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11.幽霊図書館

 図書館で本の整理の依頼。この依頼の最大の難点は量が多いことだ。大人数で挑むことが前提とされているのかもいしれないが、知らない人と受けると報酬関係でもめるかもしれない。なら、大人数ではないけれどこのメンバーで行った方がいいかなと思ったのだ。


「おや、今回は少人数なのですね。しっかりと片付けさえしてくれれば構いませんけれど」

「えっと、依頼できたんですけれど」

「ええ、わかっています。整理してほしい場所に案内します」


 その人物は初老の女性だった。歩いているはずなのに、足音もしなくて宙に浮いているように移動しているのだ。もしかしたら、この人も幽霊なのかもしれない。なんて妄想をしながら、案内に従って目的の場所までついていく。

 案内されたその場所は本棚が倒れていたり、本があちらこちらに散乱している状態だった。さらには、机も壊れているものや椅子もがたがたなものまでおいてある。これらを全部修復していかないといけないのかと思いながらとりあえず本を整理するところから始めようと思った。


「スルーズ、本棚倒れてるから一緒に戻そう」

「ん?一人でできると思うわ」


 スルーズが一人で倒れていた本棚をもとの場所に戻していった。それを見ているだけではよくない。本を分類わけしていこうと思ったのだ。


「ルシ、本棚をスルーズが起こしてくれている間本を集めて分類わけしよう?」

「……わかった」


 その瞬間、ルシは魔法を展開し始めた。魔法をなぜ使っているのかとすぐにわかったのかと聞かれれば、ルシの足元に魔法陣が展開されているのが目視できたからだ。その魔法が発動した瞬間、本がしぜんと集まってきたのだ。それを俺が確認しながら、並べていく。

 図書館の本は分類わけされているのが基本だったはずだ。それを思い出して、ラベルを確認してみる。そこには、番号が書かれているがどうやって分類わけされているのかよくわからない。もっと、図書館とかに出入りしていればよかったなとおもっている。


「シオン、これはこっち。これは、あっち」


 ルシが、冷静に本の並びを冷静に指示だしてくれる。心強くてうれしい反面、自分でなにもできないのかと無力感を実感してしまう。


「シオン?シオンは、本あまり読まないの?」

「……読むことあんまり出来なかったんだ。でも、読んでいこうかな。ルシのおすすめはなにか、今度教えて?」

「わかった。それじゃあ、分類わけするからシオンは本棚に入れていって」

「わかった。ありがとう」

「別に……」


 本棚に本を入れていく。順調に進んでいるようで、問題なく本が収納されているのが結構快い気持ちになってくる。それよりも、椅子や机を直す方法を考えないといけないのかと思うと難しいと思っている。これが、どうすればいいのか頭を悩ます原因なのかもしれない。


「スルーズ、机とかどうやって直そうか」

「んー、シオンはドワーフを呼び出せないのかい?」

「ドワーフを?うーん、知り合っているのはアルヴィースくらいしかいないからな」

「あー、あいつは、知恵はあるんだけれど作るのはどうなのか私もわからないわね。こうなると、困るわね」

「シオン、魔法で直せば?」

「ルシ、私はね、まだ初心者なんだ。だから、魔法で時間を巻き戻すとか修復をするのは出来ないかなと思うよ」


 その言葉を聞いたルシは驚いた顔をしていた。さらに、考え込むような動作をしてしまった。もしかしたら何か、よくないことを言ってしまたのかもしれない。不安になり、ルシの顔を確認するがなんの感情も確認できないくらい、表情が抜け落ちてしまっていた。

 美人の無表情は怖いと言われるのは知っているが、ここまで怖い感じになるのか。それでも、考えている邪魔をしてはいけないと思って無言で本をもくもくともとの場所に戻していく作業を行った。


 その結果、1冊だけ本がないことが判明した。ルシは、魔法で見落とすことはないと言い張っている、そうなると、1冊だけ足りていないのが疑問になる。だから、本を探していると気になる文字をメモみたいなものを見つける。


『私は、好きだった

 けれど、誰も見てくれない

 だから、壊そうと思った

 そしたら、人がいっぱい来てくれた


 なんで、だれも、私の好きなアレを見つけてくれないの


 なんで、だれも、わかってくれないの         』


 こんなメモだ。もしかしたら、幽霊の悪戯はこのメモが起因しているのかもしれない。どんな本なのかもわからないから、面白いとかも言えない。けれど、ヒントがあるのかもしれないとその場にある本を斜め読みではあるが読み漁る。

 ルシもスルーズも俺の行動が疑問に思ったのか、メモを確認すれば意図を理解したのか一緒に本を読み始めてくれた。3人では多すぎる蔵書ではあるのに、スルスルと文字が読めていく。そして、本にある共通点を見つけることができた。


「ここの本、全部主人公が死んでいるんですね」

「そうね。そうなると、メモの彼女が好きな本も主人公が死ぬものなのかしら?」

「それか、その反対の主人公が生き残る物。その場合は、ここに並んでいるのはおかしいと判断されて、別の場所に片してあげるのがいいと思うんですれけれど、そうはいかないのが図書館なんでしょうね」


 図書館の本棚は有限なはずだ。そうなると、ここに入る残る1冊を探すヒントは他の綺麗な本棚にあるのかもしれない。しかし、依頼終了時間が迫ってくる。どうすればいいのか。


「本は基本、整理される。間違えたところに入れられない限りは、近いところに戻されると思う」


 ルシの言葉で本棚の前後を確認してみる。しかし、前後の本棚も同じで主人公が死んでしまう小説しか蔵書されていないのだ。こうなってくるとお手上げ状態になってしまう。


「本を別の場所に隠された?それなら、違和感あるのはどこになる?」


 違和感が残るのは、壊された椅子や机だ。けれども、それらの場所を確認してみる。そうすると、床の一角に違和感を覚える。床をはがすのはよくないかもしれないけれど、もしかしたら、ここに埋められているのかもしれないと思ってはがすことにした。


「スルーズ、床はがすの手伝って」

「あ、ああ」


 そして、はがしてもらった床下には本と一緒に白骨化した死体も埋まっていた。これは、もしかしなくてもまずい状況なのかもしれない。そう思っていたら後ろからドアが開けられる音がした。

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