしながら、彼女は僕の目の前まで歩いてきた。目の前で立ち止まりまた話を始めた。


「残念だが、今日は仕事なんだ」

「仕事?」

「ああ、今日この近くで他界する者がいる。その者の魂を導かなければならない」

「だれかが死ぬって事か、それはやっぱり君の腕の白い糸に関係があるんだよね」


 あの白い糸は、誰かが死ぬ時にその人から伸びる糸である。僕にはそれが見える。

 何故見えるのかは未だにわからないけど。


「ッ!? キミ……この糸が見えるのか」

「見える……けど?」

「驚いたな、この糸は死線といって死が近づいた者から伸びる線だ。常人には見えないはずだが……」

「何故か小さいころに見えるようになったんだよ」

「そうなのか、キミも過去に辛いことがあったのだな」

「確かに色々あったけど、何か関係があるの?」


 僕の過去には色々と辛い記憶がある。だけど今ここで話したくはない。思い出したくない記憶は誰しも持っているはずだから。

 だけど何故だろう、クロは何かを知っている。そう、僕がこの糸が見える事に関して。


「そうか、キミは何も知らないのか……」

「何か秘密があるの?」

「ああ、だが私はこれから仕事だ。もうここを去る」

「待って!」


 何故だろう、なんで呼び止めたんだろう?

 でも、彼女と一緒にいたい。毎日会っているはずなのに、何故だろう。今日に限って彼女の傍に居たいと思った。


「まだ何か?」

「いや、その糸のことが気になるんだ」


 正直気になるのは糸ではなく彼女だった。


「そうか、では付いて来るか?」

「いいの?」

「気にするな、特段変わったことをするわけではない。故に来たいならこればいい」


 どうなんだ、来てもいいって。

 実際に僕が行っても何も変わらないということか。

 

「じゃあ」といいつつ、余っているコーヒーを一気に飲み干した。

 空いたコーヒー缶をゴミ箱へ放り投げ、彼女に付いて行く事となった。


「ここなのか?」


 着いた場所はこの町でもっとも古い木の所だった。

 山の中で道もほぼ獣道であり、今となっては誰も来ない場所となっている。

 となると、考えられることはここで自殺が行われるということか。

 それにしても、何故彼女はこの場所がわかったんだろうか?

 それも死神の能力チカラか何かなのか。僕にはただ糸が伸びているようにしか見えない。


「ああ、後三分だ」


 後三分……、多分ここで誰かが死ぬ時間だろう。

 それがどこの誰で、どうやって死ぬのか僕に知るすべはない。

 だからといって僕に何が出来る?

 何も出来ないだろう、惨めだ。

 やっぱり人間は嫌いだ、僕には関係ない。そう思うことしか出来ない。

 そんなことを考えている内にあっという間に3分が経過する。


「来るぞ!」


 カサッ……茂みから女性が一人俯きながら出てきた。

 その女性には白い糸が体中に恐ろしいほど絡み付いていた。

 その白い糸が段々と黒くなってきている。白から灰色、灰色から黒へ。


「糸が、黒く……」

「キミはそこまで見えるのか、不思議だな」

「黒は初めて見た」

「そうか、ではここからどうなるかは知らないのだな」


 彼女がそう言うと、茂みに身を隠し少し沈黙していた。

 先ほどの女性の方を見てみるとそこには誰も居なかった。

 どうなっているんだ?

 

「誰も居ない……さっきの人は何処に?」

「黙って見ていろ」


 すると女性が木の上に立っているのが見えた。


「危ない!」


 僕はその掛け声とともに走り出していた。

 その女性は木から落ちるつもりなのだろう、僕はその女性に向かって必死に走った。

 何故こんなことをしている。

 僕は人間が嫌いじゃなかったのか。これじゃただの偽善者だ。

 しかし、時は既に遅かった。その女性は僕が木の元に付く寸前に地面へ強く頭を叩きつけられた。

 女性の前でしゃがみこみ、叩きつけられた女性の上半身を抱き上げた。しかし、彼女に脈はなくほぼ即死の状態だった。


「間に合わなかった」

「そう、キミが何をしようと運命は変えられない」


 そうだ、僕は何をやってるんだ。この人がどうなろうが関係ないはずだったのに。

 だけど助けられなかった。

 僕の行動は無意味だったのだ。


「運命……か」

「その者は今日ここで死ぬ予定だったのだ、キミが何をしようと変わらない」


 そういうことか、付いてきても結局この人は死ぬ。

 僕が何をしたって運命は変わらない。

 たとえ救えたとして、僕は何がしたいんだ。

 僕は人間が嫌いなんだ、関係ないんだ。そう、だからこそ僕の行動が不可解で仕様がない。


「キミの存在は不可解な事が多い」

「僕は……」


 すると自殺した女性の周りの糸が一気に黒くなり、女性の全体を包みだした。


「始まったか」

「始まった?」


 何が起きている?

 僕は自分が何故あの行動をとったかもわからないまま、その女性が黒き糸で包まれていくのを間近で見ていた。

 次第に全体を黒き糸が包み込んだ。なんというか、かいこまゆに似ている。しかし、その繭は真っ黒だった。

 

「いったい何が起こってるんだ?」

「その者は今、肉体から魂を分離するために自らの死線で魂を包んだのだ」

「何が起こるんだ」

「そろそろだ、見ていろ」


 そうクロが言うと、繭が突然光始めた。

 光とともに繭にひびが入った。

 その皹が割れ、中からまた違った光が零れ出てきた。

 その光は、色というものでは表せない光だった。


「その光が、その者の魂だ」

「これが……魂」

「私はこれよりその魂を導く」


 僕はただ見ているしか出来なかった。

 何をしたらいいかも、何をすればいいかも、今何が起こっているかも考えつかない。


「それでは始めよう」


 その一言が開始の合図だった。


「これより、この者の魂を導くための扉を開く。我の問いかけに答えこの者の魂を導きたまえ」


 そうクロが言うと、女性の魂が突然大きく光一瞬で消えた。

 何が起こったのか、魂がそこから消えたのだ。

 わからない……まったく現実味がない。

 僕は今何を見た?


「この者の魂は導かれた」

「導かれたって何処に? 今さっきまでそこに魂があったはずだ」

「扉を開いた。あの魂は一時的に魂の集まる世界へ留まり、また転生するための準備を行うのだ」

「転生?」


 転生とは、生まれ変わるということ。

 生まれ変わるといってもどうやって?

 

「一時的にこの世界から離れ、魂の浄化を終えるとその魂は記憶を無くしこの世界で転生する」

「別人として生まれるということ?」

「正確には別人というわけではない、同一の存在だが生き方も性格もかわってしまう」

「そう、報われるといいかな……」

「キミは人間が嫌いではなかったのか? 何故この者に気遣う」

「わからない……僕は、人間が嫌いなはずなのに」

「キミは本当に面白いな」

「僕は……」

「それと、その者の遺体の周りを見たまえ」


 そこには、女性の遺体とその周りに花が咲いていた。

 何の花かは僕にはわからない。

 そして、さっきまでそこには咲いていなかった花が咲いていた。


「魂の導きの際の光で周りの花が咲いたのだろう」

「そんなことまで起こるのか、理解はできないけどいいものだね」

「人間とは不思議だな、私はただ魂を導いたにすぎない。だがボクはキミが微笑んでくれると少し嬉しいと思う」

「え、今なんて?」

「いや、なんでもない。今日もボクはこの辺で帰らせてもらう」

「そっか、今日もこれでお別れか」

「また会えるさ、キミが望むなら……」

「じゃあ、また」


 そう言って僕はクロに手を振って見送った。

 彼女は一瞬にしてその場から消えた。

 僕も、ここには居辛くてすぐに帰宅した。


 後日、あの女性はついてニュースで報道された。

 彼女の名前は、小林こばやし 沙弥香さやか 二十六歳。

 会社員で、会社内のいざこざが原因で自殺したという報道がされた。

 彼女の遺体がどうやって見つかったのか、その辺は詳しく報道されなかった。

 そして、僕は昨日の出来事を忘れることが出来ないだろうと思った。







今回は微妙としか言えない。

感想をいただければ嬉しいです。

今後、見直してつまらないとか思ったら書き直します。


全部見てくださった方、誠にありがとうございます。

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