1.復旧作業と噂
ルシが俺から離れて、魔族のもとにもどっていった。それをただ眺めることしかできなかったのだ。本当は行きたくないって言っていたから、「行かないで」って連れ戻せるくらいの強さがあればよかったんだろう。
でも、そんな強さを持ち合わせてなんかなかった。
とりあえず、復旧作業を手伝うことにしたのだ。別に、そこになにも思うことが合ったわけではないがそれも、ルシの仲間がしたことだからと思い手を貸すことにした。
「シオン、ルシのことは残念ですが……」
「ううん、いいんだ。だって、ルシが決めたことなんだから。だから、ルシを信じてあげないとでしょ?」
「そうですね……」
スルーズもどこか気持ちが落ち込んでいるようではあった。それでも、前を向いていかないといけない。出会いがあれば別れがある。なんて、どこかの誰かが言ったことだけれどそれが分かっていても悲しいのだ。みんなそれを受け入れてい前に進むのだろうけれど、俺は優しくされた経験が少なかったから惜しいと思っているのかもしれない。NPCだとか言われても、本当に生きているように感じたのだ。
「シオンこっちの復旧作業はある程度できたわね。他のところも見に行きましょう」
「そうだね」
俺の頭を撫でながら、スルーズがこちらに来た。実際に俺らがいた場所の被害はそんなにないから、すぐに復旧作業は終わった。街の中心部ということもあるからだろう。城壁よりになると、まだまだ瓦礫が多かったりするとのことで人手が必要とのことだった。
城壁側に歩いていくと、どんどんと建物が壊れていたり瓦礫が積まれているのが分かる。整理を手伝っていく。別に重いわけではないから簡単に処理することが出来る。
「シオン、これからどこに行くのかどうするのかきめているか?」
「ううん、なんにも決めてない。本当なら、ここでレベル上げとか出来たらいいなとか思ってたんだけどね」
「そうだったのか。まあ、ここがこんなことになったから難しいよな」
「そうなんだよね」
街が壊れているから、ギルドに向かうにしても難しいだろつからどうしようかと思う。別に、ここからどうするとか決めるのもホテルに戻ってからでいいと思っていたのだけれど……。
「なあ、聞いたか?」
「なにをだよ?」
噂話が聞こえてきた。その人の雰囲気を確認するば、プレイヤーらしいのがわかる。撤去作業を手伝うでもなくただ、会話に興じていた。
「この先の森に、階段が見つかったらしいぜ」
「階段?」
「2階層に上がることができるやつだよ。まあ、ダンジョンのクリアが必須だし入場にも条件とかあるから合うやつ見つけないといけなくて大変なんだけどな」
「釣りだと思ってたわ」
「俺もそうだったんだけど、フレンドが2階層に上がったんだよ。そいつ曰く、すごく環境が変わるらしいぜ。それでも、チュートリアル感は抜けてないとか言ってたわ」
2人の男の会話はそこから、どんどんとそのフレンドのことへと変わっていった。だから、その後の会話に意味が無いかなと思い作業に集中したのだ。
結構やったからだろう、明日中には全部終わる目処が経ったと街の運営をしている貴族から伝えられたとギルドから通達があった。
「すぐに戻るようで良かったね」
「まあ、そうだな。これから、どうする予定だ?」
「うーん、ちらっと小耳に挟んだんだけど、階段?って言うのが近くにあるらしいから、そこに行ってみてもいいなと思ってるよ」
「階段か……。条件が合うかどうかで、決まるから行くだけになるかもしれないぞ」
「別にそれでもいいよ。だから、言ってみない?」
「わかった」
スルーズが仕方ないなとでも言いたいような表情でこちらを見て、そして了承してくれたのだ。




