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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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72曲目 中間島への襲撃

 夜が明けて、いよいよ出発するかとなった時のことだった。

 準備をしていると、なにやら街の中が騒がしい。


『うん? なんだかやけに騒がしいな。何があったんだろう』


「本当ですね。特に港の方が騒がしいみたいですけれど」


 俺が疑問を口にすると、メロディも反応していた。


「何を言っていますの? 何も聞こえませんけれど」


 だが、フォルテたちにはまったく聞こえないらしい。メロディは田舎育ちだからか、耳が少しいいようだな。

 とはいえ、騒ぎが聞こえているというのに放っておくわけにはいかねえ。


『とりあえず港に急ぐぞ。頼むぜ、みんな』


「ばうっ!」


 俺が呼び掛けると、スフォルたちは分かってくれたようで、フォルテたちを背中に乗せると、一斉に港へと向かって走り始めた。


 港へとやってきた俺たちが目にしたのは、思いもよらぬ光景だった。


『なんだよこれは……』


「魔物たちが、押し寄せていますわね」


「おかしいですよ。ここは重要拠点として私たち教会の結界が張られています。そこを襲撃できるなんて、とてもじゃないですが、考えられないことです」


 目の前の光景にモニーがとてもショックを受けているようだった。

 だが、今はそんなことを言っている場合じゃねえ。とにかくこの状況をどうにかしねえといけねえ。


『スフォル、ウルフ連中を連れて港から人を引き離すんだ』


「わうっ!」


 俺の言葉が通じているらしく、スフォルは返事をしている。すぐにブラックウルフたちとともに、港へと走っていく。

 ウルフたちがいなくなったので、俺たちは徒歩になる。だが、ここからでもやれることはある。


『こうなったら、俺たちの演奏でどうにかするしかねえな』


『ですね。音楽でやれることなど限界はあるでしょうが、私たちにはこれしかありませんからね』


『やってやりましょうぜ、リーダー』


 俺の言葉に、キーボもベスもすぐに返事をしてくれる。

 しかしだ。これにはメロディたちがまったく困ってしまっているようだった。

 なにせ、今までは大きな音で追い払ったり、音楽で服従させるだけのパターンしかなかったからだ。この状況でどういうことができるのか、それをまったく想像できなかったというわけだ。


『モニー、お前の魔力を音に乗せるんだ。そういうことくらいはできるだろう?』


「えっ、えっ? か、可能だとは思いますが……」


『音楽っていうのはな、気持ちを乗せて奏でるものなんだよ。込める感情は、聞く連中にも伝わるんだよ』


 俺の言葉に戸惑うモニーに対し、俺は音楽というものがどういうものかを伝えてやる。

 それでも、モニーは戸惑う姿を見せている。


「リードさんのいう通りです。私たちゴブリンをおとなしくさせた時、みなさんはどのようなことを考えてらっしゃいましたか? それと同じことなんです!」


 おっ、さすがはリリアだな。俺の妹ってこともあってか、俺の考えを結構すぐに理解してくれる。なんといっても、俺の音楽の一番の理解者だからな、由利のやつは。

 そういう背景もあるから、リリアの言葉にはかなり説得力がある。フォルテたちはこくりと頷いている。

 とはいえ、まだ少し距離がある感じだ。できることなら、もう少し近づいておきたい。

 俺の言葉に従い、メロディたちはさらに港に近付いていく。

 港にやってきた時の光景を見ると、俺たちはなんともいえなくなってしまう。

 イカやタコに半魚人、鳥の魔物まで、複数の種類の魔物が、港で大暴れをしていた。警備隊が応戦しているが、さすがに数が多くて苦戦を強いられている。さすがにこのままでは、数に押し切られてしまいかねない。状況はかなり切迫しているようだ。


『こうしちゃいられねえ! 準備はいいか?』


「問題ありませんわ」


「私は聖女です。覚悟を決めます」


「みんなを守りましょう、リードさん!」


『おっしゃっ! ミドレストのライブのスタートだぜぇっ!』


 もうゆっくりはしていられない。

 メロディたちは俺たちを構え、早速演奏を始める。楽曲は、先日ブラックウルフをおとなしくさせた時と同じ音楽だ。

 だが、今回はちょっと違う。

 前回はブラックウルフをおとなしくさせることを目的としたが、今回は海の魔物たちを追い払い、ミドレストを守る結界を形成させるための演奏だからな。なので、主役はモニーとなる。

 メロディとフォルテは、それをサポートするように演奏をしている。

 特に打ち合わせはしてねえが、こういう時に融通が利くようになるのは、普段から一緒にいるということが大きい。互いに互いのことをよく分かってねえと、こういう時にうまくはいかねえからな。

 さすがに突然の演奏に、兵士も魔物も一度注目してきやがる。俺たちの音楽にどういうものが込められているかと気が付いた魔物どもは、兵士たちよりも俺たちに狙いを切り替えてきやがった。こういう時、魔物どもは敏感だな。

 だが、そんな攻撃が俺たちに届くと思っているのか。


「ギャアッ!」


「ブロォォン!」


 島民の避難を手伝っていたスフォルたちが駆けつけて、魔物たちから俺たちを守ってくれている。さすが、こういう時は頼りになるぜ。


「魔物たちに、兄さんたちを近付けさせません。いきましょう、スフォルたち」


 リリアも今回は一緒になって戦うらしい。

 ならば、俺たちもその気持ちに応えて、しっかりとモニーの結界を張るお手伝いをしなきゃな。

 そらぁっ! 俺たちの魂の音楽を聞きやがれ!

 魔物たちの襲撃が続く中、俺たちは演奏を続けていた。

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