7.チュートリアルでの探索
ガードナーの家を出て少し裏手に行くと大きな門みたいなものが目の前にそびえ立っていた。しかし、
「索敵の方法だ。まずは、周囲をよく観察する。その時に、なんらかの目印などがマップ上に見える。これに関しては練度で何が見えるかとか距離が関係してくる。基本、初めのころは【?】が出てくるか、何も出てこないかの二択になる。練度が上がれば、マークの種類が増えてくる。今回は、この訓練のところで試してみろ」
そういわれて、連れてこられたのは大きな柵に囲まれた森林地帯だった。ガードナー曰く凶暴な敵は存在しないが、今の状態でも倒せるホーンラビットと呼ばれる角が生えている兎が放し飼いされているらしい。さらに、宝箱もどきもありそこにこの柵からでるためのアイテムがあるということらしいが早ければすぐに見つかるが長いと3時間くらいかかるとのことだ。
練度をある程度あげておきたいというのが本音だが、実際ここでどれだけあげられるのかはわからないし難しいだろうな。
「さっそく、放置か。索敵ていってもよく見てみるとマップにマークが現れるって極端に難しいな」
よく周辺を見てみることに注力を注ぐ。しかし、何も出てくることはなかった。そう簡単に物事が進むことはないだろうけれども、1個くらいはマークが見えるかなって淡い期待をしていたのだ。とりあえず、少し移動してもう一回試してみることににた。もしかしたら、入口の前で実施したからなにもなかったのかもしれない。
距離を取ってもう1回試してみた。するとマップ上に4つマークが現れた。全部【?】ではあったものの初めてやることができたからほんの少しの達成感を感じる。
とりあえず、一番近い【?】に向かって慎重に歩み始める。
少し進めば目の前には角の生えた兎がいた。あれが、ホーンラビットか。とりあえず、ずっと借りているレイピアを握りしめ攻撃する体勢に入ろうとすると、ソレと目が合った。ホーンラビットは、こちらを見据えると素早く草むらに隠れる。
一瞬の隙をついて攻撃をしなければ逃げれれるのか。今まで、案山子相手だったのが動くし知性が少しあるから攻撃をする前に音を立てたりしても問題なかったが、生き物になると方法も変わるか。ゆっくりと静かに近寄って攻撃できるようになった方がいいのか。それでも、逃げられたからもう一回マップを確認して、近くにでてくるマークに向かう。
今回は、生き物の影は見えず何か物が置かれているのだけわかる。
「これが、ガードナーさんが言っていた宝箱もどきかな?」
開けようと蓋に手をかけたが、ピクリとも動くことがなかった。よくよく観察してみたら、鍵がかかるような感じであった。
「歩いて回って、鍵を見つけて開けることができるようになるのか。それにしても、このマップの精度を上げるのは使うしかない感じか」
2回しか使っていないからなのか、法則を理解できていないからなのかまだ確証はないもののマップに表記されているのは【?】でしかなかった。他の場所に行ってまた、ここに戻れるようにマップピンとかの使用ができればいいけれどな。マップの表示をして自身のいる場所であろうところをタップしてみると、『クリップしますか?』と聞かれた。『yes』を選択すれば、その場所に旗の星マークが付けられることになった。
「これで、もう一回くることができるかな?よし、とりあえずまた移動しつつ鍵を探すか」
そして、また森林の中を歩く、足場が悪いとかそんな感じは無くただ木々が多いから視界が多少悪くなる感じがした。そして、歩いていると少し先で何かが揺れ動く音がする。物音を立てないようにそちらに近づいてみれば、先ほど見かけたものと同じかどうかはわからにがホーンラビットがまたいた。今回は木の近くにある木の実を食べているようで、静かに近づいて攻撃をすることが可能なように見えた。
ゆっくりと近づきレイピアで突いてみる。至近距離に近づいてもホーンラビットが気がつかなかったのか攻撃は呆気なく、通ると同時にホーンラビットは一瞬で動かなくなった。
『リアリティモード
解体作業や血の表現がリアルよりになるモード。ゲームの難易度が上がりますが、レア度の高いアイテムの入手率が上がります。
クイックモード
解体作業などはナイフをかざすことで完了します。レア度の高いアイテムは運により左右されます。
モード選択は後々変更が可能です』
変更ができるのなら、グロ気になるけど苦手だった時とか怖いな。レア度高いアイテムの入手率上がるのは理想だけど、運に任せるのもありな気もする。けど、そうすると幸運値にステータスの割合割かないといけなくなるのか。それはそれで、嫌だな。周回していくことがあるときに気持ち悪くなったりしたら嫌だな。
うーん、悩む。悩むけど、全部自分でやってみたい気持ちもある。
「よし、リアリティモードでやろう。これで、無理ならすぐに変更すればいっか。それに、幸運値は高めみたいだし行けるかな」
リアリティモードを選択すれば、チュートリアルとして『目の前のホーンラビットの解体しよう』が出てきた。そして、ナイフを握ればどこにナイフを入れる必要があるのか、素材になるものは何なのかなどが簡単に理解することができる。その反面、1つ1つの行動がリアリティがあり生々しい感覚が手に渡る。それは、ナイフを体に刺した瞬間の肉の弾力と血のドロりとした感覚がある。そして、ナイフを動かせばコツッと何かにあたる感覚がした。それは、固くて丈夫そうなのに、力を加えると折れるような感覚がした。
この感覚を実感したときに、慣れるかもしれないがそれ以上にこの感覚を毎回毎回味わうことになるのかと思ったら苦手かもしれない。
「むりだ、これ。チュートリアルでこんなにきついって思うならやめよう。せっかく、現実を忘れてできるゲームなんだから苦手なことは避けてやりたいな」
設定を開きリアリティモードからクイックモードに変更をした。そして、解体しかけのホーンラビットにナイフをかざす。そうすると、素材の塊に変化した。あるものは、『毛皮 品質:C⁻』『ホーンラビットの角 品質:C⁻』が生成された。とりあえず、何が出てくるのか確認してみることにした。
『ホーンラビット ドロップ品
ホーンラビットの肉 品質S~C⁻
ホーンラビットの角 品質A~F
毛皮 品質B~F
爪 品質B~F
ドロップ率
ホーンラビットの肉 10%
ホーンラビットの角 20%
毛皮 30%
爪 40%』
この感じなら、角が落ちたから運はいいのかな?それならクイックモードのままでもいいかもしれない。それに、自分でやらないから嫌な思いもしなくてうれしいや。
「さてと、マップ確認して宝箱の鍵探しながらホーンラビットを狩っていこう」