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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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67曲目 持つ者、持たぬ者

 ウルフたちにまたがった俺たちは、一路西へと向かっていく。

 今回、ブラックウルフたちを手懐けたことで問題を解決したので、ビブラートの国王からは乗船パス以外に軍資金を少し出してもらうことができたので助かっている。

 とはいえ、いつお金が底をつくか分からないので、ウルフにまたがりながら旅芸人みたいなことをしたり、街で依頼を受けたりして少しでも稼いでいく。

 だが、さすがに魔物を連れた俺たちは、最初は歓迎って雰囲気じゃなかったな。従魔登録がなければ、誤解を解くのは大変だったぜ。

 それでも、その街の人たちの警戒が、俺たちの演奏を聴いてもらえるきっかけになっていたな。なんといっても、魔物たちを手懐けた音楽なんだからな。


「結構稼げていますね」


 トリルまでずいぶんと近付いた街に泊まった夜のこと、リリアがお金を勘定しながら呟いている。


「まぁ、そうですの? どのくらいなんですかね」


 興味を示したフォルテが、リリアに確認を取っている。


「ざっと計算してみた感じ、こんな感じです」


 手元に持っていた紙の束を持ち上げて、リリアはフォルテたちに見せている。

 フォルテたちは紙の出どころについてあんまり気にしていないみたいだが、俺はその紙を見て違和感を持っている。

 いや、紙だけじゃないな。書くために使っているペンもそうだ。あれは明らかにこの世界のものじゃない。俺たちが元々いた世界のものだ。有名どころの文具メーカーのものだぞ、あれは。

 うーん、気になるなぁ。

 だが、リリアと二人っきりになる機会がないから、詳しいことが聞けやしない。様子を見る限り、かなりごまかそうと必死みたいだからな。

 そう、気にしてないというよりは、うまいことリリアが話をはぐらかしている感じなんだよ。フォルテたちが気にしていないのは、そういう態度を察したからだろう。

 くそっ、動けたのなら、うまく二人きりになるように誘導したんだがな……。楽器の体じゃ、自力で動けねえ。


「この分でしたら、明日にはトリル港に到着できると思うんですよね。ただ、着くのは日が暮れてからでしょう」


「あら、そんなに遅くなりますか?」


 リリアが見通しを話していると、モニーがかなり気にしているみたいだ。


「はい。教えていただいた馬車の移動速度と日数から割り出した距離からすると、スフォルたちの移動速度から日中の移動で十分到着できると思うんです。これまでは路銀を稼がなければなりませんでしたので、かなりゆっくり進んできましたからね」


「そうですのね」


 リリアの説明を聞いて、納得はしているけれど、理解はしていないって感じだな。

 にしても、こうやって話を聞いていると、リリアの頭はやっぱりゴブリンとは思えないくらいの知能があるとみていいな。マジで、こいつは一体何もんなんだよ。

 ペンを顎に当てながら考え込むリリアを見ながら、俺はかなり疑ってかかっている。


「到着してから少し港でお話をして回りたいですので、もう一日、どこかで宿泊を入れましょう」


「分かりました。では、そのようにしましょう。無理はよくありませんからね」


 フォルテの提案で、トリルの前にもう一泊挟むことになったようだ。まあ、メロディたちは子どもだからな。旅慣れていないということもあるし、無茶はするもんじゃない。俺も、この意見には賛成だ。


「では、明日はスラーの街までいうことにしておきますね。今の残金なら、特に何もしなくてもお金の問題はないでしょうけれど……」


「今後を考えると、稼いでおいた方がいいですわね」


「分かりました。その場合は、私も頑張らせてもらいますね」


 方向性がまとまったことで、リリアもやる気を見せている。

 本当に、まとめ役がいると話が簡潔に終わっていいもんだな。

 話が終わると、俺たちは休むことにする。

 部屋の中にはスフォル、宿の周りにはアーたちブラックウルフたちが居座っている。おとなしいし、防犯にもなるとはしっかり説明はしたが、宿の人の顔は複雑そうだったな。やっぱり、魔物はそういう存在なんだな。

 とはいえ、ウルフたちのおかげで、俺たちはぐっすり安心して眠れるんだがな。


「ねえ、リードさん」


『んあ?』


 すっかり全員寝たかと思ったんだが、真っ暗な部屋の中でメロディが俺に話しかけてきた。


『どうしたんだ、メロディ』


「私、みなさんのお役に立てているんですかね」


 横になったまま、メロディは俺に悩みを打ち明けてきたみたいだ。

 まぁ、そうなるだろうな。フォルテは領主の娘とあって結構みんなをぐいぐいと引っ張っていくし、街や村の人たちの説得には聖女であるモニーが適任だ。

 リリアもさっきみたいに計算ができるなど意外な才能を発揮している。となると、何も目立つところのないメロディが自信を失うのも当然だろう。なにせ、ただの村人なんだからな、メロディは。


『なあに、俺を弾けるのはメロディだけなんだ。今はそれだけでも十分じゃねえか。焦って頑張ろうとすると、かえって迷惑になる。周りを見ながら、自分のやれることを探せばいい』


「でも……っ!」


 俺が諭そうとするも、メロディは体を起こしながら俺の方を見てくる。これは相当焦ってやがんな。


『焦んなってんだ。俺はお前の相棒だ。教えてやれることなら、できる限り教えてやる。とりあえず、今は寝ておけ』


「……分かりました。そうします」


 メロディは体を横にして、布団を頭からかぶっていた。

 やれやれ。こいつはちょっと重症だな。

 俺の学生時代を思い出すぜ、この焦り具合はよ。

 なんともメロディのことが心配になってきたが、さすがに時間が遅い。今はともかく寝ることにするか……。

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