7.厄介なお願いと
会話を繰り返ししていく。会話といってもいいのかわからないけれど、質問をしては無言か頷きが返ってくるを繰り返していた。言葉を理解していないというよりも、難しい言葉や知らない単語が多いような印象を受けることとなった。
「ルームサービスです」
「ありがとうございます」
注文していたルームサービスが届きダイニングテーブルに置いてもらった。運んできた人は顔が無く、始めは驚いたが丁寧な感じで物腰柔らかな印象を受けたからだろう恐怖をかんじることはなかった。
運ばれた料理に目を向ければ、ゲームの中であることが惜しいと思うくらい素晴らしい料理が並べられていた。注文したものは、サンドウィッチ、フルーツの盛り合わせにケーキだった。だからだろうか、アフタヌーンティーセットのように3段のセットにして持って来てくれたのだ。とりあえず、スープも注文していたから、それを飲みながらルシへとフルーツをあげてみる。
「ルシ、あーん」
「あー」
こちらが、口を開けるように促せば疑いもなく口を開ける。こんなに純粋で平気なのかと思いながらも、果物を口に入れる。皮をむかなくてもいい、マスカットを口に含むと咀嚼をしている。甘くておいしいのか、気に入ったのかよくわからないがもう1つとせがむように口を開けたのだ。これが、心を開いてくれたと感じれて少しうれしかった。それで、自分もゆっくりと食べながらルシにも多めに与えていた。
「おいしい?」
質問には返事ではなくうなずく動作での返事が返ってきた。それで、おれも果物を口に含めば優しい甘さが口の中に広がる。さらに、新鮮なのがわかる瑞々しい食感も口いっぱいに広がった。それが、おいしいからついつい果物を多めに食べてしまったのだ。
「さてと、レベル上げもだけれどクエストも受注してみたいんだよね。どうしよかな」
そんな風に考えていれば、どこからともなくスルーズが現れた。召喚していないけれど、自由に行ったり来たりができるのかもしれない。しかし、MPを確認すれば減少はしていた。そこで、呼ばなくても来るときにはMPの消費が必要になるということを学んだ。
「おはようございます、シオン。今日の予定は決まっていますか?」
「おはよう、スルーズ。特に決まってなくて、これから何をしよか考えている最中だったんだよね」
「それは、丁度よかった。シオンにお願いしたいことがあったんです。これは、私からではないんです。けれど丁度シオンが寝ているときに知り合いに会いましてね、どうしてもシオンに頼みたいとのことで紹介したいのですけどいいですかね」
イベントかクエストの発生だろうか。丁度、何もなかったのだ。今、抱えているイベントは花のお兄さんの同行イベントと正体を探すものだけだ。そして、両方ともすぐに行動に移すことができるかと問われたら難しいことになる。それなら、困っている人を助けながら探したりしたほうがいいだろう。
「もちろん、いいよ。でも、初心者だし難しいこととかはできないかもしれないけれどできることは精一杯頑張ろうと思うよ」
「それは、よかった。では、ここに呼んでも?それとも、相手のところに行きますか?」
「ここで、話そうかな?別にみられて困るものもないしね」
「わかりました、呼んできますね」
「うん、まってるよ」
スルーズが、ドアから出ていくのを見送って机の上の食器を下げてもらうように手配をした。お客様が来るのなら、お茶の用意はした方がいいだろうからお湯を沸かしておく。そうすると、スキルで料理への理解というものが追加された。まだ、習得の途中ではあるものスキルの内容の説明を確認してみた。
『料理
あなたが料理するれば、好感度が高い人は恩恵を多く受ける。
低い人は疲労度が回復する。 』
これは、多分召喚系のみの人が習得している感じのスキルなんだと思う。この場合は、スルーズには恩恵が入ることになる。それから、来てくれる人もリラックスすることができたらいいなと思いながら体が自然な手順でお茶を入れていく。お茶を入れ終わったことろにドアが開いたのを感じた。
開いたドアの方を確認すれば、そこには昨日の男に似ている感じの人が立っていた。それに対して、ルシも警戒するようになっていた。こちらも、ここで攻撃されたら困るから少し距離を取ろうとしたところで相手が口を開いた。
「警戒しないでください。わたしは、昨日のあの人の非礼を詫びるのと同時にお願いしに来たのです」
「シオン、警戒しなくていいわ。もし、何かしたら契約違反で彼が苦しむことになるから」
「……それなら、ルシ。こっちにおいで」
部屋に招き入れ、ダイニングテーブルにお茶を置いて話を聞く姿勢に入る。これから大事な話なはずなのに、ルシが俺の膝の上に座る。それを、目の前の人は驚いた顔をしてみていた。
「随分となついたのね」
「うるさい」
「えっと、とりあえず、お話聞いても?」
「そうね、はじめまして人間。わたしは、人々に天啓を与える存在であるガブリエルよ。この姿維持するの疲れるから楽な恰好になってもいいかしら?」
「え、はい、どうぞ」
その言葉と同時にすぐに、少女といわれる方が正しい存在になった。見た目が、黒のドレスなのに白い翼が天使の象徴であることを示しているようでなんとも不思議な感じだ。天使は白であるという固定概念が覆された感じだ。そして、さらに伝えられた一言に驚くのだ。
「あなたには、その子供。いいえ、ルシファーを育ててもらいたいの。どんなに悪くてもその人がいないとどうしようもないことになってしまうわ。だから、召喚者であるあなたにお願いするわ」
『悪魔のような善意からのお願い
ガブリエルと名乗る少女は告げる。
その子供がのちのルシファーであると。
天使を裏切り神を殺そうとした大罪人、ルシファーであると。
そんな人物を育てるようにと。
しかし、それを阻止したい人も存在するようで困難になるだろう。
達成条件:ルシファーが記憶を取り戻し元の姿に戻ること
報酬:ガブリエルとの契約
1000G
天使からの関心 』
「それじゃあ、お願いするわね」
承諾の言葉を聞く前にガブリエルは、帰ってしまった。さて、この場合はどうすればいいのか。とりあえず、育てると言われていたが記憶を取り戻すことが重要なことのようだ。関係ありそうなことから探るのがいいのかもしれないや。
とりあえず、膝の上にいるルシとの話をしよう。




