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「奴隷少女(じぶん)」に名前はない  作者: 出鱈目0
「奴隷少女(じぶん)」は生まれながらの奴隷だ。
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第一話 「奴隷少女」に名前はない

奴隷少女じぶん」は生まれながらの奴隷だ。

奴隷少女じぶん」に名前はない。


 奴隷。

 それは人間ではなく道具モノとして扱われる存在。

 常に何かに縛られている存在。

 自分は自我が芽生えた時から奴隷だった。

 いや、縛られているという点で見れば自分は生まれながらの奴隷だ。

 なぜなら自分の目には暗闇しか映らないからだ。


 お日様がおはようの挨拶をしてからお月様が天井に上るまで続く労働。

 もちろん自分たちは道具モノなのでご飯は食べさせてもらえない。

 そのせいで倒れたことが何回あったのか覚えていない。

 だがその度に彼らは自分を鎖でつるし上げ、気が済むまで鞭でいたぶってきた。

 そしてこの日も同じだった。


「痛い!! 嫌だ!」


 だが男は泣きじゃくる自分を容赦なく鞭で叩きつけてくる。


「おら! 痛いのか? あ? ほら、もっと、いい声で、泣きわめけよ!!」

「やめて! 誰か! 誰か、助けて!」


 すると自分は突然顎を鷲掴みにされる。


「おい、ガキ。俺の言っていることが聞こえなかったのか?  俺は泣き叫べって言ったんだぞ? あのなー、お前らは知らねーと思うが、俺らは高い金払ってお前らを買い取ってるんだ。それなのに言うことが聞けないとか……お前、目だけじゃなく耳もダメになってんじゃねーのか!!」


 男はそう言うと近くの机の上にあった水晶玉を自分の頭めがけて叩きつける。


「あっ……」


 パリーンというガラス音と共に自分の意識が朦朧とする。


「は……れでも……がある……ょうな……でよか……ぜ」


 男は高笑いをしながら何かを言っていたがうまく聞き取れない。


 あたまが……くらくらする……。

 みみもきーってしてて……うるさい。


 その時、頭から暖かい何かが自分の顔を包み込んでいることに気付く。


 これ……あたたかくてきもちい……。

 でも……くさり……みたいな……においが……して……く……さ……。


 そこで自分の意識が途絶えるのだった。



◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇



 ツンツン。


「ん……」


 ツンツンツン。


 自分は頭から響いたその音で目が覚める。


「あれ? ここの床って……いたっ」


 体を動かすと全身にズキズキとした痛みが響く。


 こんなズキズキするような痛み……鞭の皮をはぐようなずっしりとした痛みとも髪をつかまれるグリグリとした痛みとも拳で思いっきり殴られるようなドンとした痛みとも違う。

 これは初めての感覚。


 そこで自分はその痛みの正体を確かめるためその音源にゆっくりと手を伸ばす。


「いたっ」


 音源に手が届くと自分の指が切れた感覚がした。

 

 痛い……何かギザギザしたもの? が刺さってる。

 気になる……。


 そこで自分は体中にある音源を一つずつ丁寧に抜き始める。

 一つ抜く度、指が切れ、刺さっている個所から痛みが全身に広がる。

 それでも自分は抜く手を止めない。

 その痛みの正体が知りたくてたまらない自分は夢中で抜き続けた。

 そうしてすべて抜き終わると自分はそれを一か所に集めてゆっくりと手で感触を味わう。


 ギザギザしてるところもあるしないところもある。

 形はバラバラだ。


 その時、ギザギザの側面を触った自分はとあることに気づく。


 あの痛みは初めての感覚だったのにこのつるつるした感触、どこかで……。

 はっ! 思い出した!

 これは水晶だ!


 どうやらあの男が自分に水晶玉を叩きつけた時に破片が体中に飛び散って刺さってしまっていたらしい。


 なるほど!

 水晶って体に刺さるとズキズキしたような痛みがするんだ!

 うふふ、おもしろーい!


 するとその時、自分の足を触り覚えのあるフワフワした物体がよじ登ってくる。


 ん! この感触はまさか……。


 そして自分はその物体をゆっくりと手の平の上に乗せると顔をこすりつける。


「シーちゃんだ! ってことは、やっぱりいつもの独房に戻ってたんだね。」


 この小さくて丸っこい物体は「シーちゃん」で自分の「友達」だ。

 あの男たちが言うにはシーちゃんは「ネズミ」というものらしい。

 でも自分にとってはこの物体はそんな名前では収まらないほど大切な存在だった。

 だから自分はこの子を「シーちゃん」と名付けた。


 シーちゃんとは自分が孤独に押しつぶされそうになっていた時に出会った。

 その夜、シーちゃんはまるで自分の気持ちを理解してくれていたかのように寄り添ってくれた。

 それ以来、自分はシーちゃんと一緒に眠るようになっていた。


「シーちゃん、今日も待っててくれたんだね。うふふ、ありがとう。それじゃあ今日も一緒に寝よ」


 そうして自分はシーちゃんを抱きしめながら横になる。

 シーちゃんもそんな私に全身を預ける。


 はあ、シーちゃんは小さいけど暖かいな。

 ふふ、おやすみ。シーちゃん……。


 そうしてその日はシーちゃんと共に夜を過ごしたのだった。

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― 新着の感想 ―
(どうも、短編を読んでこちらにお邪魔しました。 感想の類いでなくて申し訳ない。 〉お日様がおはようの挨拶をしてからお月様が天井に上るまで続く労働。 冒頭辺りのこの1文、「天井」って誤字ですかね…?…
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