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12.図書館と幽霊

 後ろにいたのは、ここに案内してくれた存在だった。俺たちが床下の白骨化した存在を見つけたのを知って、斧を振り下ろしてきていたのだ。スルーズが気が付き間一髪で攻撃をはじいたのだ。


「何のまねですか」

「隕九▽縺代◆。隕九▽縺代◆、隕九▽縺代◆縲∵賜髯、縲∵賜髯、縲」


 言っていることがわからない状況になっている。つまり、この白骨化した死体が見つかる予定はなかったということだ。もしかしたら、別のイベントを発生させてからじゃないと解放されないイベントなのかもしれない。

 けれど、このイベンで本が1冊足りないのに違和感を感じないのは不思議に思う。もしかしたら、時間制限があったから完全に片付けなくてもよかったのかもしれない。そういえば、片付けとかを終わらせるのは難しいというのをかいてあったかもしれない。けれど、そんなこといまさら気が付いたところであとの祭りだ。


「シオンどうしますか。ここから出ようにもドアの前にはあの老婆がいます」

「窓からでるのは?」

「無理だよ。ここ、異界扱いになってる」


 すこし、低い声の方を向けば急成長と言っても過言ではないくらいの成長を果たした少年の面影をのこしてる青年がいた。恰好から、ルシなのではないかと思うがその場合はなんで急成長を果たしたのか疑問がのこる。


「どういうことだ」

「そのままの意味だ。異界扱いになっている。つまるところ、ここで窓を割ったところで逃げることができない。シオンは、何ボーっとしている?」

「え、え、これ、俺がおかしいのか?ルシ、だよね?」

「そういうことか。ああ、シオンの予想通りルシだ。少し、思い出したことがあったから成長したのだろう。しかし、シオン。一人称が俺なのは元々は俺といっているのか?その見た目で俺は些か言葉遣いが荒いと思うが」


 まずい、まずい。今までは、焦っていても私が出ていたのに。あまりにも衝撃的過ぎて俺が出てしまった。でも、仕方ないことだと思うだろ。いままで、美少女だと思っていた存在が男だったんだ。たしかに、ルシファーと言われて女なんだとは思った。思ったけれども、男とは思わないじゃん。

 まあ、俺も、見た目はかわいいよ。けれどもじゃん。これは、母の顔だからというのが大きいけれどこれ以上顔がよくなることはないとわかっている。なのに、美少女からイケメンに成長するのは少し卑怯じゃないか?俺だって、可愛い感じではなくてイケメンになりたかった。そうすれば、リアルでもひどい目に合わなかったのではないかと思ってしまう。


「ちょ、ちょっと、焦っただけだよ。私、私ね。異界扱いってどういうことなの」

「悠長に説明をうけている暇はないぞ、シオン」

「そ、そうだよね。でも、ここから出ないといけないんだよね。異界から出る方法とかないの?」

「異界っつーのは、基本、魔法を使うことができる人外でさらに格が6等級以上じゃないと発生させられない。でも、こいつはせいぜい強く見積もっても4等級かそこら。つまり、この異界に引きずりこんだ存在を見つけないといけないってことだ」

「きっかけがないと異界には入れないってことだよね」

「そうなるな」


 そのきっかけなら、目の前の白骨化した死体だろう。この白骨化した死体の正体は、予想がついている。メモを書いた存在である子だ。ハッピーエンドが好きなのに、この図書館とは相性が悪かっただけだと思うんだ。けれども、この子の意思とは裏腹に殺されたのだろう。ハッピーエンドが好きだということだけで。


「ハッピーエンドが好きなんだよね。あなたの好きな本読んでもいい?」


 返事はないはずなのに、声をかけて本を彼女の手から取る。薄い、絵本のような本を読むためにも時間を稼いでもらわないといけないと思ったのだ。


「ルシ、スルーズのサポートお願いしてもいい?私がこの異界を解く方法を考えるから」

「僕に、支援を頼むのか。変わってるね、シオンは。でも、いいよ。今回は聞いてあげる」


 ルシがスルーズの方に向かっていく。それを確認して本を読み始める。その本は、ありきたりな絵本だった。お姫様が継母にいじめられていて、それでも頑張っていた。そうしたら、優しい魔法使いがやってきて魔法をかけてくれる。そして、王子様と出会って恋に落ちる。その結果、お姫様は王子さまと色々な試練を乗り越えて結婚してめでたしめでたしで終わるお話。

 ここの本棚にある本にしては、夢みがちで小さい子が夢をみるような夢物語。けれども、俺もこんな夢を見たのを覚えている。


「君は、王子様に会いたかったんだよね。私は、王子様になりたかったんだ。けれど、君はお姫様になる前に殺されてしまった。私は、王子様になる前にお姫様がいなくなったんだ」


 しゃがみながら、声をかける。そう、お姫様になりたかった君を救うのはもしかしたら、王子様になりたかった俺なのかもしれない。だから、少しくらい恰好をつけてもいいのかもな。


 装備品からすこしだけ、かっこいい感じの服を出して装備する。防御力も何もないそれを身にまといながら、白骨化した彼女に声をかける。


「お迎えにあがりました、お姫様。もしよろしければ、私と一緒に外の世界を見てまわりませんか?まだ、未熟者ですけれどきっと素敵な世界を見せることができますよ」


 少しくらい恰好をつけてもいいだろう。それくらいなら許されると思うから、恰好を付けたのだ。彼女が望んでいる王子さまではないかもしれないけれど、そこは許してほしい。


 少しだけ、外が明るくなっているのを感じる。もしかしたら、もっと話しかければいいのかもしれないと思って声をかけ続ける。


「外に出たら、まずは君の好きな本をたくさん探そう。私もハッピーエンドが好きなんだ。王子様がお姫様と一緒に幸せになるの、いいよね。君は、外に出たら何をしたい?」

「豬キ繧定ヲ九◆縺」


 口もなにもないはずなのに、声が聞こえた。怖いけれど、怖がってばかりはいられない。視界の片隅でスルーズとルシのHPやMPの消費が見えている。長引けば長引くほど不利になるのは、俺たちなんだ。だから、理解しないといけないんだ。


「そっか、いいね。私も行ったことないな、海ってどんな感じなんだろうね」


 すんなりと言葉が出てくる。聞こえている言葉は上手く聞き取れないのに意味が理解できているのが不気味かもしれない。そんな風に思ってこれから、さらに明るくなる。


「君の名前を教えて、私はシオン」

「繝偵う繝ュ」

「かわいい名前。ヒロインにぴったいな名前だね。ヒイロ。そろそろ、出よう?悪い魔女を倒して、海を見に行こう!」

「そう、そうだね。ありがとう、シオン」

「どういたしまして!」


 ヒイロの姿が見えた。普通の女の子にしては、かわいい見た目。けれども、その結果が嫉妬の対象になったのかもしれない。見目がいいのはメリットでもありデメリットでもあるんだ。


 さあ、悪い魔女を倒してお姫様とハッピーエンドを迎えよう。


 レイピアを構えて、攻撃をする。スルーズとルシが削ってくれていたおかげだろう。簡単に攻撃が相手に通って、老婆は奇妙な雄たけびを上げながら灰になった。そして、図書館の雰囲気も一遍した。どこか、暗く不気味だったのが明るく温かみのある雰囲気になったのだ。


「シオン、何をしたんだ?」

「異界?にしていた存在と話をしたんだ。それで、海を見に行くということで話が済んでるよ。だから、スルーズごめんね。ここのダンジョンに入る予定だったけれれど、海に向かう道中にあるダンジョンとかでレベル上げしてもいい?」

「それは構わないが……はあ、もう、いい。それじゃあ、依頼は完了か?」

「きっと、ね」


 そう、幽霊図書館の依頼はヒイロの依頼だったんだと思う。片付けて見つけてほしいというヒロインからのSOS。お姫様を助けて幸せになる瞬間をみて物語が終わるのだ。だから、海に行って完璧なエンドになるのだ。


 さあ、明日に備えて用意をしよう。明日から、海をめざしながらダンジョンにもぐるのだから。


『本の整理

 散らばった本を片付けてほしい


 報酬:魔導書

   500G         』


 依頼完了。

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