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異世界バンド~俺たちの熱い魂(ソウル)で異世界を救ってやるぜ!  作者: 未羊


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25曲目 登城だぜ

 聖女がやって来てから三日後のことだった。


「こ、ここが王城……」


「わ、私みたいな村人が入ってもいいところなんですか?」


 メロディは完全に気後れしているって感じだな。普段はちょっと強気なフォルテですらこのありさまだ。やっぱ、一国の主に会うっていうのはとんでもないことなんだと認識させられるぜ。


『り、リーダー。俺たちも大丈夫なんですかねぇ』


『ベス。俺たちの声は聞こえねえんだから安心しろ。今日は聖女様もついてきてるんだ。俺たちに害が及ぶようなことにはならないだろうぜ』


『そ、そうですかね……』


 ベスまでこのザマかよ。ビビり過ぎだろう。

 でもまあ、俺たちの世界で言えば、大統領や首相に会うようなもんだからな。怖気づくのも分からなくはない。だからといって、あっちと違ってこっちの世界じゃ拒否権はねえからな。会うとなったら会わなきゃいけないってのは、まあなかなかにつらいな。


「大丈夫ですよ。国王陛下にお話があって来られたのですし、国王陛下はそんなに心の狭いお方ではございません。それに、私もいるのですから、少しはご安心をなさって下さい」


 怯えるメロディとフォルテに対して、聖女様が優しく話しかけている。だが、それでもこの二人の緊張の度合いはまったく緩まりやしなかったな。


 お城の門までやってくると、門番たちのチェックを受ける。

 ここで、国王の返事を受けた際に受け取った書面を見せることで、俺たちは城の中へと入れることになる。

 それにしても、俺とベスは背負いやすいようにしてあるが、キーボのやろうはなんとも酷い状態なものだ。聖女様が両手で抱えているわけなんだが、持ち方がなんとも危なっかしい。お前もケースくらい用意してやれよ。

 言いたいところだが、状況的に今は口論になりそうなことはやめておいた方がいいだろう。インディーズのロックバンドをやってはいるが、弁えるところはちゃんとしてるんだよ。


 城に入ったところで、案内役の兵士がやって来て、俺たちはその後をついていくことになる。

 それにしても、よくある中世くらいの城なんだが、よくもまあ、ここまででかい建物を建てられたもんだな。

 ここまでは俺たち以外に不思議な力、いわゆる魔法のような力を見てないだけに、なんとも不思議に思えてくる。


『おい、メロディ』


「な、なんですか、リードさん」


『きょろきょろしてないで、しっかりと前を見ろ。すっころんだら危ないからよ』


「あ、ごめんなさい」


 あまりにもあちこちに視線を向けているメロディを、俺は注意をしておく。

 背中に俺を背負っている状況じゃ、万一転んだ時にどのようになるのか分からないからな。少しでも危険は減らしておくに限るってものだ。

 幸い、俺は一回注意すればメロディは聞き入れてくれるので、ひとまずの心配は無くなったようだった。


「それでは、ここでお待ち下さい」


 案内をしていた兵士が、俺たちを通路で止まらせていた。

 目の前には、ここまでやって来た兵士とは明らかに装飾の違う兵士の姿が見える。あれが上級兵ってやつなんだろな。


「あれは近衛兵ですわね」


「近衛兵?」


 フォルテがつぶやけば、メロディは首を傾げている。まあ、無縁の生活をしていたからそうなるよな。


「近衛兵というのは、王族の近辺警護を行う兵士のことだ。務め場所は基本的に城の中のみになる。外出時には近衛騎士という、また別の人たちがつくことになる」


「ちなみに、近衛兵は平民でも就くことができますが、近衛騎士は貴族出身者にしかなることができません。覚えておくとよいと思いますよ」


「はい、理解しました」


 ピアノート子爵と聖女様が説明してくれたんだが、メロディはすっごい真剣な表情で返事をしていた。本気だなぁ、これは。

 そんな俺たちの目の前では、兵士と近衛兵が話をしている。それが終わったかと思うと、近衛兵は扉の中へと入っていっていた。


『あれはなんだ?』


「あれは、謁見予定者が無事に到着したことを、国王陛下に報告なさっているんです。その報告を国王陛下が了承なさいますと、ようやく私たちは中に入ることができるのですよ」


『なるほどな。しっかし、面倒くせえな』


「仕方ありません。国王陛下は国家にとってなくてはならない存在ですからね。何かがあってはなりませんから、ここまで慎重になるのです」


『ふむ……』


 俺の言葉に対して、聖女様がいちいち説明をしてくれた。さすがは国家の聖女とだけあって、説明の一つ一つが丁寧だし、すっごく説得力がある。こんな聖女がいるんなら、この国も安心できるってもんだな。

 そうやって話をしていると、再び扉が開き、さっきの近衛兵が戻ってきたようだ。


「お待たせいたしました。それではこれより国王陛下との謁見になります。くれぐれも失礼のないようにお願い致します」


「無論、承知しておりますとも」


「神に誓って、そのようなことはいたしません」


 近衛兵のお願いごとに、ピアノート子爵と聖女様が答えていた。その二人の様子を見て、メロディとフォルテも慌てて誓いの言葉を口にしていた。この慌てっぷり、まったく幼い子どもらしくて可愛いもんだ。


 いよいよ俺たちは、国王と会うことになる。

 さーて、この国のトップは一体どんな人物なんだろうな。不思議とわくわくが止まらないぜ。

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