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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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28曲目 お城から解放されて

 なんともいえない雰囲気になったが、俺たちは無事にお城から解放してもらうことができた。聖女様が混じってるんじゃ、扱いにも困ってのことだろうな。


「みなさま、お疲れ様でした」


「いやはや、あれでは陛下もずいぶんとお悩みのようだ」


「はあ……。とても緊張しました……」


 モニーが労う中、ピアノート子爵は城を振り返って心配そうな視線を向けている。メロディはやっとプレッシャーから解放されて安心しているといったところだろう。

 そんな中、フォルテは一人でスフォルの相手をしていた。


「よしよし、まったく勝手にやって来てはいけませんよ? 首輪が見つからなかったら、あなたは兵士たちに囲まれて討伐されていたのかもしれないのですからね」


「くう~ん……」


 フォルテに怒られているのが分かっているのか、スフォルのやつはかなり落ち込んでいるようだった。こうやって見てみると、グレイウルフってやつも犬っころなんだなと思わされる。


「さて、これからはどうなさるおつもりですかね、キーボさん」


『しばらくは様子見でしょう。国王様の反応を見る限りは、思わしくないとみていい状態です。なんといっても、そのグレイなんとかっていう魔物のことをかなり警戒してるようでしたからね』


「なるほどですね」


 キーボが状況を分析すると、モニーはすぐに納得していたようだった。その意見には俺も同意する。


「まあ、スフォルを危険視するだなんて。わたくしが困りますわよ」


 スフォルの首をしっかりと抱きしめながら、フォルテが文句を言っている。

 だがな、そのスフォルがそもそも魔物なんだから、危険視してもしょうがないとは思うぜ。


『しかし、リーダー』


『うん? なんだ、ベス』


 俺たちがいろいろと考え込んでいると、ベスが俺に話しかけてきた。


『ドラムのやつをさっさと探しちまいやしょうぜ。何度かセッションしてみた結果だけど、やっぱドラムがねえと、どうにも物足りないんですよ』


『確かに、そうだな。だが、あいつもこっちの世界にいると思うか?』


『そうはいいやすけど、俺たちがここまでそろっていて、あいつだけいねえってのもありえねえと思うんでさぁ。そう思わねえか、キーボ』


 俺が疑問を呈すると、ベスのやつは必死に訴えながらもキーボのやつに話を振っていた。一人じゃ寂しいってのかよ。


『それはそうですね。私たちは四人そろってこそですからね。とはいえ、この世界も広いでしょうから、私たちが近くで揃っていたとはいっても、ドラムも近くにいるとは限りません。手掛かりなしには探すのは困難を極めますよ』


『ぐっ……』


 ベスに話を振られたキーボだが、正論をぶつけてベスを黙らせていた。

 確かに、俺たちはこっちの世界に転移してきたばかりで、こっちの世界についてはまったくといっていいほど知識がありゃしない。この状況では、どう考えても打開策が浮かぶわけでもないからな。


『よし、一度子爵邸に戻ることにしよう』


 往来でぼさっとしているわけにもいかないので、一度子爵邸に戻って落ち着くことを提案する。

 フォルテとモニーが同意したので、それをピアノート子爵に告げて、俺たちはピアノート子爵邸に戻ることになった。


 ところが、屋敷に戻ってきて俺たちは驚く。


『いや、モニーまでなんでいるんだよ』


「あら、いけませんでしょうか。私も十分関係者なのですから、お話に参加する権利はございますよ?」


『ま、まあ、そうだが……』


 俺が疑問を投げかけると、モニーからは笑顔で返されてしまう。

 確かに俺たちのバンド仲間である喜以保芽露を連れている以上は十分関係者ではあるが、モニーは教会の関係者で聖女って立場にある。そんな人物が勝手に教会を離れて活動していいのかと、つい疑問に感じてしまっているというわけだ。


『まあ、リーダー』


『なんだ、キーボ』


『こうなっては、モニーさんを止めることは不可能ですよ。諦めて下さい』


『そ、そうか……。まあ、しょうがないな』


 俺は納得すると、フォルテを通じてピアノート子爵に話をつけてもらう。

 さすがのピアノート子爵も聖女には逆らえないようで、モニーはこのまま一緒にピアノート子爵邸に入っていくことになった。


 王都の子爵邸のピアノート子爵の部屋に集まり、俺たちは話し合いをすることになる。


「とりあえず、わたくしたちの処遇は保留ということですわね」


「そういうことだ。わけの分からない話に加えて、スフォルが乱入してきたことで余計にややこしくなった。お咎めなしの可能性もあるだろうが、その場合はお前たちは災厄に立ち向かわされるだろうな」


「そ、そうなるんですか?」


「ええ、そうですね。伝承通りであるならば、キーボさんたちは災厄に打ち勝つためにもたらされた品々ということになるのですからね」


 なんか、どんどん話がでかくなっていってるな。

 というか、ここまでで災厄が何かということがよく分からねえ。こっちの世界の人間じゃねえ俺たちにはちんぷんかんぷんだぜ。


『なあ、国王様との話の中でも出てきた、その災厄について詳しく聞かせてくれよ』


「ええ、そうですね。長くはなるとは思いますが、よろしいでしょうか」


『……まあ、しょうがねえ。一時間くらいまでなら聞いてやるよ』


「はい、承知致しました」


 俺が返答をすると、モニーはにっこりと笑っていた。

 ひとまずは、不思議な道具が出現する条件となる、災厄とやらについての話を聞くことになった。

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