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箱庭のネメシスは恋を知る  作者: 白鷺凛
旅立ちの日
5/7

干渉

はじめまして。

本日より『箱庭のネメシスは恋を知る』の連載を開始しました。


地球ごと異世界へ転移した少年と、感情を持たない最終兵器の少女。

神が支配する箱庭世界で、二人が「生きる意味」と「心」を探して戦う、ダークファンタジー×ボーイミーツガール作品です。


バトル、陰謀、そして少しずつ芽生えていく感情の物語を、最後まで全力で描き切ります。


できるだけ定期更新していきますので、ブックマークや感想をいただけるととても励みになります。

どうぞよろしくお願いします。


第五話:——気づいた時、英世は“白い海”に立っていた。


 空も白。

 海も白。

 境界が曖昧で、世界そのものが溶けているようだった。


 風は吹かない。

 波も立たない。

 ただ、静寂だけが広がっている。


「……夢か」


 呟いた声は、白い海に吸い込まれて消えた。


 その時。


 海面に、ぽつりと“黒い影”が落ちた。


 インクのように広がり、形を変え、

 やがて——人の形を成した。


 黒い影。

 輪郭が揺らぎ、顔は見えない。

 だが、確かに“誰か”がそこにいた。


『——やあ、国守英世』


 声ではない。

 思考が直接、脳に流れ込んでくる。


 神と同じ形式。

 だが、響きはまるで違う。


 軽い。

 軽すぎる。


「……誰だ」


『名乗りは不要だよ。

 君の言葉で言うなら——“神の同類”だ』


 英世の背筋が冷えた。


「神の……同類?」


『そう。

 あれは“管理者”。

 私は“観察者”。

 役割が違うだけで、階層は同じだ』


 影は海の上を歩く。

 足跡は残らない。


『あの神はね、世界を壊すのが好きなんだ。

 私は、壊れる世界を眺めるのが好きなんだ』


「……どっちもクソだな」


『褒め言葉として受け取っておくよ』


 影は愉快そうに肩を揺らした。


『さて、英世。

 君に興味があってね』


「興味?」


『うん。

 私は君たち人類が、醜く、必死に、抗う過程を観てみたいんだ』


 英世は眉をひそめる。


『ただ争わせるだけじゃつまらない。

 殺し合いなんて、神が飽きるほど繰り返してきた“古い遊び”だよ』


 影は手を広げる。


『私は“抗う姿”が見たい。

 足掻いて、裏切って、立ち上がって、壊れて、

 それでも神に噛みつこうとする——その醜さが美しい』


「……性格悪すぎだろ、お前」


『当然だよ。

 私は“観察者”だからね。

 綺麗なものより、壊れかけたものの方が面白い』


 影は英世の目の前に立つ。


『だから取引をしよう。

 君は神を殺したい。

 私は神が死ぬ瞬間を観たい』


「……取引?」


『そう。

 君が神を殺すのを手伝う。

 その代わり——』


 影が英世の胸に触れる。

 冷たい。

 氷のような、虚無のような感触。


『成功したら、君の願いを一つだけ叶えてあげる』


「願い……?」


『どんな願いでもいい。

 世界を戻すでも、

 死者を蘇らせるでも、

 記憶を消すでも、

 神の座を奪うでも』


 影は軽く笑う。


『“神”ができることは、私もできる。

 あれが世界を壊せるなら、私は世界を作り直せる』


 英世は睨む。


「……信用できねぇな」


『信用したら死ぬよ、君』


 影は楽しそうに言った。


『ああ、そうだ。

 ついでに言っておくとね——』


 光が揺れ、海面が波打つ。


『君みたいに面白そうなやつ、何人かスカウトしておいた。

 せいぜい協力するなり、足を引っ張り合うなり、

 私を楽しませてくれよ?』


 英世の心臓が跳ねた。


「……他にもいるのか」


『いるとも。

 君と同じ“バグ”がね。

 神の計画の外側にいる、面白い連中が』


 影はひらひらと手を振った。


『一方的なゲームは見ててつまんないしね〜。

 対等に足掻いてくれないと、観察者として退屈なんだ』


「……クソ野郎が」


『褒め言葉だね』


 世界が崩れ始める。


 海が割れ、空が砕け、光が滲む。


『私はまた来るよ、英世。

 夢の中でね。

 現実に出ると、いろいろ面倒だから』


 最後に、ひどく軽い声だけが残った。


『じゃ、また夢で会おうね〜。

 次はもっと面白いヒントをあげるよ』


 そして、英世は目を覚ました。


第五話:完

今日の話を読んでくれてありがとうございました! ネメシスの世界、少しは楽しんでもらえましたか? 次回もどんどん展開していく予定なので、ぜひまた遊びに来てください!




感想や応援コメントも待ってます。✨️

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