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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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33/61

33曲目 無茶振りだろうがよ

 俺たちはそろって城へと向かう。聖女であるモニーも揃っていたので、俺たちは馬車一台にすし詰めだぜ。

 さすがに再び王様の前に呼び出されたとあっちゃ、メロディは当然だが、フォルテすらも表情が強張ってしまっている。

 ちなみに、スフォルも連れてくるように言われているから、馬車の中はさらに狭い。この状況で、誰一人言葉を発しないものだから、ますます空気が重くなってしまう。ああ、なんとも辛気くせえ状況だよ。

 ただ一人、モニーだけは平然と構えている。さすが聖女様ってところだな。ただ、状況が状況ゆえに、モニーですら言葉が発しにくいようだった。


『モニーさん、どういうことだと考えられますかね』


 そんな中、耐えきれなくなったのか、キーボがモニーに問いかけていた。


「さあ……。さすがに国王陛下のお心を理解するのは、私でも無理でございます。どのような判断が下されるのかは分かりませんが、私たちは粛々とそれに従うのみでございます」


 しっかりと答えているが、要はなるようにしかなれってことだろう。

 だが、さすがに俺も同じ気持ちだから、何も言い返すことはしなかった。

 全員が黙り込んだ状態のまま、いよいよ俺たちは城に到着した。


 先日やって来た謁見の間に、俺たちは再び通される。

 だが、今回王族で姿を見せたのは国王ただ一人だった。王妃も王子も王女もいない。まったくどういうことなんだろうな。

 とはいえ、王様の目の前だ。ピアノート子爵たちはその場に跪いて頭を下げている。

 ちなみに、グレイウルフのスフォルはフォルテの隣でおとなしく座っている。危険な魔物だっていうのに、実におとなしいよな、こいつ。


「よく来たな、ピアノート子爵たちよ」


「はっ。国王陛下からのお呼び出しとあれば、すぐにでもはせ参じるものでございます」


「うむ」


 国王の言葉に、ピアノート子爵は心構えを話している。


「さて、此度の招集はいうまでもない、そなたらへの対処が決まったからだ」


 対処ときたか。つまり、罰するという話ではなさそうだ。

 まったく、面倒ごとを押し付けられる気配しか感じられねえな、これは。

 俺がモニーの方にちょっと意識を向けると、そこには呆れてため息をついているモニー姿があった。どうやら、俺と同意見っぽい感じだな。

 俺が再び国王の方へと意識を向けると、国王は偉そうなおっさんを呼び出して、何かを持ってこさせたようだ。

 おっさんは手に持ったものを広げると、国王の代わりに何かを喋り始めた。


「聖女モニー、フォルテ・ピアノート子爵令嬢、村人メロディ。以下の三名に次の問題を解決することを命じる。一つ、北のリピート村を悩ませるゴブリン被害。一つ、西の街道に出没する盗賊問題。以上である」


 おっさんが読み上げた内容を聞いて、俺は「はあ?」と思った。

 メロディたち子どもに命じる内容か、それが。

 どう聞いたところで、国の兵士たちか、こういう世界なら当然のように存在する冒険者とかいう連中が片付けるような問題じゃねえかよ。なんだってこんなか弱い少女たちに押し付けようとしてんだよ、ああっ?

 さすがの俺もブチ切れ案件だぜ。

 ところが、俺が怒っている横で、モニーがすっと前に出る。


「承知致しました。その案件を解決しましたら、私たちは晴れて無罪放免ということでよろしいでしょうか?」


「何も罪に問うておるわけではない。困難に打ち勝つための道具であるかどうか、それを確かめたいだけなのだ」


「はい、承知致しました」


 モニーが強い口調で言うと、国王は困ったような反応をしている。どうやら思っていたのと違う受け取られ方をしたってことなんだろうな。

 だがな。普通に考えれば無理難題としか思えない内容を押し付けられれば、誰だってそう考えるもんだぞ。国王って思ったよりもバカなのか?

 俺は聞こえないことをいいことに、国王に向かって言いたい放題をしていた。


「しーっ」


 突然モニーが俺の方を見たかと思うと、唇に人差し指を当てて、俺に黙るように促してきやがった。

 国王には聞こえないとはいえ、メロディたちには聞こえちまう。確かに自重すべきだなと思い、俺はモニーに態度に従って黙ることにした。納得はしていないがな。


 結局、国王からの命令ということで、俺たちは断ることができずにそのまま解放されることとなった。

 城を出た俺たちは、一度ピアノート子爵邸に戻り、そこで作戦を話し合うことになった。

 だが、メロディ、フォルテ、モニーの三人だけという条件がある以上、他の誰も同行ができない。どちらを先に行くにしても危険なことには変わりなかった。

 一応、パートナーとなる俺たちと、フォルテが手懐けたスフォルは連れていくことができる。

 グレイウルフであるスフォルはゴブリンよりは格上の魔物だが、相手の規模が分からない上に、非力な少女三人が主力という状態だ。これではいくらスフォルが頑張ったところで、数で攻められれば返り討ちは間違いないというものだった。


『はあ、こいつはどうしたものかな』


『困りやしたね、リーダー』


『やはり、スフォルを手懐けたという状況を再現するしかないでしょうな』


 俺たちはずっと頭を悩ませているが、出発の時は刻一刻と迫りつつある。

 決断の時は、もうそこまでやって来ていた。

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