8.教会(6)
目の前の大きな扉は、不思議なマークが書かれている。それが、なんなのか理解することができないけれどいくつかの図形を組み合わせているというのはわかる。まず、大きな六角形に三角形が複数含まれているように見える。
それが、不思議に見える。ここの島の神様のシンボルみたいなものは、トライデントのようなものの下に万字が書かれていたはずだ。それに対して、ここのマークには統一性とかはない。だから、なにがどうなっているのか困るところだろう。
「これは……」
「なにか、あったの?」
「きみは、これが何にみえているんだ」
少年からの質問。これに対して、何と答えるかで話が変わってくるように感じたから言葉選びを慎重に行わないとおおきな失敗につながるような気がするのだ。だから、言葉選びを慎重にするようにしたのだ。
「えっと、いろいろな図形が組み合わさってみえるかな。それに……」
言葉に詰まる。説明するのが難しいというのもあるけれど、急にさっきまで見ていたものとは異なるものに見えてきたのだ。なんて言えばいいのかわからくなってしまった。
2人の方を盗み見れば、なにかに気が付いたかのように顔色を変えた。そして、スルーズが俺の首根っこを捕まえて後ろに下がったのだ。急なことで、なにが起きたのかいまいち理解ができなかったが、さっきまでいた場所を見れば床が無くなっていた。そして、扉が開いていたのだ。
「ふむ、少し厄介なギミックだな」
「なにをしてくれているんですか。シオンが怪我をするかもしれなかったんですよ」
「でも、していない。それがすべてになる。それに、怪我はしないようにこちらでも配慮はしている」
「そんなこと信用できません」
「別にそんなことを望んでいないから問題ない」
「な、信用をそんなことって」
「お前はどうでもいいから。床が埋まったね。ドア開いてるし先行くから」
確かに、少年の言う通り扉は開いた。それでも、もう少し周りに配慮とかしてもらえたらよかったのになとは思うのは僕のワガママなのか。そんなことは、ないだろう。だって、スルーズの言い分としてきいていたら、俺と同じような意見なんだから。
扉の先にどんどんと進む少年を見送りそうになりながら、あとを追う。そうすれば、その先には、広い空間となにかの石板が置かれていた。その石板を確認してみるが、なんて書かれているのかがわからない。鑑定を使うのも方法なのかもしれないと思い、スキルを展開しようとした瞬間なにかに視界を覆われた。
「お前、そのままスキルを展開したら死ぬぞ」
「え、どういうこと」
「そのままの意味だ。お前が鑑定をしたところで、アレの内容を理解することもできずに精神を汚染されて死ぬだけだろう。いいか、見るのをやめるんだ。見たところで理解もできないんだからな」
「……シオン、従ったほうがいいです。私もシオンがアレを見たら死ぬと思います」
言い方が上からで癪に障る。けれども、死ぬ可能性があると教えてくれているのなら従った方がいいのかもしれない。スルーズの賛同もそれを後押していたのだ。




