19.問答
「なあ、シオン。お主この世界についてなにを知っておる」
「えっと、どういうことなの?」
アルヴィースからの質問の意図が理解できなかった。それを、彼も理解したのだろう。すぐに、しまったといったような顔をして見せたのだ。原因がなんであれ、たぶん聞いてはいけないことなのかもしれない。
「すまんな、忘れてくれ。とりあえずだ、シオン。お主はわしに聞きたいこととかあるか」
「それじゃあ、塔ってなにか聞いてもいいですか」
俺の言葉を聞いたアルヴィースは驚いた顔を見せた。まるで、その質問が飛んでくるとは思っていなとでも言うような表情だった。その顔から推測するに、まだ知っているはずのない言葉なのかもしれない。
「塔、塔についてか……。シオン、お主ここに来たばかりと言っていたな。なら、まだ伝えることができないな。本来は、荳也阜縺ョ邨ア蜷�がされないと知ることができないんじゃ」
「え、なんて言いました。本来はの後のことば聞き取れなくて」
「荳也阜縺ョ邨ア蜷�じゃ」
「わからないです」
「この言葉もつかえないとなると、難しいの」
アルヴィースが言った言葉を聞き取ることができなかった。それは、花のお兄さんが消えたときと同じように何らかの力が働いているかのように感じる。それを考えるのであれば、アルヴィースもどこかに移動させられるのかもしれない。質問の内容を変えるか、聞き方を変える必要があるのだろう。ならば、この内容はまだ未開発ということになるのかもしれない。だとしても、こうやって言論統制を行うのは悪手なのではないかと思う。それこそ、世の中には考察廚と呼ばれる人たちが存在するのだからその人たちに情報を与えることになるのではないのか。けれども、MoAについてそんな情報が出てきているのは聞いたことがない。全世界で人気のゲームなのに、誰もたどり着いていないなんてことがあり得るとは思えない。
ならば、どこかで情報が止められていると考えるのが鉄板なのかもしれない。
「アルヴィースさん、もし、もしだよ、アルヴィースさんの言葉の意味を理解したいと思ったらどうすればいいのか教えてもらえます」
「うーむ」
俺の言葉に困惑しているのを眺めながら、これからどうすればいいのか考える。音声にノイズがかかっているのを確認できるのは配信にのこっているから問題として報告すればいいのかもしれない。
これで、問題として確認とられれば解決するのかもしれない。それまで、アルヴィースと行動を一緒にできればいいだろうけれど、NPCと一緒に行動するのが難しいのが考えていかないといけない。
もし、アルヴィースを召喚できれば話が変わってくるのかもしれないけれどそこまで上手くいくとは思えないから、難しいところではある。それに、なんて切り出せばいいのかも分からないから困惑はある。配信の方を確認してみれば、状況の理解ができている人もいれば同じく音声にノイズが入って聞き取れない人もいるみたいだった。なにか法則があるのかもしれないけれど、それが何なのかがわからないのが困るところだ。
【戦死者を選ぶものさんがコメントしました】ありがとうございます。身内の不始末を任せてしまい、申し訳ないんですけれど助かりました
【悪戯好きの気まぐれさんがコメントしました】おや、コメントするんですね
【戦死者を選ぶものさんがコメントしました】ええ、助けられましたのでね
【戦死者を選ぶものさんからギフトが届きました】
【小さな存在の母さんがコメントしました】ぎふとだめらしいぞ
【隠れ蓑に隠れてない王様さんがコメントしました】きみは少し静かにしようか
【いっヌ至上主義さんがコメントしました】ギフトなにかな見てみてよ
【猫吸い中さんがコメントしました】開けた場所にしなね
【♰闇の覇者♰さんがコメントしました】配信中に確認してくれればいいよ
【車を駆る雷さんがコメントしました】繧ケ繝ォ繝シ繧コ……
【戦死者を選ぶものさんがコメントしました】名前呼ばないでくれません
【浮名を流す主神さんがコメントしました】冷たくされてやんのw
「えっと、戦死者を選ぶものさんギフトありがとうございます。あとで、確認しますね。とりあえず、このダンジョンを出るのが先決ですよね」
そうだ、ここはまだダンジョンの中なのだ。それなのに、ほのぼの質問タイムとはならないのが鉄則だ。そう思ってから、アルヴィースに対して声をかけてここから出ていくのが重要なことになるのだろう。
「アルヴィースさん、とりあえずここから出ませんか。ここ、ダンジョンなんですよね。脱出が目的な場所なんで出た方が安全だと思うんですけど」
「そうだな。なら、こっちにこいシオン」
「え、そっちはさらに奥に向かうんじゃ」
「本当ならな。しかし、この場所はわしが制作を手助けした場所でもあるんだ。だから、ここから安全に出る方法なんか簡単にわかる」
「そうなんですね」
アルヴィースの言葉を信用する材料はなにもないけれども、信用してもいいと思えたのだ。本当にこの場所を作っているのなら、ドワーフであるからだろうと思う。俺が知っているドワーフはモノづくりが得意であるという特徴もあったはずだ。だからこそ、迷路の謎の隠しているのも納得がいくところがある。本来の木よりも頑丈だったのは、ドワーフの手を借りているからだ。もし、それが本当のことならばここはアルヴィースと戦死者を選ぶものと名乗っている人との逢引き場所だったのかもしれない。人知れずに合う場所。それが、本当にいい行いなのかなんてわからないだろうけれど楽しいことなんだろう。
俺の母さんもそうやって父さんと出会ったのかな。そんな風に考えていれば、なぜか開けた庭園に出てきた。その庭園は花が咲き誇り大きな木が中央にあった。それをカメラもとらえたのだろう。それをみた、戦死者を選ぶものさんが感動しているのがコメント感じから理解することができた。たぶん、この場所がその2人とって重要なことだったのだろう。
その木に近づいていく。木のそばに行けば、わかる。すごく大きいのだ。樹齢とかっていうものが、けっこうな長さあるのだろうと感じる。
「この木に触れれば外に出ることができる」
「そうなんだ。ありがとう」
「そうだ、シオン。これを渡しておく」
その渡しておくと言われて渡されたものは、カードだった。このカードを見て1つ思い出した。ガードナーから渡されたものと同じ形式だったのだ。その時は権限がないみたいなことが書かれていたはずだが、今回はどうなのかと思いさらに確認することにした。
『アルヴィースの召喚媒体
アルヴィースを召喚することができる。
使い切りで1回のみ可能。
アルヴィースから得られるものは知識、知恵などが得られる』
「これって……」
「お主、召喚者なんだろ。雰囲気からわかる。だから、それを渡した。これから、わしの知恵が必要になる瞬間がくるだろう。その時に、使えばいい」
「わかった。ありがとう、アルヴィース」
夕日がシオンに降り注ぎ淡い茶色い髪が風に揺られきれいに輝いていた。その光景が現実のはありえない雰囲気を引き出しながら、神秘的に受け取れるように見えたのだ。




