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5曲目 やっぱり異世界

 メロディから話を聞いてみたところ、やっぱり俺の住んでいた日本とはまったく違う場所のようだった。

 にしても、エマイナ村とはなんとも物悲しそうな名前の村だな。

 どうやらこの世界には魔王という存在がいて、魔族と魔物ってやつをけしかけて人間たちの生活を脅かしているらしい。

 それにしても、このメロディって少女は、こんな村の生まれだってのにピンク色の髪の毛ですごく目立つ。周りは茶髪かくすんだ金髪だぞ。少女アニメとかなら、間違いなくヒロインっぽい姿じゃねえか。

 なんで知ってるかって?

 俺には年の離れた妹がいるんだよ。家にいた頃はよく構ってたから、一緒にそういうのを見たことがあるんだ。俺の趣味じゃねえよ。

 ちなみにだが、俺は今はメロディの部屋のかどっこに立てかけられている。ギタースタンドがねえからしょうがねえよな。


(しっかし、他の連中は大丈夫なんだろうかな。ベス、芽露、弩羅夢……。どうか無事でいてくれよ)


 メロディが家族と食事をしている間、俺は立てかけられた状態でメンバーどもの無事をずっと考えていた。

 俺がこんな風になっているのなら、あいつらも同じようになっている可能性だってある。実際に会ってみないことには、どうも安心ができない。

 もしかしたら、俺だけかもしれないしな。

 はあ、年明け早々からなんでこんな目に遭わなきゃいけねえんだよ。俺は盛大にため息をついた。


 しばらくすると、メロディが戻ってくる。


「あっ、リードさん」


『おう、メロディ。どうしたよ』


「今日は、助かりました」


『ああん? ああ、あの犬っころの件か。いや、俺だけじゃどうにもならなかったし、メロディが俺の言うことを聞いて弦を弾いてくれたからだ、気にするな』


 物言う道具である俺に対して、深々と頭を下げてお礼を言ってきた。

 まったく、なんとも礼儀正しい子じゃないか。それに、そこそこ可愛い子だし、相棒としては悪くねえな。

 ところが、次の瞬間だった。俺は慌てた。


『おいおいおいおい。いきなり何脱いでんだよ』


「え?」


 メロディが着ていた服を脱ぎ始めたので、俺はさすがに慌てた。


「寝るから、肌着になっているだけですよ?」


『馬鹿野郎。年頃の女が、男の前で服を脱ぐんじゃねえ! せめて、俺を裏返しにしてくれ。メロディが気にしなくても、俺が気になるからな!』


「分かりました」


 メロディは俺をひっくり返す。これで俺の視界に入るのは、部屋の角の壁だ。これでヨシだぜ。

 しばらくして、メロディが俺に語りかけてくる。


「リードさん」


『おう、なんだ?』


「明日、村長様にお会いして、あなたのことをお話します。このまま黙っておくわけにはいきませんから」


『だな。今日は遅かったから話す間もなかったもんな。にしても、目立つのに誰も話しかけてこなかったな』


「少し暗くなっていたので、そのおかげだと思います」


『……そっか』


 それを最後に、メロディから声が聞こえなくなっていた。

 心配になったが、しばらくすると寝息が聞こえてきたので、どうやら眠ってしまったらしい。いろいろあって疲れただろうから、しょうがねえか。

 その様子に安心した俺は、同じようにとりあえず眠ることにしたのだった。


 翌日、俺はメロディに抱えられて、村長の家に向かうことになった。

 さすがに少女の体に不釣り合いなでかさの俺を抱えては、ものすごく目立っちまっているな。だが、俺の姿にびびってんのか、誰も近付いてこねえ。けっ、びびりどもが。

 その最中だった。


「うわぁ、ウルフだっ!」


 村人の叫び声が聞こえてくる。

 ウルフって、確か昨日出くわした犬っころだな。まさか、村まで追っかけてきたのか?


『メロディ!』


「はいっ!」


 俺が声をかけると、メロディは元気よく返事をしてくる。


『昨日のように俺たちのビートを聞かせてやろうぜ。鼓膜は破れちまってるだろうが、そんなこたぁ関係ねえ。行くぞっ!』


「分かりました」


 俺を抱えたメロディは、怖いだろうにウルフに向かって走り出す。


「お、おい、メロディ!」


 村人どもが止めようとするが、知ったこっちゃねえ!

 さあ、魂を込めたサウンドを、ぶつけてやるとしようじゃねえか。


『よし、この辺でいいだろう。昨日と同じ感じで、しっかりと俺を持って弦を弾け!』


「はい!」


 ギターのネックをしっかりと持って、地面に垂直に俺を構える。

 目の前にはウルフが迫ってきてるが、メロディはその姿をしっかりと見ている。


『おっしゃ、かましてやれ!』


 俺が叫ぶと、メロディは俺の弦に向けて思いっきり手を振りかざす。


 ギャイーンッ!


 周囲にギターの音が響き渡る。

 俺から放たれた音は、ウルフたちに直撃する。


「ギャワワーンッ!」


 大きな音に包まれたウルフたちは、再び耳から血を噴き出し、口からは泡を吐いてその場に倒れてしまった。

 昨日に比べて、さらにひどい絵面になってんな、これ……。それだけ耳のい犬っころにとって、俺のギターの音が脅威ってことなんだが、なんか納得いかねえな。

 とりあえず、被害がなくてよかったということにしておこう。


 俺たちの手によって村に侵入してきたウルフたちが一斉に倒れると、辺りは一瞬で静かになってしまっていた。

 さて、どうしたもんかな……。

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