黒の王 第1話
これを読む前に。
君の歩く道、帰る家にカラスは居ませんか?
もし居たら…
いえ、、何でもありません。
カラスは何処にでもいます、貴方が思ってるずっと近くに。
観察記録…失礼しました。
ここでは 小説。と言うんですね。
では、最後までお付き合いください。
主人公は、オカルトサークルに所属するごく普通の大学生。
オカルトには興味があるが、特別な知識も能力もない。ネットで奇妙な事件や都市伝説を調べることが好きだった。
ある日、大学から帰る途中、主人公は電線に何羽ものカラスが止まっていることに気づく。
翌日も、その次の日も、街にはカラスが多かった。
ゴミ置き場、駅前の街路樹、住宅の屋根。どこを見てもカラスがいる。
主人公は友人に話しかける。
「最近、カラス多くない?」
友人は「そうか?」と笑い、話題はすぐに別のことへ移る。
主人公も気にせず、SNSに一言だけ投稿した。
「最近カラス多くない?」
その夜、街の電線に並んだカラスたちが、同じ方向を向いていた。
誰も気づいていなかった。
数日後。
主人公は帰り道で、一羽のカラスと目が合う。
人が近づいても逃げない。
主人公が手を振って追い払おうとしても、カラスはじっと見つめている。
やがて、別のカラスが降り立つ。
さらに一羽。
三羽のカラスが、主人公の動きを追うように首を動かしていた。
不気味に感じた主人公は、その場を離れる。
しかし、歩き出してもカラスたちは飛び立たない。
その夜、主人公はオカルトサークルでこの出来事を話す。
仲間たちは「カラスに好かれたんじゃないか」と冗談を言う。
ところが、別のメンバーがスマートフォンを見せてくる。
「これ、最近よく見るんだよ。カラスが人間を怖がらなくなったって投稿」
画面には、カラスが人間の近くに集まっている動画がいくつも並んでいた。
主人公は、自分だけの体験ではないと知る。
主人公は大学からの帰り道、公園で奇妙な光景を目撃する。
一人の男性が歩いている。その周囲に、何羽ものカラスが集まっていた。
男性が立ち止まると、カラスも動きを止める。
男性が歩き出すと、別の木へ移動する。
まるで、男性の行動を観察しているかのようだった。
主人公はスマートフォンを取り出して撮影する。
その瞬間、一羽のカラスが主人公の方を向いた。
続いて、ほかのカラスも一斉に主人公を見る。
主人公は思わず撮影をやめる。
カラスたちは襲ってこない。ただ、じっと見つめている。
その夜、主人公は動画をSNSに投稿した。
「これ、普通の行動なのか?」
反応はほとんどなかった。
しかし、主人公は以前から感じていた違和感を無視できなくなっていた。
カラスは、ただ人間を怖がらなくなっただけなのだろうか。
それとも、人間の行動を学習しているのだろうか。
主人公には、まだ答えが分からなかった。




