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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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27曲目 まるで変化がない

 謁見の間の雰囲気はなんともおかしな状態になっている。


「リード様、せっかくですから、何かいい曲はございませんでしょうか」


『お、おう……。ちょっと待ってろ。あいつらと相談するぜ』


 モニーから話を振られた俺は、ベスとキーボの二人と相談してみることにした。

 なんといっても相手は国王だ。この国で一番偉い人物の前だから、下手なことはできない。


『曲をやるなら、一般的なものの方がよいでしょう』


『著作権も問題ない曲なら、無難なやつも多いだろうしな』


『まるで俺たちの曲が尖ってるみたいないことを言うんじゃねえよ』


 ベスとキーボの反応に、俺はつい苦言を呈してしまう。


『ロックな私たちの曲が、尖ってないとはどういうことでしょうかね』


『おい、作詞作曲に関わってるお前がそれを言うのか?』


 俺の苦言にしれっと言い返してくるものだから、俺は現実を突きつけてやった。俺たちの持ち歌の半分くらいは、キーボの作詞作曲なんだよ。

 ちなみに、これまで演奏してきた曲は全部キーボの作った曲なんだぜ。


『はあ、しょうがねえな。なら、クラシックあたりからやるとするか』


『その方がいいでしょう。この世界の雰囲気にも合っているでしょうしね』


『俺の知ってる曲ですかねぃ』


『知らないんなら小学生からやり直せ、ベス』


『ひどいですよ、リーダー』


 とまあ、あーだこーだ言いながらも演奏曲目を決めた。

 選んだのは音楽の教科書にも載るような有名な曲だ。

 俺は音楽の勉強をする上で、いろんな楽曲をかじってきたからな。その中で、当然ながら大昔のクラシック音楽とかも学んでいた。ロックを目指すからといって、ロックだけ知っていればいいってわけじゃねえんだよ。

 というわけで、俺は選んだ楽曲の楽譜を頭に思い浮かべる。


【楽譜を共有いたします】


 それと同時に妙な言葉が響き渡る。


「あっ、何か頭の中に来ました」


「リード様、この曲を演奏なさるのですね?」


 どうやら楽譜共有とかいう言葉通り、俺の思い浮かべた楽譜がメロディたちに共有されたらしい。


『ああ、口で説明するよりも実際に見せた方が早いからな』


「それにしてはおとなしい曲な感じがしますわ」


『この場でロックはよろしくないかと思ってな。聖女であるモニーに合わせる形にしたんだよ』


「まあ、そうでしたのね。分かりましたわ」


 フォルテは不満そうだが、モニーに合わせたといって納得させた。

 さすがに、あのグレイウルフを足蹴にして演奏する姿がよぎったからな。激しい音楽はやめておいた方がいいだろう。


「どうした。話は終わったのか?」


 国王がかなり待ちくたびれた様子で声をかけてくる。


「ちょうど今終わりました。演目が決まりましたので、これから演奏いたします。参りますよ、フォルテ様、メロディ様」


「はい」


 モニーの呼び掛けで、メロディたちは俺たちを構える。

 俺がリズムを刻むと、いよいよ演奏が始まった。

 俺たちの楽器を考えると、普通は演奏することのないような音楽だ。

 さすがにクラシックをフルで演奏となるとちょっと思い出しきれなかったので、ショートバージョンでの演奏となってしまった。それでも、俺たちがどういうものかを理解させるには十分だろう。


 やがて、俺たちの演奏が終わる。

 謁見の間の中はしんと静まり返っており、誰も何も発言しようとしなかった。

 予想外の状態に、俺たちもどうしていいのか分からずに戸惑っている。

 その時だった。


「し、失礼します!」


「何事だ!」


 扉が開いて、兵士が血相を変えて飛び込んできやがった。

 一体何が起きてんだ。


「城門にグレイウルフが来ております。首に装飾品がございましたので、どうやら従魔契約を交わした個体のようです」


「なんだと?!」


「あら、スフォルですのね。置いてきてしまったから、私たちを探しているのでしょうね」


「ピアノート子爵令嬢?! 今、そなた、なんと言った?」


 グレイウルフってことは、フォルテが契約したスフォルってやつだな。

 フォルテが冷静に話しているもんだから、国王が思わず大声で叫んでしまっている。


「わたくしのペットでございます。わたくしがベス様を手に入れた際に音楽を聞かせましたら、そのままわたくしに懐いてしまいましたの」


「な、懐いた?!」


 国王のあまりにも強い動揺に、王妃を含めて周囲の人物たちもどよめている。

 そんな中、兵士の案内でフォルテは城門までスフォルを迎えにいった。

 しばらくすると、フォルテはスフォルに乗って謁見の間まで戻ってくる。


「お待たせいたしましたわ。わたくしのペットであるスフォルですわ」


「バウッ!」


 フォルテが降りて撫でてやると、スフォルはとても機嫌よさそうに鳴いていた。

 子爵令嬢とそれよりもでかい魔物との組み合わせに、謁見の間の中の誰しもが言葉を失ってしまっている。

 そのなんとも言えない状況に、俺たちはただ互いの顔を見合うのが精一杯だった。


「国王陛下、わたくしたちが扱うベス様たちには、このように魔物すらも懐かせてしまうような力がありますの。わたくしたちが扱いますので、使い方は間違えませんわ」


「ワウッ!」


 はっきりというフォルテとともに、スフォルも返事をするように吠えている。

 このとんでもない状況に、国王は当然ながら頭を抱え始めてしまった。


 まったく収拾がつかなくなってきたみたいだが、一体どうすんだよ、これ……。

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