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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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31/60

31曲目 先行きが分からねえ

 楽譜についての勉強を終えたところだが、三人はなんともちんぷんかんだったのか、すごく疲れた様子を見せていた。


「初めてのことだらけでよく分かりませんわね」


「えっと、この記号だとここの音は……なんだっけ」


「すごいですわね。私たちにはまったく分かりませんといいますのに、キーボさんたちは頭に入ってらっしゃるんですね」


 三者三様の反応を見せている。

 疲れているというのに、メロディだけはまだ勉強する気満々のようだ。


「メロディさん、まだやるつもりですの?」


「はい。領主様の時もでしたが、国王様の前でも演奏をしたあの時の気持ちが忘れられません。しっかりと覚えて、自分でできるようになりたいんです」


 フォルテに確認されたメロディは、本当にやる気十分のようだった。五線譜と音符が書かれた紙を前に、ぶつぶつといいながら熱心に復習を繰り返しているようだった。

 やる気があるのはいいんだが、こうなってくると不安要素は紙だな。

 楽譜というのは場合によってはパート分けしてやらないといけないからな。そうなると、想定以上に紙を使うようになる。

 フォルテの頼みでも三枚しか羊皮紙を用意できなかったところを見ると、この世界では紙もかなり貴重なようだな。


『なあ、羊皮紙以外に物を記録するものって何があるんだ?』


 疑問に思った俺は、フォルテとモニーに確認してみる。


「羊皮紙以外ですと、木の板か石板といったところですね。どちらも重いですしかさばりますので、一般的には使われておりませんが」


『ふむ。重要なことに対して使っているってわけか。だった、そうだな。木の板をさらに薄くするってことはできないか?』


 フォルテの答えを聞いて、俺はさらに質問をする。ところが、フォルテはあまりいい表情をしていないようだ。


「それはお勧めしませんわ。なにせ、木の板は割れやすいですからね。それを薄くするということは、さらに割れやすくなりますもの」


『そうか……。いいアイディアだとは思ったんだがな』


 フォルテの話を聞いて、俺は思わずため息をついてしまう。

 このままでは楽譜用の紙があまり確保できないということになってしまう。それは、これからを思うと致命的な話なんだよな。


『木の皮や草を使った植物性の紙というのは、作れないものですかね』


『おいおい、それの作り方を知っていたら、リーダーが最初に提案してるだろうが。俺たちは植物紙を普段から作っているが、作り方はまったく分からねえんだぞ?』


『ぐ、ぐぬ……』


 俺が思っていたことをキーボが口に出す。だが、すぐにベスに指摘されて、キーボは黙り込んでしまう。


『この手の話題は、ドラムのやつが詳しいんだよな……。くそっ、やっぱりあいつを探さなきゃいけないのか』


 俺たちだけでどうにかしたいところだったが、結局すべてはドラム頼りということになってしまった。

 ただ、現状ではあいつがどこにいるか分からねえ。あの雪の積もった寒い山中で一人取り残されている可能性だってある。

 こっちでの状況もどうなるか分かったものではないし、なんとも状況は五里霧中って感じだった。


『仕方ありませんね。モニーさん、よろしいでしょうか』


「はい、なんでしょうか、キーボさん」


 俺たちが悩んでいると、キーボが聖女であるモニーに話しかけていた。


『私と出会ったり、リーダーやベスと再会したりということを当てたお告げというもので、ドラムの居場所を探すことはできないでしょうか』


「お告げで、人探しでございますか?」


『その通りです』


 どうやらキーボは、モニーの能力であるお告げを聞く力に賭けてみることにしたようだ。

 確かに、現状はそれしか頼るものはねえ。ここはリーダーとして、恥をしのんで頼むことにするか。


『俺からも頼む。やはり俺たちは四人そろわないと力が発揮できないようだからよ』


「……分かりました。望むとおりにできるかは分かりませんが、私の力でみなさんの道を切り開いてみたいと思います」


『ああ、頼む』


 俺たちの頼みにモニーは戸惑っていたが、切実だという雰囲気を感じ取ってくれたのか、迷いながらも引き受けてくれたようだ。

 頼みを受けたモニーは、一度教会へと戻っていく。聖女という立場もあるために、神や国王からの指示がなければ、教会からは簡単に離れることができないらしいからな。

 立場のある人物っていうのは、実に不自由なもんだな。


 モニーが帰り、キーボも一緒に教会へと持ち帰られてしまった。


『さーて、国王様の判断が下るまで、俺たちは動きようがねえ。それじゃ、楽譜についてじゃんじゃん教えていってやるから、俺たちの知識がなくなっても演奏ができるようになるんだぞ』


「はい、分かりました、リードさん」


「分かりましたわよ。スフォルを手懐けることができましたし、音楽には可能性がありますもの。領主の娘として、やれるだけやってみせますわ」


 俺が声をかけると、メロディもフォルテも十分やる気を見せていた。


『俺も頑張って教えますぜ』


『頼りにしてるぜ、ベス』


『任せて下せえ!』


 こうして、俺とベスは、メロディとフォルテの二人に、徹底的に音楽というものを叩き込んでいった。

 このあとどうなるか分かったもんじゃねえが、俺たちにはこれしかねえんだからよ。

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