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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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29/60

29曲目 興奮するぜぇっ!

 災厄について、俺たちは長々とした話を聞かされた。

 だが、要約すると次のようになる。


『魔王降臨ってやつだな』


 実に単純明快だ。


「はい、その通りです。魔王が誕生し、魔族や魔物を率いて人間を苦しめに来るというわけです。それに対抗するために、神様は私たちに不思議なものを贈って下さるのです」


『で、俺たちがそれにあたるんじゃないかって話になってるんだな』


「はい、リードさんのご理解が早くて助かります」


 モニーは真顔のまま、俺を褒めてきた。そのあまりにも無表情に近い顔のせいで、いまいち褒められている感がないんだがな。

 ……まあ、それは今は置いておこう。


『それで、その不思議な物っていうのは、具体的に数は決まっているのか?』


「そうですね。伝承によれば、ほぼよっつということのようです。場合によっては増減をしますが、だいたいはよっつと伝わっています」


『そうか……』


 確かにそうだな。

 俺がイメージするところ、魔族っていうのはとんでもない強さを持っていることが多い。そんな強力な魔族を打ち倒せるっている代物が、そんなにごろごろしているわけないもんな。まあ納得できる話だ。

 とはいえ、なんで俺たちなんだろうな。そこがどうにも引っかかるっていうものだぜ。


『いやはや、モニーさんのお話は分かりますが、なぜこの度は私たち楽器なのでしょうかね。お話では武具の類が多かったと仰られておりましたが』


 おっと、キーボのやつがモニーに質問をぶつけているな。ちょうど俺も思ってたところだから、ナイスってもんだぜ。

 俺はちらりとモニーの方へと視線を向ける。まあ、どこに目があるかってのは気にしないでくれ。

 ところが、質問をぶつけられたモニーは、とても困った様子のようだった。


「私にも分かりかねます。だいたいこういう場合、私のような聖女がお告げを受け取るのですが、私が今まで受け取ったお告げでは、その答えとなるものはまったくございませんでした。ただ、あなた方の存在だけを示してきましたので、とりあえずは集めてみようということになったのでございます」


『そうですか……』


「申し訳ございません。ご質問にお答えできずに」


 キーボの残念そうな声に、モニーは素直に謝罪していた。


「つまり、私たちがどう動くかは、モニー様のお告げ次第ということになるのでしょうかね」


「現状はそうですね。もし仮に魔王だとした場合、その居場所がどこにあるのか調べないとなりませんからね。そうなると、近隣からの討伐依頼を受けてこないしていくということになるでしょう」


 メロディが質問をすれば、モニーがしっかりと答えている。

 すべては仮説とはいえ、なんともすっきりとしねえ状況だな。


「ですけれど、わたくしたちの現状では、戦闘力なんて皆無ですわよ。それこそ魔法でも使えればちょっとは違いますけれど」


『魔法?!』


 フォルテから飛び出た言葉に、俺はつい食いついちまった。


『ちょっと待て。この世界には魔法があるのか?』


「ご、ございますわよ。使える方は限られますが、魔法という力は存在しております。お父様やわたくしは魔法を行使できますのよ」


 俺が興奮して話しかけていると、フォルテが嫌そうな顔をしながらも答えてくれた。

 ピアノート子爵とフォルテが使えるのか。いやっほうっ!

 俺はものすごく興奮している。


『リーダー、気持ちはわかりますが、ちょっと落ち着いて下せえ』


『そうですよ、リーダー。モニーさんたちがドン引きしておりますよ』


『お、おおう。わりぃ。つい小さいころから憧れていただけにな』


 ベスとキーボに怒られて、俺はちょっとだけ冷静さを取り戻した。

 おう、俺は正気に戻ったぞ。

 俺がそのセリフを口にすると、ベスとキーボは盛大にため息をついていた。


 そんなわけで、俺たちは中庭へと移動する。一応ここなら魔法を使うには安全らしい。

 俺たちはスタンドに立てかけられて、一緒に中庭をじっと眺めている。


『早く、早く見せてくれよ』


『リーダー、落ち着いて下さい』


『リーダーが珍しく子どもっぽいことになってやがるぜ』


 俺が見たい欲求を素直にぶちまけていると、やっぱりベスとキーボの野郎は呆れた反応を見せやがった。

 よく見ると、フォルテも呆れている。


「まあ、私が先に見せるとしよう。フォルテはまだ未熟だからね」


「お父様、よろしくお願い致しますわ」


 ピアノート子爵が先に魔法を見せてくれるらしい。どんな魔法なんだろうな、わくわくするぜ。


「土よ!」


 ピアノート子爵がひと言叫ぶと、地面から岩の槍がズドンと飛び出してきた。

 うっひょーっ、これが魔法か。すげえな、おい。


「自分の家の庭ではあるが、あまりド派手にやると衛兵が飛んでくるからな。悪いがこのくらいで我慢してくれ」


『いやぁ、全然かまわねえよ。これが魔法なんだな。ロマンがあるぜぇっ!』


 俺がものすごく興奮をしている。


「お父様。リード様はとても満足していらっしゃいますわ」


「そ、そうか。この程度で喜んでくれるのなら、助かるというものだ」


 俺は喜んではいるんだが、なんだ、この微妙な反応は。


「わぁ、すごいです。さすが領主様です」


「このくらいは当然だ。そうでなければ、領民を守ることもできないからな」


 メロディも同じように褒めているんだが、俺の時とは反応が違わなくねえか?

 なんだろうな、ちょっともやもやしてくるぜ。

 まっ、すっきりしないっちゃすっきりしないが、魔法が見れただけでよしとするか。

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