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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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36/60

36曲目 ゴブリンを揺さぶれ!

 村からしばらく走っていたスフォルだが、その足が鈍ってくる。

 動きが止まったかと思うと、スフォルは唸り始めていた。


「スフォル?」


 メロディが気になって声をかけている。


『どうやら、目的地に着いたようでさぁ。さっ、降りましょうぜ、フォルテさん』


「分かりましたわ。このまま乗っていては、スフォルの邪魔になりますものね」


 ベスに言われたフォルテは、メロディとモニーにも声をかけてスフォルから降りる。

 スフォルが唸る中、前方からはぞろぞろと小さな人影が出てくる。

 なんかどっかで見た餓鬼というやつによく似た姿の連中だな。これがゴブリンってやつらなのか。


「グレイウルフを目の前にしても出てくるとは、ちょっと予想外ですね。グレイウルフが一体ですから、隙を狙って私たちを連れされるとみているのでしょうか」


「連れ去るって……。もしそうなったら、私たちはどうなるんですかね」


 モニーの言葉に、メロディが反応している。そりゃまあ、気になるだろうな。


「……言いたくもありません。ただ悲惨な状況になるとだけは申しておきます」


 モニーからの答えは、すごくはぐらかした言い方をしていた。

 つまり、それだけやべえ状況になるってことだ。

 なるほど、俺たちが知っている創作物の中のような状況に、実際になってしまうってことだな。

 安心しろ。俺たちがお前たちには指一本触れさせやしねえぜ。

 ゴブリンを前にして、俺たちは気合いを入れていた。


『さて、あいつらがかなり好戦的な状態になってやがんな。どうしたもんかね』


『こういう時は、スフォルにひと吠えしてもらうのがいいと思いますぜ、リーダー』


『なるほど、威嚇ってわけか。怯んだところに俺たちの演奏をぶつける。なるほど、完璧な作戦だな』


 俺はベスが挙げた作戦に乗っかることにした。何も考えてないわけじゃないが、それが一番手っ取り早いからな。


『よし、メロディ、フォルテ、モニー。打ち合わせ通りにいくぜ』


「はい!」


 三人は俺たちを構えている。


『それじゃ、スフォル。いっちょかましておくんなせえ!』


「アオーーーンッ!」


 ベスの言葉に反応して、スフォルが大きく遠吠えをする。

 これは仲間を呼ぶ時の仕草なために、それを知っているのか、ゴブリンが体を硬直させていた。


『よし、思った通りゴブリンが怯んだ。いくぜえっ!』


「はいっ!」


 俺が声をかけると、メロディが大きな声で返事をしている。

 くるりとフォルテやモニーの方へと振り返り、三人そろってこくりと頷く。


『ワン、ツー、ワン、ツー、スリー、フォー!』


 キーボの声でリズムを取ると、メロディたちは一斉に俺たちを奏で始める。

 静寂の漂う森の中に、俺たちのロックな音楽が突如として響き渡る。

 バササササ……と、音に驚いた鳥たちが羽ばたいていく。


「ギギ、ギギ……」


 俺たちの音楽に、ゴブリンたちは完全に動けなくなっていた。相当耳に来ているのか、武器を捨てて両手で耳を塞いでいるくらいだ。

 この世界じゃ音楽がないから、そりゃ騒音だろうなぁ。

 だが、だからって俺たちは音楽をやめやしねえよ。

 さあ、その魂に俺たちの旋律を刻み込んでやるよ。

 燃えろ(ハート)、震えろ(ソウル)

 俺たちはさらに演奏を続けている。

 よく見ると、周りを警戒しているはずのスフォルもしっぽをぶんぶんと振って、リズムに乗っているような感じだった。

 さすが、俺たちの音楽に感動して仲間になっただけのことはあるな。見込みがあるぜ、スフォル!


 そうして、ようやく俺たちの演奏が終わりを迎える。

 俺たちだったらそれなりに決めポーズを決めてカッコつけるところだが、メロディたち年端も行かねえ少女たちにそれを求めるのは酷ってもんだ。

 それでも、三人はやり切ったという表情を見せてお互いの顔を見合っている。

 とはいえ、油断はできねえ。俺たちは演奏しただけなんだからな。問題は目の前のゴブリンたちだ。こいつらがどう動くか、それを見極めなきゃいけねえ。


「ギ、ギギ……」


 ゴブリンたちは音がやんだことを確認したのか、そっと耳から手を離していた。

 俺たちに目を向けたゴブリンが、一斉に迫ってくる。


「スフォル!」


「ガウッ!」


 攻撃だと思ったフォルテが、自分たちの目の前にスフォルを呼び寄せる。

 俺たちとゴブリンとの間に入り、スフォルはゴブリンを睨み付けているようだ。

 ところが、ゴブリンたちは予想外な行動を取っていた。


「ギギー」


 なんということだろうか。ゴブリンたちがそろって俺たちに膝をつけて頭を下げてきたのだ。こういうのを跪くっていうんだっけかな。

 ともかく、ゴブリンたちは俺たちに降参したとみていいってことだろう。

 なんとも予想外な行動に、俺たちは呆然としてしまったぜ。


『お、おい。ベス、なんとかならねえか?』


『分かりやした。ちょっと頑張って話をしてみまさあ』


 どうしたらいいのか分からない俺は、犬や猫に好かれるベスに、ゴブリンたちの対応を任せることにした。

 一難去ってまた一難っていうんだろうかな、これ……。

 ともかく、俺たちはどうやら襲ってきたゴブリンをおとなしくさせることに成功したようだった。

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